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空き家の解体に利用できる補助金はある?注意点も解説

        
公開日 2025.07.31 更新日 2025.09.09
    

「管理できなくなった空き家を解体したいが、費用が高くて手が出せない」

「解体費用に補助金が使えると聞いたけど、本当だろうか?」

 

土地活用を考え、まず空き家の解体を検討する際、多くの方が費用という大きな壁に直面します。百万円単位にもなる解体費用は、決して軽い負担ではありません。しかし、この負担を大幅に軽減できる可能性があるのが、国や自治体が設けている「補助金(助成金)制度」です。

 

放置された空き家は、倒壊や火災、景観の悪化など、地域社会にとって大きなリスクとなるため、多くの自治体がその解体を積極的に後押ししています。

 

この記事では、どのような補助金制度があり、いくらくらい補助されるのか、そして補助金を受け取るためにはどのような条件を満たし、どんな手続きを踏めばよいのかを、具体的かつ分かりやすく解説していきます。

 

また、申請する上での重要な注意点や、解体後の土地活用を見据えたメリット・デメリットにも触れていきます。

空き家の解体に利用できる補助金の種類

空き家の解体に利用できる補助金は、国が主導するものもありますが、その多くは各市区町村が独自の制度として設けています。

 

制度の名称や内容は自治体によって様々ですが、目的によっていくつかの種類に大別できます。ここでは代表的な補助金制度を紹介します。

老朽危険家屋解体撤去補助金

これは、空き家解体の補助金として最も一般的な制度です。長年放置され、老朽化が進んだ結果、倒壊の危険性があったり、衛生上・保安上、周辺環境に悪影響を及ぼしたりしている「危険な空き家」の解体を促進することを目的としています。

 

多くの自治体で同様の制度が設けられており、「老朽家屋等解体工事費助成制度」「危険空き家解体支援事業」といった名称で実施されています。

 

補助を受けるには、自治体の職員による現地調査を受け、「特定空き家」や「危険家屋」であると認定されることが条件となる場合がほとんどです。

 

関連記事:空き家の放置で固定資産税が6倍に?理由と対策を解説

都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金

この補助金は、歴史的な街並みや観光地など、特に景観の維持が重要とされる「景観計画区域」や「都市景観形成地域」内に存在する老朽化した空き家を対象としています。

 

地域の美しい景観を損ねている建物の解体を促し、街並みの保全と向上を図ることが目的です。

 

対象となるエリアが限定されているため、全ての空き家が利用できるわけではありませんが、もし所有する空き家が該当地域にあれば、活用を検討する価値は大きいでしょう。

空き家解体撤去助成金

上記の「危険家屋」の認定までは至らないものの、地域の住環境改善や空き家の発生抑制を目的として、より広い範囲の空き家の解体を支援する制度です。

 

建て替えを条件とするものや、解体後の土地を地域のために一定期間貸し出すことを条件とするものなど、自治体によって様々なバリエーションがあります。危険性が高いと判断されなくても利用できる可能性があるため、まずはお住まいの自治体にこのような制度がないか確認してみることが重要です。

空き家の解体にかかる費用の相場

補助金の話を進める前に、そもそも空き家の解体にどれくらいの費用がかかるのか、その相場を把握しておくことが大切です。解体費用は、主に建物の「構造」と「延べ床面積」によって大きく変わります。頑丈な建物ほど解体に手間がかかるため、費用は高くなります。

 

構造別の1坪あたりの単価と、一般的な30坪の住宅を解体した場合の費用総額の目安は以下の通りです。

 

木造(W造): 坪単価4万円~5万円程度

→30坪の場合の総額目安:120万円~150万円

鉄骨造(S造): 坪単価6万円~7万円程度

→30坪の場合の総額目安:180万円~210万円

鉄筋コンクリート造(RC造): 坪単価7万円~8万円程度

→30坪の場合の総額目安:210万円~240万円

 

この金額は、あくまで建物の本体工事費の目安です。実際には、足場の設置、廃材の処分費、重機の運搬費などが加わります。さらに、庭の撤去やブロック塀の解体、アスベスト除去などが必要な場合は、付帯工事費として追加費用が発生します。

