COLUMN LIST 駐車場の経営とは?利点欠点や成功させるためのコツを紹介

             
公開日 2024.01.26 更新日 2024.02.09
    

初期投資が少なく、参入撤退が容易な駐車場経営は、比較的ハードルの低い土地活用法です。
それでも、ビジネスとして成功させるには、入念な準備が欠かせません。
立地と形状でイケる!と判断して、いざ開業したら手ごわい競合がいたり、思ったほど契約数が伸びなかったり、という話も少なくないのが駐車場経営です。

 

本記事ではそんな駐車場経営を成功させるコツを、種類別・形態別・経営方法別にみた長所短所とともに解説します。

駐車場経営とは?

駐車場経営とは、空いている土地に駐車場を作り、それを貸し出すことで駐車料収入を得る土地活用法です。

 

いわゆる上物がなく、アパートやマンション経営に比べると少ない元手で始められるため、手軽な土地活用手段として人気があります。
決して収益性の高い土地活用法ではなく、収益重視なら他の選択肢となるかもしれませんが、そのぶん、初期費用や管理費用を抑えることができます。
低リスクで土地活用を始めたい方には魅力的な方法といえるでしょう。

 

そんな駐車場経営は大きく、コインパーキングと月極駐車場の2つに分かれます。
どちらを選択したらより収益が出るのかはケースバイケースですので、じっくり検討したいところです。

コインパーキング

精算機と車両を止め置くロック板によって無人で経営される駐車場です。
駐車の利用時間に応じて料金を支払うシステムなので、頻繁に利用され、駐車時間も長くなるほど、駐車場オーナーの利益も大きくなるわけです。

 

また、駐車台数の収益に直結するので、なるべく広い土地を駅周辺や観光施設付近に確保できれば、コインパーキングの適地となりえます。
スポット利用が大半なので、回転率が上がれば収益性は月極駐車場を上回ってきます。

 

コインパーキング経営は少ない初期投資で始められるほか、狭い土地でもお客がつけば利益が出ること、すぐスタートできてすぐに撤退できるなどが主なメリットです。

 

半面、集客は立地に左右されるほか、ビルの中に作られた機械式駐車場のように、土地の立体利用ができないので、効率的な土地利用法とはいえません。
また、税金も多く適用税率も高いです。

月極駐車場

月極駐車場とはその名の通り、1か月単位で賃料収入が見込める駐車場です。
特定の利用者と継続的な利用契約を結びます。
ゲートや精算機などの設備もいらず、コインパーキング以上に初期投資を抑えられます。
また、運営会社を頼らず、個人で経営・運営しやすいのが利点です。

 

他方、収益は立地条件や土地の形状(狭小地や変形地はマイナス)に左右されるし、競合者に負けて継続的な利用者を獲得できないと、赤字転落のリスクも大きくなります。
また、コインパーキング同様、土地の平面利用という制約を受けるほか、税制上のメリットもないので、大きく儲けるのはなかなか難しいのが実情です。
開業を考えるなら、周辺の駐車場などの様子を現地調査しておきましょう。

駐車場経営の方法とは

駐車場には大別3つの経営方式があります。
管理会社などに運営を丸投げする一括借り上げ方式自分だけで管理する自己経営方式駐車場の施工までをオーナーが受け持ち、利用開始後は管理会社に任せる管理委託方式です。

 

以下で、それぞれの違いを確認していきましょう。

一括借り上げ方式(サブリース)

一括借り上げ方式は、土地のオーナーが、駐車場用途に土地を貸して、地代(借地料)を得るだけの経営方式をいいます。
駐車場が空車の有無に関わらず毎月一定の賃料を得ることができますが、稼働率が上がったことによる利益の変動は管理会社に属するので貸主のオーナーには入りません。

 

また、管理業務はすべて業者が行うため労力がかかりませんが、その分手数料は高めに設定されています。
「土地を遊ばせておくよりは、誰かに貸すことで一定の収入を得られればよい」と考える方に向いています。

自己経営方式

機械の購入、設置、集金、清掃といった駐車場の運営、管理業務一切を自分だけで行う簡素な経営方式です。
長時間の労働となる日もあるでしょうが、中抜き利益は一切ないので駐車料金はまるまる自分の収入になります。
ただし、本業が終わったあとで管理人のようなことをして副収入を得よう、という片手間感覚では務まりません。

管理委託方式

管理会社に管理業務を依頼する管理委託方式は、経営のすべてを丸投げする一括借り上げ方式と違い、人任せにするのは面倒な管理作業だけです。
土地のオーナーが経営主体であるため、稼働率に比例して毎月の賃料収入が変動します。

