コインパーキング経営を始めるにあたり、土地を確保したら、そのあとは初期費用の用意、そしてランニングコストです。
これには税金を含めて雑多な項目があるので、あとで慌てることなく細大漏らさず支出をチェックしておきましょう。
これらすべてをひっくるめたものが、コインパーキングの開業資金です。
本稿ではそのあたりを解説します。
目次
コインパーキング経営にかかるランニングコストとは
コインパーキング経営のランニングコストにさまざまな費目が連なります。
自分の土地で、管理会社に頼らずすべて自営した前提で、主な必要経費を拾うと下のリストの通りです。
【コインパーキング経営のランニングコスト】
- 清掃費
- 電気代
- 設備メンテナンス費
- 消耗品の購入費用
- 集金のレシート費用
- 通信費
- 保険料
- 決済手数料
- 町内会費
- 遠隔システム費用
- 24時間対応の警備やコールセンター費用
これ以外にも、精算機などが不具合を起こした際は、その修理費がかかり、違法駐車のレッカー移動費建て替えなどの臨時出費も起こりえますから、あくまで通常時のコストです。
ランニングコストの内訳は、日々の運営管理のためのコストが大半で、文字通りの運転資金ですが、なかでも設備メンテナンス費用はもっとも重要な費目でしょう。
電気で動かす機器が多いコインパーキングは定期的なメンテナンスとともに、日々の機器保守も欠かせません。
これを怠ると、正常に機能しなかったり、思わぬ事故につながったりするリスクさえあります。
お客様が使っているあいだに動作が止まったり、精算機の紙切れが起きたりすると印象はかなり悪くなります。
主な点検箇所は、ゲートのバー、車をロックするフラップ板、監視防犯カメラ、精算機、照明などで、どれひとつ欠かせない駐車場運営の重要パーツです。
これらは定期的に設備更新の必要もあるので、計画的に修繕費を積み立てておきましょう。
駐車場内の清掃・及び巡回も大事な仕事です。
ゴミが放置されているような駐車場はお客様を遠ざけ、代わりに不審者などのトラブルを招き寄せます。
これらの日常業務を個人ですべて、24時間やりきるのは困難なので、管理運営を専門業者に委託したとすると管理委託料が別途かかります。
また、借地で開業した場合は、土地のレンタル料も経費にカウントされるので、駐車場経営を始めるなら最低、自前の土地を確保してからでないと苦しいといえるでしょう。
関連記事:土地なしのコインパーキング経営とは?始め方や注意点も紹介
事業存続を左右する税金
狭義のランニングコストには含まれませが、税金もまたコインパーキング経営における必要経費です。
というより、事業の存続に直接影響を及ぼす要因といってもよいでしょう。
土地や建物に立脚した事業であるコインパーキングに課せられる固有の税種は、固定資産税と都市計画税。
このほか、万民共通の所得税と相続税、それに消費税がかかります。
固定資産税は、土地や建物の評価額に1.4%をかけて求める税金。
都市計画税は、コインパーキングが市街化区域内にある場合に評価額に対して0.3%課税されます。
これらの税金は、所有している不動産の評価額で課税額が決まりますが、納税時に売上不振に陥っていても減税免税とはならないので、経営には大きな痛手となります。
土地の評価額は、毎年4,5月に送られてくる「固定資産税・都市計画税納税通知書」に記載されていますから、税額を確認して収支計算をしましょう。
コインパーキング経営を続けるかどうかはこれが終わってから判断しても遅くはありません。
とにもかくにも、ランニングコストと税金対応も考えないとコインパーキング経営は続けていけないのです。
コインパーキング経営で発生する初期費用の内訳
順序が逆になりましたが、コインパーキング経営を始める前にはまず、まとまった開業資金が必要になります。
それにはいったい、どのような費目があり、どれくらいかかるのでしょうか。
主なものは次の2つです。
関連記事:駐車場経営の初期費用とは?コインパーキング経営のポイントも紹介
土地整備費用
土地整備費用は、初期投資の内訳としてはもっとも比重が高い項目です。
コインパーキング経営を始める際には、更地をコインパーキングに適した形に整備する必要があります。
所有している土地が平坦でない場合には、土地の高さや形状を整える整地という作業が必要で、これにはおよそ1,200円~1,500円/㎡かかります。