 

補助金の申請を検討する際は、まず複数の解体業者から見積もりを取り、解体にかかる総額を正確に把握した上で、どれくらいの補助が見込めるのかを考えるという手順になります。

 

関連記事:空き家の解体にかかる費用の相場は?費用を抑える方法も解説

空き家の解体に利用できる補助金の上限

空き家解体の補助金で受け取れる金額は、自治体の制度によって大きく異なりますが、一般的には「補助対象経費の○分の1」といった割合で定められ、さらに「上限〇〇万円」という上限額が設定されているケースがほとんどです。

 

多くの自治体では、補助率を「5分の1」から「2分の1」程度、上限額を「50万円」前後としている場合が多く見られます。中には、条件が良いケースで「上限100万円」といった手厚い補助を行う自治体もあります。

 

例えば、「補助対象経費の5分の4、上限80万円」という制度があったとします。この場合、解体費用が100万円かかったとすると、その5分の4である80万円が補助されます。もし解体費用が200万円かかった場合は、計算上は5分の4で160万円となりますが、上限額が80万円のため、受け取れるのは80万円となります。

 

このように、解体費用の全額が補助されるわけではない点に注意が必要です。あくまで費用の一部を支援する制度であると理解しておきましょう。

 

ご自身の空き家が所在する自治体の制度では、補助率と上限額がいくらに設定されているのか、必ず事前にウェブサイトや窓口で確認することが重要です。

補助金を交付される主な条件

自治体の補助金は、申請すれば誰でも受け取れるわけではありません。税金が原資となっているため、交付にはいくつかの条件が設けられています。条件は自治体によって異なりますが、多くの制度で共通してみられる主な条件を解説します。

 

条件①建物に1年以上居住していない

補助金の対象となる「空き家」の定義として、多くの場合「申請日時点で1年以上、居住その他の使用実績がないこと」が条件とされています。これは、現在使用されている建物の解体を補助するのではなく、あくまで放置されて問題となっている空き家の解消を目的としているためです。

 

別荘のように定期的に使用している建物は、対象外となる可能性が高いでしょう。

条件②新耐震基準を満たしていない

建物の安全性を示す基準として、「耐震基準」があります。建築基準法が大幅に改正された1981年(昭和56年)6月1日以降の基準を「新耐震基準」、それ以前を「旧耐震基準」と呼びます。補助金の対象となるのは、この「旧耐震基準」で建てられた木造住宅であることが条件となっているケースが多く見られます。

 

旧耐震基準の建物は、震災時の倒壊リスクが高いと考えられるため、優先的に解体を促す狙いがあります。

条件③老朽化により倒壊するリスクが高い

補助金制度の根幹にあるのが、危険な空き家を減らすという目的です。そのため、自治体の職員や建築士が現地調査を行い、建物の老朽度や損傷度合いを客観的に評価します。

 

多くの自治体では、独自の基準となる「不良住宅判定基準」や「評点」を設けており、屋根や外壁の傾き、基礎のひび割れなどをチェックし、一定以上の点数に達した場合に「危険家屋」と認定され、補助金の対象となります。

 

ただ空いているだけでは不十分で、客観的に見て危険性が高いと判断される必要があるのです。

空き家の解体に利用できる補助金を申請する流れ

補助金を受け取るためには、正しい手順に沿って申請を進めることが不可欠です。手順を間違えると、補助対象外となってしまうこともあるため注意が必要です。

 

一般的な申請の流れをステップごとに解説します。

補助金の交付を申請する

まず最初に行うのが、自治体の担当窓口(建築指導課、空き家対策課など)への事前相談と、交付申請です。この段階で、所有する空き家が補助金の対象になるか、どのような書類が必要かなどを確認します。

 

一般的に、申請時には「交付申請書」のほか、「解体工事の見積書(複数の業者から取ることを推奨)」「建物の登記事項証明書」「位置図や現況写真」「納税証明書」など、多くの書類の提出が求められます。

自治体からの審査を受ける

申請書類が受理されると、自治体による審査が始まります。書類の内容に不備がないか、補助金の交付条件を満たしているかなどがチェックされます。

 