 

毎月管理委託料がかかりますが、自分の駐車場が自宅から遠方の土地にある方や、駐車場経営に手前をかけたくない方、管理やトラブルへの対応に自信のない方にはおすすめです。

 

繰り返しになりますが、駐車場の建設から機械類の設置までの費用はオーナー負担で、毎月の収入にかかわらず、一定の管理委託料をとられるため、空車時のリスクは大きくなります。

駐車場経営のメリット

駐車場経営は、手軽に始められる遊休地の利用法として人気があります。
特に、立地や形状に恵まれていれば、ほかの利用法への転用を考えるより収益が見込めるので、その道のプロから「ぜひコインパーキングに」と勧誘があるかもしれません。

 

ここでは、駐車場経営のメリットを解説します。

メリット①初期費用が抑えられる

アパートやマンション、ビルを建てるとなると、まとまった資金や銀行借り入れが必要となり、一挙にハードルが上がりますが、駐車場経営ならそこまでの初期費用は要りません。
思い立ったら、それほどの時間をかけずに始められるのがメリットです。

 

すでに土地を所有しているなら、駐車場開業に必要なのは、舗装やライン引き、車止めのブロックの設置などわずかな整備費です。
駐車スペースが10台ほどの月極駐車場であれば、30万~40万円程度の初期費用で開業できますから、ローンを組むことなく始められるでしょう。

 

関連記事:駐車場経営の初期費用とは?コインパーキング経営のポイントも紹介

メリット②ほかの土地活用への切り替えが容易にできる

上物がないか、精算機やロック板程度の駐車場は、アパートやマンション経営などほかの業態への転用が容易です。

 

固定資産税分を捻出するため、不動産屋に連絡して駐車場を区割りしてもらい、集客を任せて駐車場経営を始めたとします。
利用者との契約期間が終わり、その土地を売却したり、ほかの利用法に転用したりするときも、不動産屋に前もって連絡すればよいだけで、特に費用がかかることはありません。

 

駐車場経営は転入転出が容易なビジネスなのです。

メリット③狭い土地でも経営できる

場所の制約も少ないのが駐車場経営のメリットです。
1台でも停めることができるスペースがあれば、狭小地や変形地でも開業できます。

 

コインパーキングの場合は、道路との間に傾斜や凸凹などの高低差がないほうが理想ですが、その場合もスロープ工事を行うか段差スロープを設置すれば問題は解消します。

メリット④災害のリスクが少ない

建物がない駐車場は、台風や大雪などの天候災害に強いのが特徴です。
地震によるコインパーキングの器物破損は心配ですが、これも修理が済めば即復旧が可能です。
また、地割れなどが発生した際には、アスファルト舗装やコンクリート舗装を行えば早期に経営を再開することができます。

駐車場経営のデメリット

駐車場経営ももちろんメリットばかりではなく、駐車場であるがゆえの固有事情からさまざまなデメリットも抱えています。

デメリット①収益が低い

繰り返しお伝えしている通り、土地を平面利用するしかない駐車場経営は、決して効率的な土地利用とはいえません。
アパートやマンションが複層展開で利益を生むのに比べれば、駐車場にしたことで逸失する利益は大きいものがあるといえるでしょう。

デメリット②税金の負担が大きい

税法上「更地」扱いとなる駐車場は、住宅用地のような固定資産税や都市計画税の減税対象にはなりません。
償却資産税や個人事業税、相続税についても優遇措置はありません。
特に、一括借り上げ方式で運営した場合は、必要経費が概念上も認められないので、非常に高額の税率が適用されます。

デメリット③立地の影響を受けやすい

駐車場経営は立地条件に左右されるビジネスであり、収益が出るか出ないかは、駐車場の周囲の環境によって決まります。
コインパーキングは近隣に観光施設や繁華街、駅がある駐車場需要が高い地域で、車の出入りが活発であることが儲かるための条件です。

 

月極駐車場は継続利用者になってもらえそうな住宅や法人契約が見込める企業があるか、どれだけ多くの駐車台数を確保できるか、が成否のカギを握ります。

デメリット④競合が多い

初期投資が小さく、低リスクで始められる駐車場経営ですが、そうである以上、競合者もまた多いのが実情です。
近隣に同規模のライバルがいれば、必然的に価格競争へと発展し、管理委託方式であれば、駐車場運営会社から「相場に合わない」と賃料の減額を要求されることもしばしばです。

 

駐車場ビジネスを始める前には、こうした競合に関する事前リサーチも怠ってはいけません。
もし、周辺に競合がいるようなら、そこの料金が上限と考えたうえで、将来的に利用料の協調値下げを余儀なくされる覚悟も必要です。

駐車場の形態とは?

