一括借り上げ方式でコインパーキングを経営すると、土地オーナーは駐車場の稼働状況にかかわらず、毎月一定の賃料を受け取ることができます。
その賃料相場は、おおよそ月極駐車場の1.5倍~2倍程度といったところです。
儲けが薄いといわれますが、初期費用や運営管理費は運営会社持ちですから、そう悪い話ではありません。
当記事では、そんな一括借り上げ方式について取り上げます。
土地活用法を検討中の方はぜひご一読ください。
目次
コインパーキング経営における一括借り上げ方式とは?
一括借り上げ方式とは、土地所有者が運営会社に土地を貸し付け、コインパーキングの稼働率の変動にはかかわりなく、毎月一定額の賃料を受け取る契約形態です。
初期費用から運営費用まではすべて運営会社の負担、日常業務も運営会社に一任するので、土地所有者である駐車場のオーナーの実務面の負担はほとんどありません。
経営者の収入は運営会社と契約している決まった賃料のため、毎月安定した収入を得ることが可能です。
しかし、コインパーキングの稼働率が上がってもオーナーの収入には反映されないので、一括借り上げ方式はローリスクローリターンであるといえます。
毎月固定の賃料を確保できれば十分と考える場合は、コインパーキングの一括借り上げ方式はメリットのある運営方法といえるでしょう。
特に、コインパーキングを初めて経営する方は、管理委託方式や自己経営方式よりも、お手軽な一括借り上げ方式がおすすめです。
一括借上げ方式の賃料相場
一括借上げ方式の賃料相場は駐車台数や土地周辺の環境によって大きく異なるため、一概に目安を示すことはできません。
はっきりしたデータや統計はないなか、よく聞くのは「月極の1.5〜2倍程度の収入を得られる」という話です。
所有する土地の周辺に月極駐車場があれば、その駐車場の賃料を調査するとコインパーキングをオープンした際の賃料が見えてくるはずです。
もう少しマクロなデータを拾ってみましょう。
東京23区の月極駐車場の相場は、月額で1台あたり2万~5万円程度です。
ここから一括借り上げ方式の賃料相場を弾くと、月額で3万~10万円程度になる計算ですが、上値のほうはそこまで伸びず、おおよそ7万5,000円程度です。
たとえば、駐車場10台分の土地をコインパーキング用に一括借り上げで貸し出した場合、土地オーナーの収入は1台3万円×10台分で月額30万円となります。
これは最低ラインですから、条件の良いコインパーキングであれば土地を貸し出すだけで毎月75万円程度が入る計算です。
コインパーキングの賃料相場を左右する条件はほかにもあります。
たとえば、周辺にコインパーキングが多ければ賃料には下押し圧力が働き、なければ希少性が高まって賃料を相場より高めに設定することも可能です。
一括借り上げ方式によるメリット
一括借り上げ方式でコインパーキング経営を行うと、収入面や業務の負担面で以下のメリットがあります。
メリット①収入が安定する
土地オーナーに毎月安定した収入が入ってくるのが、一括借り上げ方式のコインパーキング経営の大きなメリットといえます。
これが、管理委託方式だと、業者に管理を任せる部分が増えるほど費用がかかり、自分である程度運営業務をこなさないと、持ち出しが多くなってしまいます。
自己経営方式の場合は、利益はまるまる自分の収入となりますが、稼働率によって毎月の収入が大きく変動してしまうのが痛いところです。
運営業務を自分でやるとなると、当然、労務が発生し、それに見合う収入がなければコインパーキング経営のモチベーションも下がってしまいかねません。
しかし、一括借り上げ方式は契約した金額が毎月収入として入ってくるので、こうした不安定さからは解放されます。
メリット②初期費用・ランニングコストがかからない
コインパーキング開業の初期費用やランニングコスト(運営費)が一切かからないのも、一括借り上げ方式のよいところでしょう。
コインパーキングの改装や機械のメンテナンスにかかる費用も、運営会社の負担ですから、お金をかけずにコインパーキング経営を始めたい方にはおすすめです。
メリット③コインパーキングの利用者対応コストがかからない
コインパーキング経営では、設備の不具合や利用者同士のいざこざ、夜間の犯罪行為など、無人経営に伴うトラブルがつきものです。
その対応には、管理委託方式や自己経営方式であれば、オーナー経営者が責任者として対応しなければなりません。
しかし、一括借り上げ方式であれば、利用者同士のトラブルや駐車料金の未納問題などは運営会社が処理してくれます。
これは大きなポイントといえます。
運営会社のなかには24時間対応してくれるところもあるので、こうした面をアピールすれば、安心して利用できるコインパーキングとして集客にもつながるでしょう。
メリット④短期契約が可能
「将来のことは決めていないが、そう長くコインパーキングを続けるつもりはない」というオーナーの方にも一括借り上げ方式は向いています。
運営会社によっては、1か月単位で対応してくれるところもあり、設備費も運営会社の負担というのは一括借り上げ方式ならではの利点でしょう。