多くの場合、自治体の職員が実際に現地を訪れ、建物の老朽度などを調査します。この審査には数週間から1ヶ月程度の時間がかかることが一般的です。無事に審査を通過すると、自治体から「交付決定通知書」が届きます。

空き家の解体工事を行う

自治体から「交付決定通知書」を受け取って、初めて解体業者と正式に契約を結び、工事に着手することができます。

 

ここで最も注意すべき点は、交付決定前に契約や工事を始めてはいけないということです。事前着工は、補助金の対象外となる重大なルール違反です。必ず交付決定通知書が手元に届いたことを確認してから、工事を開始してください。

 

工事期間中は、状況がわかるように写真を撮影しておくことが求められます

必要な書類を自治体に提出する

解体工事が完了したら、自治体に「実績報告書」を提出します。この報告書には、工事前・工事中・工事後の写真、解体業者との契約書の写し、工事費用の領収書の写しなどを添付する必要があります。

 

提出された実績報告書を基に、自治体は内容が申請通りか、工事が適正に行われたかなどを最終確認し、補助金の交付額を確定させます。

 

この確定通知を受けてから、指定の口座に補助金が振り込まれるという流れになります。補助金は後払いであるため、一旦は解体費用を全額立て替える必要がある点も覚えておきましょう。

空き家を解体する際の注意点

補助金制度は非常に魅力的ですが、利用にあたってはいくつかの重要な注意点があります。思い込みで進めてしまい、後で「対象外だった」ということにならないよう、しっかりと確認しておきましょう。

注意点①自治体によって補助金を交付される条件が異なる

これまでも触れてきましたが、補助金の制度内容は、全国一律ではありません。自治体ごとに、その地域の実情に合わせて独自の制度を設けています。補助の対象となる空き家の定義(居住実績の年数、建物の構造など)、申請者の条件(税金の滞納がないこと、収入要件など)、補助率や上限額は、隣の市町村でも大きく異なる場合があります。

 

インターネット上の情報を鵜呑みにせず、必ずご自身が所有する空き家の所在地を管轄する市区町村の公式ウェブサイトを確認し、不明な点は担当窓口に直接問い合わせることが不可欠です。

注意点②自治体によって補助金の対象となる工事の内容が異なる

補助金の対象となる「工事の範囲」も、自治体によって解釈が異なります。一般的には、建物の本体を解体・撤去する費用が対象となりますが、付帯工事の扱いには注意が必要です。例えば、家の中に残された家具や家電などの「残置物」の撤去費用は、ほとんどの場合で補助の対象外となります。

 

また、庭木や庭石、ブロック塀、浄化槽などの撤去費用が対象に含まれるかどうかは、自治体の判断によります。見積もりを取る際には、どの工事が補助金の対象となり、どれが対象外なのかを業者と自治体の両方に確認し、自己負担額を正確に把握しておくことが重要です。

空き家を解体するメリット

補助金を活用して費用負担を軽減し、空き家を解体することには、多くのメリットがあります。それは単に建物をなくすだけでなく、将来の資産活用に向けた大きな一歩となります。

メリット①空き家の倒壊するリスクや防犯上のリスクがなくなる

老朽化した空き家を所有し続けることは、常にリスクと隣り合わせです。地震や台風で倒壊し、近隣の家屋や通行人に被害を与えてしまえば、多額の損害賠償責任を負うことになりかねません。解体することで、こうした物理的な倒壊リスクを完全に排除できます。

 

また、不審者の侵入や放火、害虫の発生といった防犯・衛生上の問題も解消され、空き家が原因で近隣に迷惑をかける心配がなくなります。この安心感は、金銭には代えがたい大きなメリットです。

メリット②空き家の管理費を削減できる

空き家は、たとえ誰も住んでいなくても、維持管理にはコストがかかります。定期的な草刈りや清掃、換気、建物の小規模な修繕、そして固定資産税や火災保険料など、年間を通じて継続的な出費が必要です。

 

遠方にお住まいで管理を業者に委託している場合は、さらにその費用が上乗せされます。建物を解体して更地にすれば、こうした建物に起因する維持管理費用が一切かからなくなり、経済的な負担を大きく軽減できます。

