手軽に始められる駐車場経営ですが、レイアウトに起因する接触事故や利用する人のモラルが低いがゆえの、さまざまなトラブルが起こることも珍しくありません。
これらを放っておくと、経営に大きな影響が出てしまいます。
そうならないためにも、駐車場特有の問題点や対処法を理解しておくことは、スムーズな経営のために不可欠です。
トラブル事例を集めた本記事を読んで、揉め事の発生を防ぎ、トラブルに冷静に対応しましょう。
目次
駐車場経営で起こりがちなトラブルとは
駐車場経営で起こりやすいトラブルとはどんなものがあるでしょうか?
大きく分けると次の4種類に集約されます。
駐車場経営で起こりがちなトラブル
- 料金に関するトラブル
- 利用者に関するトラブル
- 近隣住民とのトラブル
- その他のトラブル
それぞれ、代表的な個別事例を挙げてみましょう。
料金に関するトラブル | 利用者に関するトラブル | 近隣住民とのトラブル | その他のトラブル |
料金の未払い | 駐車場内の事故 | 駐車場内の騒音 | 不正利用 |
料金表示への苦情 | 歩行者との事故 | 照明によるトラブル | ごみの不法投棄 |
誤精算トラブル | - | - | 機器の故障 |
- | - | - | 犯罪に巻き込まれる |
これらが、実際に駐車場でよく起こるトラブルです。
月極駐車場や個人でコインパーキング駐車場を経営する場合は、こうしたトラブルに目を光らせ運営・管理業務を行う必要があります。
コインパーキング会社と管理委託契約や一括借上げ契約を結んでいる場合は、トラブルはすべてコインパーキング業者の対応案件です。
トラブルが頻発するような駐車場には悪評が広まり、利用者に敬遠されがちなので、一刻も早く対策を講じる必要があります。
開設直後から、かような数々のトラブルにさらされるのが駐車場経営なわけで、気を抜けない商売というのがお分かりいただけるかと思います。
トラブルはなぜ発生するのか
これらのトラブルはなぜ発生するのでしょうか。
背景を探ると、そこには、周辺環境のリサーチ不足、利用者への情報不行き届き、入出庫時トラブルの不対策、管理不徹底といった原因が潜んでいることが多いようです。
これらのポイントをしっかりと押さえ、トラブルを未然に防ぐことができれば、駐車場経営はスムーズに運ぶことでしょう。
ここからは、上の表に挙げた中で、主なトラブル事例を5つ取り上げ要因と解決策を挙げていきます。
①料金未払いによるトラブル
駐車場経営のトラブルの中でも多いのが、この料金系のトラブルです。
料金の未払いは、月極駐車場で特に多く、その理由はコインパーキングのようなロック板もなく、料金を払わなくても利用できてしまうからだといわれています。
支払期日までに賃料を支払わない、滞納を続ける、口座引落しができない、正規の料金を支払わない、などが主な行為類型です。
利用者、運営者と日中の連絡がつかないと解決に時間がかかります。
一方的な契約解除もできないため、料金未払いトラブルを嫌って、不動産業者に管理業務を委託するケースも多いようです。
主な要因
料金未払いの要因にはまず、料金ルールが周知されていないことが挙げられます。
支払期日や料金設定は分かりやすくしましょう。
これが原因で払い忘れや残高不足で引き落とせない事態になりやすいからです。
中には、最初から支払わないつもりで契約してくる悪質な客も存在するので要注意です。
フラップ板やゲートを破壊して料金を踏み倒すといったコインパーキングの未払い事案は、管理不足が原因です。
解決策
支払い期日を守らせるには、料金設定を極力分かりやすいものに変えたり、前払い制度やまとめ払い優遇制度を導入したりしてみましょう。
悪質な客との契約回避には、保証人を立てて契約するのも一案です。
機器を破壊して無理やり入出庫するような粗暴犯には、防犯カメラ等を設置して見守りを強化するとともに、警察への通報システムを設けることも必要です。
定期的に清掃して場内を清潔に保つことも、きちんと管理が行われていることをアピールすることになります。
②事故によるトラブル
狭い駐車場内で車両が行き来すれば、車両同士の接触事故も発生しがちです。
駐車場内の事故は、利用者同士の事故であっても、駐車場オーナーの管理不行き届きが問われることもあるので、看過できません。
駐車場内で起こりやすい事故は「車同士の接触事故」「車と人との接触事故」「機材や壁、フェンスにぶつける物損事故」の3つです。
機材や設備の破損がひどいと修理に時間がかかり、その間営業ができずに、収益に影響が出るおそれもあります。
重大な人身事故、車両事故が起きた場合も、オーナーの民事責任が問われるので、そうならないよう、事前にできるだけの手を打っておきたいところです。
主な要因
事故が起きない駐車場、起きにくい駐車場、起こりやすい駐車場が存在する限り、車両事故の原因は、駐車場の形状や配置にあると考えられます。