駐車場の収益は、月極とコインパーキングの違い、自己経営か管理委託か、立地条件や競合の動向といった要素のほか、駐車場の形態にも大きく影響を受けます。

 

すなわち、「機械式駐車場」「自走式駐車場」「平面駐車場」という3つの形態別による違いです。

機械式駐車場

機械式駐車場とは、ドライバーが降車したあと、車を台(パレット)に乗せてモーターなどで立体的に車を搬送、格納する駐車場です。
車の出し入れは機械で行い、車は台車に乗せられたまま、縦に収容されます。

 

駐車場経営の平面利用の弱点を立体構造によって克服し、狭いスペースであってもたくさんの車を駐車できるようにした都会に多い土地利用法です。

自走式駐車場

自走式駐車場とは、百貨店やショッピングセンターなどで見かける、自分で駐車スペースまで走行させて停める大規模な立体駐車場です。
ゲートで入出庫の管理や精算を行うのが一般的で、上層階まで車で行ってエレベーターで降りてくるので、運転主にも負担がかかりません。

平面駐車場

平面駐車場は、平地にスペースを確保した、いわゆる青空駐車場のことですが、屋根付きのタイプもあります。
月極駐車場、コインパーキングの両方が可能で、必要な設備があまりないので少ない費用で始めることができます。
平面駐車場は土地を平面利用する贅沢な駐車場で、地価の高い都市部では、機械式の駐車場より大幅に割高な料金が設定されることが多いです。

駐車場経営を成功させるためのコツ

メリット・デメリットを踏まえたうえで、ここからは駐車場経営に乗り出す際、こんなところに気を配れば失敗の確率が下がるというポイントを6つご紹介します。

 

無人経営が基本の駐車場の場合、損益分岐点はもともと高くないので、コストを下げるより、駐車需要の見極めと運営のやり方にかかる比重が大きいといえます。

コツ①市場調査をきちんと行う

出店ビジネス全般に言えることですが、マーケティング調査は欠かせません。
特に、立地と形態に左右される駐車場経営は、開業場所に適しているのは月極かコインパーキングであるか見極めたり、車の往来から需要規模を判断したりする必要があります。

 

住宅地の中心部では月極駐車場の需要が高く、病院や商業施設の近くではコインパーキングの稼働率が高まる、というのが基本です。

コツ②適切な料金を設定する

料金設定は慎重に行いましょう。
立地条件を踏まえ、相場に合った適正な料金を設定しないといけません。
周辺の競合より高すぎては、よほどのセールスポイントがなければ集客は難しくなるし、低すぎては採算がとれません。

 

月極駐車場成功のコツは、料金設定にかかっており、それにはどれだけの需要があるか見込めることが大切です。
利用者が多い施設が近くにあれば、多少料金が高めでも、利用者が確保できることが予想されます。

 

これがコインパーキングであれば、料金の発生を30分刻みとするか1時間単位とするか、時間帯によって料金を変えるか否か、といったふうに経営戦術の余地が大きくなります。
利用者の属性やニーズ、土地柄、競合の価格設定を的確に把握し、稼働率が上がるような料金設定を考えていきましょう。

コツ③失敗するリスクも想定する

駐車場経営はリスクを想定することも大事です。
10台分の駐車スペースがあるからといって、常に満車を予想して利益をはじくのは現実的ではありません。
収入にはバラツキが出ることを大前提として、厳しめの収支予想で臨みたいところです。

 

特にコインパーキングは、1時間の空車でコストが大きく違ってくるので、甘い収支見通しは禁物です。
コインパーキングの稼働率は、立地によりますが平均20~30%程度で、これは24時間のうち5~7時間駐車場されている状態です。
もし、この水準を下回るようなら、駐車場運営はかなり厳しいと言わざるを得ません。

 

管理会社に利用予想や収益見込みを出してもらおうという方は、開業後の客足からそれが甘い想定ではないか、シビアにチェックすることをおすすめします。

コツ④利回りは「実質利回り」で考える

駐車場経営を金融商品の投資に見立てた場合、投資した金額に対しどの程度のリターンが得られるか、という視点が重要になります。
つまり、利回りですね。
利回りには、表面利回りと実質利回りがあり、それぞれの計算式は以下の通りです。