土地は余っているけれど長期間のコインパーキング経営は考えていないという方は、短期の土地活用法として一括借り上げ方式を検討してみることをおすすめします。
一括借り上げ方式によるデメリット
以上の通り、一括借り上げ方式によるコインパーキング経営にはさまざまなメリットがありますが、同様にデメリットも存在します。
開業してから後悔や失敗のないように、事前にデメリットについても押さえておきましょう。
デメリット①途中で賃料が下がる可能性がある
一括借り上げ方式は、オーナーの一存で家賃を決めることはできません。
運営会社が決めているので、契約内容によっては途中で賃料を下げられる可能性があります。
賃料を定める材料は、コインパーキングの稼働率です。
運営会社が見込んだほど稼働率が上がらず、またはキープできないと、賃料引き下げを通告されるかもしれません。
運営会社が提示する契約書に、“毎月の賃料が変動する”という内容が記載されているケースもあるため、契約前は内容をよく確認しておきましょう。
デメリット②売上が増えても収入は一定のまま
一括借り上げ方式では毎月、一定の収入が保証されている反面、コインパーキングの稼働率が上がったからといって、毎月の収入には反映されず、賃料は一定のままです。
なぜなら、一括借り上げ方式はコインパーキングの稼働率が上がっても、毎月契約した金額以上の収入は得られないことになっているからです。
コインパーキングの稼働状況が前提より悪い状態が続くと、前述の通り、賃料の減額を要求される場合がありますが、その逆はほとんどありません。
コインパーキング経営の運営会社の選び方
一括借り上げ方式を選択した場合、パートナーとなる運営会社はどのような基準で選んだらよいでしょうか。
ここからは、コインパーキング運営会社の選び方の主なポイントを紹介していきます。
ポイント①実績と受注数をチェック
駐車場オーナーとして注意したいのは、契約時に高い賃料を提示されても、コインパーキングの開業後に賃料の減額交渉を要求されるケースがあることです。
これは前述の通りです。
なぜ、そんなことになるかといえば、「事前調査の精度が低い」「稼働率を維持するための施策が不十分」であるためとされています。
つまり、運営会社側の見積もりの甘さや、経営努力の不足が原因なのですが、「事前に説明したはずです」と言われてしまえばそれまでです。
こうした減額要求を受けないためにも、運営会社選びの際は、事前調査や稼働率を維持するためにどのような対応をしているのかをチェックしておきましょう。
開業してから10年以上経過し、受注数が多い運営会社であればノウハウの蓄積も十分なはずなので、そのあたりを基準に選ぶのも一つの手です。
ポイント②清掃・メンテナンス体制がしっかりしている
料金以外でコインパーキングユーザーに訴求するポイントがあるなら、それは「きれいで、使いやすいこと」ではないでしょうか。
清掃・メンテナンスは、コインパーキングの管理運営の基本です。
いくら立地がよくても、不潔で安全性の低そうなコインパーキングはリピーターを獲得できないはずです。
委託する運営会社を決める際には、清掃やメンテナンスのマニュアルを見せてもらい、定期的な清掃・メンテナンス体制が組まれているかをチェックしましょう。
駐車機器が故障・破損したり、ごみや家具を不法投棄されたりした場合の対応も、しっかり確認しておく必要があります。
ポイント③トラブル対応が迅速
トラブル対応はコインパーキング管理運営の要です。
お客同士の諍いや近隣からのクレームなどのよくあるトラブルだけでなく、想定外の事例や難しい経営判断を迫られたときに、迅速に対応できる体制が組まれているかが重要です。
特に、警察も対応できないようなケースが発生した場合に、どのような対応をとることになっているのか確認しておきましょう。
経験・実績を活かしたサポート体制が、確立されているのかわかるポイントだからです。
ポイント④近隣との関係が良好
コインパーキング経営に、近隣との良好な関係構築は必須です。
オーナーや運営会社に関して悪い印象をもたれてしまうと、何かとクレームが多くなったり、コインパーキング経営からほかの土地活用法に転用したりしてもうまくいきません。
商店街組合の加入や、地域の催しへの参加・資金援助を依頼された場合にどのような対応をしているのかを聞いておけば、近隣との関係についておおよその感触がつかめます。
ポイント⑤担当者との相性が良い
運営会社にスキルが高くて、相性の良い担当者がいてくれると安心です。
来てくれた担当者に勤続年数や、何年ぐらいで担当者が交代するのかを聞いてみましょう。頻繁が交代だったり、逆にあまりに長期間異動をさせない会社だったりする場合は社員の扱いに問題があるので要注意です。
ポイント⑥業界団体に加盟している
コインパーキングの業界団体である、一般社団法人日本パーキングビジネス協会の加盟社であるかも、運営会社選びのポイントの一つです。
他社と横の連携を取っている会社は、業界内の新しい情報がたくさん入ってくるため、オーナーに対しても良い提案をしてくれる可能性が高いと考えられます。
よくある質問
Q1:「一括借上げ方式」とはそもそも何でしょうか?