駐車スペースが狭く停めづらい形状の駐車場では、車同士の接触機会が増え、見通しの悪い配置をしていると、入出庫時に車同士がぶつかるおそれが高まります。
解決策
本当は最初から事故が起きないレイアウトにするのがベストですが、事故が起きた際には場内のレイアウト変更を検討しましょう。
もし、同じポイントで事故が多発するなら、駐車スペースや機材の配置が原因の可能性が高いと言えます。
実際に自分で駐車してみて、レイアウトを再考するとよいでしょう。
近隣の駐車場も参考になるはずです。
防犯カメラの設置は事故の実態を確認するために必須です。
適切に管理し、見守りやメンテナンスを強化しましょう。
それでも、事故は防ぎきれないものなので、「場内の事故に関して責任は負いません」と看板や貼り紙で掲示するのもよいかもしれません。
③近隣との騒音トラブル
近隣とのトラブルで多いのは、騒音と照明に関するものです。
特に、騒音問題は駐車場開設反対運動に発展するケースもままあり、開業前に対策を打っておいたほうがよいでしょう。
駐車場は24時間稼働が基本なので、利用者が深夜・早朝に車を出し入れしてもおかしくなく、管理を怠っていると、近隣住民から苦情がくることもしばしばです。
確かに、昼夜問わずエンジン音や話し声が聞こえてくるようでは、周辺住民にストレスを感じるな、というほうが無理な話です。
借主が決まっている月極駐車場よりも、不特定多数が利用するコインパーキングのほうが、こうしたトラブルが起きやすいと言えます。
主な要因
騒音問題の原因は多くの場合、管理不足です。
管理がされていないことがわかると、質の良くない利用客が集まる傾向があります。
若者のたまり場になったり、ごみを不法投棄されたり、といったトラブルも起きやすくなります。
また、周辺環境のリサーチをおろそかにして、近隣への挨拶のないまま開業してしまうと、顔の見えないオーナーに対して近隣住民の風当たりも強くなりがちです。
特に、閑静な住宅地にコインパーキングを開設すると、需要もなく稼働率が低いところへ、近隣住民とのトラブルが頻発するという二重苦に見舞われます。
駐車場開設の際には、よく土地柄をリサーチして、住民トラブルが予想される場所では開業を強行しないほうがよいでしょう。
解決策
騒音問題を未然に防ぐには、防犯カメラの設置や定期的な見回りにより管理体制を整えることが不可欠です。
近隣住民の要請にいつでも対応できるよう、コインパーキングには24時間365日対応するコールセンターの設置が必要不可欠です。
コインパーキング経営は騒音問題と分離できない事業です。
月極駐車場の場合も、夜間に入出庫する契約者があれば無関係とは言えません。
騒音を100%防ぐことはできませんが、きちんと管理していることを知ってもらえれば、近隣からの苦情も和らぐはず。
とにかく、「このオーナーとなら話し合える、善後策を講じてくれそう」という信頼関係を築くことが大切です。
④不正駐車によるトラブル
不正駐車(不正利用)も駐車場トラブルで上位にくることが多いです。
なかには駐車場経営が立ち行かなくなるなど、深刻な被害も報告されています。
料金未払い同様、こちらも、月極駐車場でより多くの事例が発生しているもようです。
具体的には、次のようなトラブルが多く発生しています。
駐車場不正利用の例
- 契約していない人による無断駐車
- 契約者が不在の間に目を盗んで駐車
- スペースからはみ出した駐車
- 一時利用の駐車場と勘違いして駐車する
月極駐車場では、誰も見ていない、出入りも自由とあってか、車以外の物が置かれていることもあるようです。
長期間駐車したまま車両を放置されたら、裁判手続きを経てオーナーの負担で強制撤去せざるをえません。
これらの行為は、駐車場経営の利益が直接損なわれることはもちろん、利用者にも迷惑となり、不信感を招いたり、クレームにつながったりします。
主な要因
不正駐車トラブルも管理不足を背景に発生することが多いです。
特に、月極駐車場の場合は、コインパーキングより設備が簡素で人の出入りも少なく、時間も決まっており、監視の目が届きにくいので、不正利用の温床となりがちです。
解決策
放置車両は、見つけた段階で警察に相談しても事件性がない限り、警察は関与しないので不正利用や放置車両の特定はオーナーがやることになります。
まさに踏んだり蹴ったりです。
このような駐車場の不正利用防止には、定期的な見回りや防犯カメラの設置が有効とされています。
不正利用は、管理者の目が行き届かない場所で発生します。
定期的な見回りが行われている駐車場とわかれば、不正利用摘発のリスクが高まるので、大きな損失にはつながらないはずです。
防犯カメラの設置を知らせるだけでも抑止力になります。
フェイクでもよいので、安い商品を探してみましょう。
もちろん、本物のカメラであれば、不正利用の現場を映像で保存して有力な証拠とすることができます。
⑤ごみの投棄によるトラブル
