「実家の固定資産税が払えない……」
親が亡くなって実家を相続、定年退職後の収入減少など理由はさまざまですが、そのまま税金を滞納していると延滞金がどんどん加算されていきます。
それでも支払わないでいると、待っているのは財産差し押さえの危機。
住んでいる家が競売にかけられ、最悪住むところを失ってしまいます。
まこと理不尽にも映るこの制度、対処法はあるのでしょうか。
本記事ではそのあたりを詳しく解説します。
目次
実家の固定資産税が払えなくなるケース
固定資産税が払えないような状況とはどのような理由によるものでしょうか。
滞納が起こりやすい代表的なパターンは次の3つです。
不動産を相続した
子が実家を相続した場合、親の死亡によって固定資産税の納税義務が子に移ります。
自分が住んでいなかったり、遠方に住んでいたりする場合、予期せぬ納税資金を用意できずに、税金滞納のトラブルがしばしば発生します。
老後の収入が少ない
次は、定年退職後に収入が少なくなり、固定資産税の負担が重くなって払えなくなるケースです。
老後資金を用意しておかなかった場合には、定年退職後すぐに払えなくなることもあります。
年金生活で預貯金が減っていき、払えなくなったという事例も少なくありません。
固定資産税が高騰した
所有している不動産のエリアで再開発がおこなわれ、人気エリアとなり地価が上昇すると、固定資産税も必然的に上昇します。
建築物は築年数の経過とともに固定資産税が下がっていきますが、地価は地価の相場で騰落するので大幅に上がることがあります。
固定資産税は3年ごとに見直しが行われるため、所有している土地周辺で再開発が始まった場合は納税額が増加するかもしれません。
実家の固定資産税が払えないと起こるリスク
実家の固定資産税を納付しないとどんな事態になってしまうのか、現実に起こりうるリスクを取りあげます。
督促や催促ののちに、延滞金が生じる
固定資産税を滞納していると自治体から「督促状」が送られてきます。
支払い期限の20日前に発行されますが、その後も支払わないでいると、滞納による延滞金が発生してしまいます。
延滞金は、通常の納税額に上乗せして支払うもので、その割合は納期期日後1か月以内の場合2.5%、それを越えると8.8%です。
ただし、納税の猶予が認められれば軽減もしくは免除されます。
そのため、固定資産税が払えないと感じたら、早めに自治体に相談することをおすすめします。
資産を差し押さえられる
催告書(督促状)が届いてもなお固定資産税を支払わないでいると、資産差し押さえの準備が始まるので要注意です。
ここに至るまでに、なんとかお金を工面して支払ってしまいましょう。
差し押さえは徴収職員により、滞納者の合意なしに行われる財産調査から始まります。
調査後に、差押予告書が送られ、記載されている期日(最後通牒)までに支払わなければ、いよいよ財産差し押さえの実施です。
法律では、「督促状が発送された日から10日以内に完納されておらず、それに関する相談がない場合に財産を差し押さえる」と定められています。
差し押さえの対象には、預貯金や給与などのほか車や家財、不動産も含まれます。
財産を公売にかけられる
車や家財、不動産などが差し押さえられた場合、それらは競売にかけられます。
自宅が競売にかけられ、買受人が決まると強制退去させられます。
ただし、一定要件を満たせば後述する“換価の猶予”という制度を利用して競売を猶予してもらうことも可能です。
実家の固定資産税が払えないときの対処法
固定資産税は資産の競売で得た売却益で最終的に支払われるわけですが、固定資産税が払えない人は財産差し押さえを免れないのでしょうか。
ここでは、固定資産税が払えない場合の対処法を紹介します。
自治体の窓口に相談する
固定資産税が払えないことが判明したら、最初に自治体の窓口に出向いて、分納や徴収猶予の相談をしましょう。
固定資産税は地方税なので、市区町村役場が問い合わせ先になります。
分納する
分納にすると、延滞金がかかりますが、請求されている固定資産税を分割して支払えます。
「細かく分納できるなら、なんとか納付できる」という方なら検討に値する方法です。
ただし、分納しすぎると延滞金が膨らんでしまうので注意が必要です。
減免制度の申請を行う
減免制度とは特別な事情で納税が困難な場合に、要件を満たせば税額が軽減または免除される仕組みです。
固定資産税の減免制度には、“新築住宅の軽減措置”や“災害による減免”などがあります。
減免制度を申請するには、対象となる減免制度を確認し、納税義務者から直接管轄機関へ申請しなければなりません。
申請には、申請書と要件を確認できる添付書類の提出が必要です。
具体的な手続きは管轄機関に確認して、定められた期間内に手続きを完了しましょう。
執行猶予を利用する
災害や病気など不可抗力の出来事、あるいは事業不振の場合など特別な事情があると1年間の支払い猶予が認められます。
猶予期間中には延滞金や財産の差し押さえが生じることはありません。
換価の猶予を利用する
「換価の猶予」とは、納税者が固定資産税を一括納付できない場合、自治体に申請することで、財産の差押えや換価(売却)を最長1年間猶予してもらう制度です。
猶予期間中は、分割して納付することが可能になり、延滞金の一部が免除されます。
換価の猶予の間は延滞金が50%免除になります。
換価の猶予を受けるために必要なのは、次の条件を満たしていることです。
- 財産を売却されると生活に困る、または事業を継続できなくなる
- 換価の猶予にかかる固定資産税の他に税金を滞納していない
- 税金を納めることを誠実に考えていると認められる
換価の猶予は申請により認められる場合と、税務署長の職権で認められる場合があります。
実家を売却する
もし、税金の支払いが継続して難しいと判断したら、対象となる実家を売却して、固定資産税の支払いに充てることを検討してみましょう。
固定資産税は毎年支払う必要があるので、猶予や分納でやりくりしてもまたすぐに次の納税が迫ってきます。
毎年支払っていける目途が立たなければ、実家を売却してしまうほかありません。
滞納処分の停止を検討する
「滞納処分の停止を検討する」とは、地方自治体の長が税金の滞納者に対して、滞納処分(財産の差し押えなど)を一時的に停止する制度です。
これは、滞納者の状況(財産がない、生活困窮など)に応じて、滞納処分を続けることが困難あるいは、不適切と判断される場合に行われます。
検討の対象となる主な要件は、国税徴収法や地方税法で定められており、これに該当しないと適用されません。
滞納処分が停止されると、新たな差し押さえなどの処分が行われなくなり、滞納処分の停止の3年間継続をもって、納税義務が消滅します。
ただし、3年以内に滞納者の状況が改善したと認められると、停止が取り消されることがあります。
固定資産税は払わなくてよいケースもある
固定資産税には“免税点”の定めがあります。
土地の課税評価額が30万円未満、建物の課税評価額が20万円未満の場合は固定資産税が課されないルールです。
ただし、同一市区町村に複数の不動産を所有している場合は、それらを合算した評価額に対して固定資産税がかかることになっています。
実家の固定資産税支払えなければ自治体に対応相談を
実家の固定資産税を期限までに支払えない場合、自治体から「督促状」が送られ、税金の延滞金が発生するようになります。
それでも支払わないでいると、最悪財産差し押さえまで進んでしまいますから、納税が難しいと判断したら、管轄自治体の窓口に出向いて、分納や徴収猶予の相談をしましょう。
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