一括借り上げ方式とは、土地を駐車場運営会社に貸し出し、毎月一定の賃料(借地料)を得るコインパーキングの経営方法のことです。
料金精算機や看板などの初期費用は、運営会社に負担してもらえます。
駐車場の稼働率に関係なく安定した収入を得られるうえ、駐車場の掃除や料金の回収、緊急時やトラブルへの対応といった管理業務もすべて任せられます。
「土地活用が初めてでよく分からない」「副業なので手間はかけたくない」という土地活用初心者には、リスクや負担が少なくおすすめの経営方法といえるでしょう。
一方、一括借り上げ方式によって得た収入は、あくまでも運営会社からの一定の賃料であるため、駐車場の稼働率が上がっても手にする収入は増えません。
時間や手間がかかってもより多く収益を得たいという人には、自己管理方式のほうが向いているといえます。
Q2:賃料が下がることはありますか?
一括借り上げ方式は、契約内容によって途中で賃料を下げられる可能性があります。
運営会社は、コインパーキングの稼働率に期待をして賃料を定めているため、望ましい稼働率ではなければ、賃料を引き下げたいと考え、契約書にもそう定めているからです。
コインパーキング経営を始めるならユアーズ・コーポレーション
ユアーズ・コーポレーションは、「ユアーズ・パーキングブランド」で知られる首都圏のコインパーキングサービスの草分け的存在です。
オーナーが所有している土地を、コインパーキングとして提供できるように整備し、開業後は利用者の募集などで、オーナーを側面からサポートしています。
同社の特色は、常に変動するコインパーキング市場に鑑み、駐車場事業を始める前に交通量や競合施設などの市場調査を行って、収益性を判断している点です。
この調査データをもとに、当該土地において最大需要が見込める駐車場の運営形態を探り、オーナーに進言しています。
その際、コインパーキングの需要以上の車室が確保できる事業地と判断されたら月極駐車場、カーシェアリングまたは駐輪の複合型の駐車場運営が提案されることもあります。
これらは「オーナーの収益維持あるいは更なる収益アップのためには、その時の状況に応じた運営形態が求められる」という“オーナーファースト“の方針に基づく行動なのです。
オーナーとのコミュニケーションを大切にしている姿勢は、首都圏のオーナー同士の情報交換の場である「ユアーズ・オーナー会」(2015年3月設立)にも表れています。
この会は「不動産活用と美しい街づくりを通じ、地域と人々の幸福に貢献すること」を目的に2015年3月に設立された親睦会で現在1,000名を超える会員が在籍しています。
活動内容は年3回の会報の発行、時代に即したテーマのセミナー・勉強会、イベントの開催などで、同会の事務局は、会員サポートの「よろず相談室」でもあるのです。
ユアーズ・コーポレーションの施工事例
物件名 | 三軒茶屋第6 | 立石第9 |
所在地 | 東京都世田谷区三軒茶屋1₋25 | 東京都葛飾区立石8₋10₋17 |
収容台数 | 4台 | 4台 |
利用金額 | 8時~22時 25分/200円 | 8時~19時 60分/200円 |
22時~8時 60分/100円 | 19時~8時 60分/100円 | |
24時間最大料金 1,800円 | 24時間最大料金 1,200円 | |
夜間最大料金 400円 | 夜間最大料金 400円 |
<三軒茶屋第6>
<立石第9>
一括借り上げ方式の賃料相場は月極の1.5~2倍程度
今回は、コインパーキング経営における一括借り上げ方式の賃料相場に焦点をあて、メリット・デメリット、間違いのない運営会社選びのポイントとともに解説しました。
一括借り上げ方式の賃料は、おおむね同規模の月極駐車場の1.5~2倍程度です。
管理委託方式や自己経営方式よりも安いですが、駐車場の開業、運営に関わる一切のコストや業務を運営会社に丸投げできるので、オーナーにとっては手軽な土地活用法といえます。
ユアーズ・コーポレーションはコインパーキング経営の草分け的存在として、多くのオーナー様とともに歩んできた土地活用のスペシャリストです。
所有地の有利な利活用法をお探しの方は、ぜひ、ご相談ください。