整地した土地に砕石を敷き詰め、その上にアスファルトかコンクリートを舗装すればだいぶ駐車場っぽく見えてくるはずです。
多くはアスファルト舗装で、舗装費用はおよそ4,000~6,000円/㎡、コンクリートを使用する場合は、舗装費用はおよそ8,000~10,000円/㎡となります。
最後に、車室を区切るライン引きをしますが、これには最低でも5,000円/㎡程度の費用がかかります。
設備の導入・設置費用
土地の整備が終わったら、コインパーキングに必要な看板や精算機などの設備を据え付けます。
必要な設備とそれぞれの導入にかかる費用は以下のとおりです。
【コインパーキングに必要な設備と導入費用】
設備 | 費用 |
看板・照明 | 15万円~20万円 |
フェンス | 2万円/m |
監視カメラ | 1万円~ |
ロック板 | 10万円/台 |
精算機 | 40万~50万円/台 |
設置工事費 | 50万円~ |
看板は駐車場の認知効果を高め、誘導を容易くするためなるべく目立つように作成し、設置しましょう。
ロック板は車室に設けられる昇降式の板です。
駐車したときには板が上がって駐車時間を記録し、精算後には板が下がり、車を出庫できる仕組みです。
サブリースや管理委託方式の場合はコストの見立ても変わる
土地のオーナー自身でコインパーキングを経営する場合のランニングコストと初期費用については以上の通りです。
これがもし、コインパーキングの運営会社が経営全般を代行するサブリース(一括借り上げ方式)という経営方式であったらどうなるでしょう。
サブリースでは、初期費用やランニングコストを運営会社が負担するため、コインパーキング経営を0円から始められます。
ただし、オーナーが得る収入は土地の賃料のみなので、コインパーキングの売上が増えても、オーナーの帰属とはなりませんし、管理委託料も売上から差し引かれます。
オーナー自身で経営する場合はすべての売上が自身のものになりますが、そのための手間とコストを考えると、その部分を費用化して外部委託するのも十分ありでしょう。
運営会社に全面委託するサブリース以外にも、管理業務のみを委託する経営方式もありますから、どの方式でいくのかじっくり検討することをおすすめします。
コインパーキング経営を始める前に知っておきたい「利回り」とは
コインパーキング経営では、ランニングコストだけでなく、収益効率という視点も大切です。
この先、何年で初期投資を回収できるのか、年間どの程度の利益を期待できるのか、といった計算には「利回り」という考え方を用います。
最後にこの利回りについて簡単に触れておきます。
利回りには表面利回りと実質利回りがあります。
年間の料金(利用料)収入を初期費用で割ったものが表面利回り、年間の料金収入からランニングコストを差し引き、さらに初期費用を差し引いたものが実質利回りです。
それぞれの計算式は以下の通りです。
◎表面利回り
(料金収入÷初期費用)× 100 = 表面利回り(%)
◎実質利回り
(料金収入-ランニングコスト)- 初期費用 × 100 = 実質利回り(%)
表面利回りが高いほど、収益性の高い状態と判断できますが、簡素な計算法なため、正確な収益効率はこれでは分かりません。
実質利回りは、ランニングコストや税金を含めるため、表面利回りよりも低めの数値となる場合がありますが、収支バランスを確認するのに適しています。
より現実的な実質利回りを求めるには、稼働率を計算式に組み込む方法もあります。
◎稼働率を組み込んだ実質利回り
(料金収入 × 稼働率-ランニングコスト)- 初期費用 × 100 = 実質利回り(%)
関連記事:駐車場経営で重視すべきは「利回り」!最大化の決め手を解説
ランニングコストを計算し、利回りを知ろう
コインパーキング経営にかかわるランニングコストの種類や税金、必要な初期投資と費用について解説しました。
安定的な経営には、売上、コストの両面でできるだけ現実に即した精度の高い見積もりが必要です。
経営の健全度を知るためには、稼働率を考慮した実収入から、コストを除いた利回りがどの程度なのかという収支バランスにも意識を向けましょう。
コインパーキング運営会社とサブリース方式の契約を交わした場合は、初期費用とランニングコストの負担を抑えられます。
経営を始めるにあたっての費用や、運営にかかるコストを0円にしたい方は、ぜひ、ユアーズ・コーポレーションへの委託を含めてご検討ください。