ごみの不法投棄もよく聞かれる駐車場トラブルです。
駐車場が不法投棄に合いやすいのは、年中無休、24時間営業で出入り自由な場所だからです。
夜間こっそりやってきて、監視カメラに注意しながら家庭ごみを捨てていく不心得者があとを絶ちません。
捨てられるごみには空き缶やペットボトル、ペットの排泄物などのほか、使わなくなった家具や寝具などの大型ごみが投棄されるケースもあります。
ごみが散乱し、清潔感のない駐車場は利用者から敬遠され、近隣住民からも苦情がくるし、粗大ごみともなれば処分代とてバカになりません。
なんとか、ごみを捨てられないように対策を凝らすしかないでしょう。
主な要因
ごみの不法投棄の原因は管理不足が一番の原因です。
ごみが片づけられず、放置されていると、「ここに捨てればよいのか」と、次から次へと不法投棄が行われ、本当にごみ駐車場になってしまいます。
見た目も不衛生で、カラスに袋をつつかれて生ごみが散乱していたら目も当てられません。
解決策
定期的な巡回と清掃は、駐車場を守るために必須です。
「ごみの不法投棄禁止!」「ペットの排出物は持ち帰ってください!」などの張り紙や看板も設置してはどうでしょう。
また、防犯カメラをわざと目立つように設置したうえ、人通りが少ない夜間も駐車場内を明るく照らすようにすると、不法投棄者は近づきにくくなります。
土地オーナー自身が管理をしている場合、こまめな清掃や設備設置は自分でやる必要があります。
管理を駐車場運営会社に委託する場合も、責任をもってきちんと清掃をしてくれているか確認しましょう。
トラブルを未然に防ぐポイント
ここまで代表的な駐車場トラブルの対処法について解説してきました。
トラブルが発生したら、適切に対処することが大切ですが、それだとどうしても対処療法になりますし、経営へのダメージは発生してしまいます。
駐車場経営の特質上、トラブルの完全防止は難しいでしょうが、それでもできる限りトラブルを未然に防ぐよう準備しておきたいものです。
そしてもし、トラブルが起こってしまった際にも、被害を最小限にとどめるよう考えておくとよいでしょう。
以下の5つのポイントを押さえておけば、トラブルの未然防止に役立ちます。
本編で触れてきたものもありますが、ここでもう一度整理してみます。
駐車場トラブル未然防止のポイント
- 管理業者に委託するなら経験重視で
- 料金未払い相手には契約時に保証人を求める
- 思い切って一括前払い制を導入する
- 事故が起こりにくいレイアウトにこだわる
- 駐車場に責任がないことを規約に明記しておく
もし、駐車場の管理・運営を専門業者に任そうというのなら、経験を積んだ信頼のおける管理業者を選ぶことをおすすめします。
5つの代表例には挙げませんでしたが、土地オーナーと管理会社とのあいだでも、管理や賃料の扱いを巡るトラブルというのはよくあります。
とくに、管理会社の運営がずさんで、近隣から直接オーナーに苦情が来たり、管理会社の甘い収益見通しのせいで、いきなり賃料値下げを要求されたり、といった話が多いです。
駐車場運営のノウハウやデータが豊富にあり、しっかりとしたマーケティングに基づく賃料を提示する会社は、賃料値下げという由々しき事態を回避する努力をしてくれます。
こういう会社であれば、安心して任せられると判断してよいでしょう。
トラブル回避なら管理会社に委託するのが良策
数々の駐車場運営に関するトラブルは、個人経営ではなかなか対処が難しいのではないでしょうか。
不正利用やごみ投棄を監視するために、巡回に行ったり掃除をしたり、騒音トラブルで近隣との話し合いに応じたり、場内事故の際には警察に出向いたりする必要もあります。
監視カメラなどの対策グッズも個人で手配することになります。
トラブルが起きた、あるいは発見した際には、殺気だった関係者と渡り合わなくてはならないかもしれません。
冷静でかつ気が強く、腕力にもある程度自信がなければ務まらないでしょう。
そんな面倒や危険は嫌だ、というなら、管理業務を信頼できる業者に委託するしかありません。
契約書をよく読んで、トラブルが発生したら速やかに、かつ真摯に対応してくれる業者かどうかを確認しましょう。
口コミも案外役に立ちますよ。
駐車場経営トラブルへの対処法を身につけよう
駐車場経営は開業直後から、料金トラブルや不正利用、機材不良、事故、近隣住民とのイザコザといったさまざまなリスクを抱えています。
土地活用法として、月極あるいはコインパーキングの経営を思いついても、トラブル発生をおそれて諦めてしまう人も結構います。
適切な対応がとれれば、問題を大きくせずに解決することは可能です。
それにはまず、駐車場経営におけるトラブルの実例を知っておくことです。
この記事で紹介した対処法を読めば、もめごとに強くなり、トラブルに冷静に対応するための手助けになるはずです。
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