メリット③土地を有効活用できる

建物という制約がなくなることで、土地は活用の可能性が大きく広がります。更地は、買主が自由に設計できるため、古家付きの土地よりも売却しやすくなる傾向があります

 

また、賃貸経営を始める場合も、駐車場経営であれば少ない初期投資でスピーディーに開始できますし、アパートやマンションを建設して、より高い収益を目指すことも可能です。

 

解体は、土地という資産の価値を最大限に引き出すための、最初の重要なステップなのです。

空き家を解体するデメリット

物事には良い面と悪い面があるように、空き家の解体にもデメリットは存在します。特に、税金に関する問題は、解体後の計画に大きく影響するため、必ず理解しておく必要があります。

デメリット①空き家の解体に費用がかかる

最大のデメリットは、やはり解体そのものに高額な費用がかかる点です。補助金を利用できたとしても、多くの場合で自己負担が発生します。解体費用の全額を一旦は自分で立て替え払いし、後から補助金が振り込まれるという流れが一般的なため、初期にまとまった資金を用意する必要があります。

 

土地活用で収益を得る前に、大きな出費が先行することを覚悟しておかなければなりません。

デメリット②土地の固定資産税が高くなる可能性がある

解体を検討する上で、最も注意が必要なのが固定資産税の問題です。土地の上に住宅が建っていると、「住宅用地の特例」が適用され、土地の固定資産税は最大で6分の1、都市計画税は最大で3分の1にまで軽減されています。

 

しかし、建物を解体して更地にしてしまうと、この特例措置が受けられなくなります。その結果、土地の評価額によっては、翌年から支払う税金が数倍に跳ね上がってしまう可能性があるのです。解体する前に、税額がどれくらい増えるのかを必ずシミュレーションしておくことが重要です。

デメリット③建物の価値が失われる

建物を解体するということは、その建物自体の資産価値を完全に失わせることを意味します。一見価値がないように見える古い家でも、歴史的な価値を持つ古民家であったり、リフォームすれば十分に住める状態であったりする可能性もあります。

 

また、現在の建築基準法では家を建てられない「再建築不可物件」の場合、一度解体してしまうと二度と家を建てられなくなり、土地の価値が大幅に下落してしまうリスクもあります。解体を決める前に、建物を活かす選択肢がないか、専門家に相談してみることも一つの手です。

デメリット④周辺環境に影響が出る

解体工事は、数週間にわたって騒音や振動、粉塵の発生が避けられません。これが原因で、近隣住民との間でトラブルに発展するケースも少なくありません。多くの解体業者は工事前に近隣への挨拶回りを行いますが、施主としても配慮の姿勢を見せることが、円満な関係を維持するためには大切です。

 

工事後の土地活用、特に駐車場経営などを考えている場合は、将来の良好なご近所付き合いのためにも、トラブルの芽は未然に摘んでおくべきでしょう。

補助金の適用条件を事前によく確認して空き家解体を検討しよう

この記事では、空き家の解体に利用できる補助金制度を中心に、その種類や条件、申請方法、そして注意点について詳しく解説しました。

 

高額な解体費用は、空き家の土地活用を始める上での大きな障壁ですが、国や自治体の補助金制度を賢く利用することで、その負担を大幅に軽減できる可能性があります。

 

管理に困っていた空き家も、解体して更地にすることで、駐車場経営をはじめとする新たな価値を生み出す資産に生まれ変わります。補助金という心強いサポートを活用し、あなたの土地の可能性を最大限に引き出す一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

 

コインパーキング経営ならユアーズ・コーポレーション

コラム監修者

太田 佳里

太田 佳里(オオタヨシサト)

株式会社ユアーズコーポレーション

パーキング事業部 マネージャー

宅地建物取引士 2級土木施工管理技師

<略歴>

駒澤大学を卒業後、不動産業界へ就職

<コメント>

弊社では創業から50年不動産の有効利用、資産管理を一貫して行ってまいりました。土地活用のエキスパートとしてオーナー様のご要望にお応えするサービスの提供を行ってまいります。
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