  • 表面利回り = 年間の収入 ÷ 総投資額 × 100
  • 実質利回り = (年間の収入 - 諸費用) ÷ 総投資額 × 100

この場合、重視すべきは、駐車場経営の維持費や修繕費といった諸費用を含んだ実質利回りのほうです。
実質的な収支を知るのに表面利回りはふさわしくありません。

 

管理会社によっては、利回りを大きく見せるために意図的に表面利回りによるプランを提示するケースもありますが、経費も鑑みたうえでの利回り判断が必要です。
これは、前述した「コツ③失敗するリスクも想定する」うえでも重要なことです。

コツ⑤初期費用はできるだけ抑える

駐車場経営は大規模な工事なしで始められるため、初期費用が安くて済む傾向にあります。
すでに土地を所有している場合は、開業にかかる費用は舗装やライン引きにかかる整備費ぐらい、と先ほども申し上げました。

 

ただし、コインパーキングや立体駐車場となればそうはいきません。

コインパーキングの場合は無人で運営するシステムを整備しなければならず、これには車をロックするためのフラット板や照明、精算機、監視カメラが必要です。
10台ほどの駐車スペースを想定した場合、予算は300万円以上必要です。

 

機械式の立体駐車場の経営となると、格段に大がかりになります。
階数や台数にもよりますが、大規模なものは、ちょっとしたビルを建てるようなもので、数千万円から億単位の投資となってしまいます。

 

しかしこうなると、本記事のテーマから逸れてくる感じもしますね。
ここは、月極ないしコインパーキングの話に限定しましょう。

 

失敗するリスクを考えるなら初期費用はなるべく抑えたほうがよいわけで、そうでなければ「低リスクだからこそ」の駐車場経営の前提が崩れてしまいます。

 

「儲けはそこそこでいいから初期投資は抑えたい」という方は、前述した「一括借り上げ方式」がおすすめです。
その土地を駐車場として利用するための整備費を管理会社が負担するので、土地オーナーの出費はありません。
管理・運営会社から毎月受け取る賃料は一定額で、駐車場の経営が好調で売上が想定を上回ってもオーナーの懐には入りませんが、その逆であっても安定した収入が保障されます。

 

そのほか、初期費用を管理会社に立て替えてもらい、駐車場の賃料で初期費用の返済を行う方法もあります。
収益が手元に残るのは返済が終わってからになりますが、初期費用をかけたくない方には検討に値する方法かもしれません。

コツ⑥駐車スペースの利便性を考える

商売はなんでもそうですが、どれだけお客様目線に立てるかが成否の分かれ道となります。
駐車場経営でいうなら、「利用者が車を停めやすい駐車場」であるかないかということです。
車室スペースに余裕のない駐車場では、自分や他人の車にぶつけて傷をつけてしまわないか、と誰しも考え、敬遠されがちとなるでしょう。

 

本当に停めやすい駐車場がどうか知るには、まず自分で駐車してみるのが一番です。

駐車場経営に向いている方

以上、駐車場経営のあれこれを解説しきましたが、最後に駐車場経営に向いているのはどんな方なのか考えてみましょう。

 

まず、よく言われるのが税金対策としての駐車場開設ですが、これはお伝えした通り、優遇措置がない以上、意味があるとはいえません。
相続税対策にもならないし、固定資産税などの軽減効果は住宅用地の特例が認められないので、「ない」といってもよいぐらいです。

 

そこで、税金対策を除外して考えると、駐車場経営をおすすめしたいのは、 土地活用の初心者や、将来的に転用する可能性のある土地を持っている方になるでしょうか。
多額の初期投資を必要とせず、経営リスクが低いのは間違いないので、「土地を遊ばせておくよりは」という方には、次の活用法が見つかるまでのつなぎとしても適しています。

 

これまでお伝えした通り、メリットの反面、デメリットも多いのが駐車場経営ですから、そのあたりを踏まえてあまり大きく儲けよう、とは考えずに始めるとよいでしょう。

駐車場経営、始める前にこれだけは知っておきたい

街中いたるところでみかける駐車場。
「経費もかからない感じだし、手持ちの土地で始めてみるか」とお考えの方もいるでしょう。
確かに、アパート経営などに比べて、少額なコストですぐに始められるのが駐車場経営の強みです。
そのぶん、収益性が低いのが難点ですが、土地活用が初めて、という方には向いています。

 

ただし、ビジネスとして取り組む以上、知っておきたいことは少なくありません。
自己管理か経営委託か、月極かコインパーキングか、税金などなど。
この記事はそんな疑問にお答えしましたので参考になさってください。

 

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土地活用をお考えなら、お気軽にご相談ください。

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