COLUMN LIST コインパーキング経営にかかる税金を徹底解説

             
公開日 2024.04.30 更新日 2024.04.30
    

アパート経営などに比べて、初期費用が少なくて済み、撤退・転用も容易なコインパーキング経営は人気の土地活用法ですが、税負担が大きいのがデメリットです。

 

「土地を遊ばせておくよりは」と安易に始めると、節税効果の乏しさにがっかりしてしまいまいますが、工夫の余地がないわけではありません。
多くの税目が課せられているなか、減税措置を適用できる税金もいくつかあるので、その方法を解説します。
ぜひご一読ください。

コインパーキングについて

コインパーキングとは、車両をロックするロック板や自動料金精算機を駐車場内に設置した24時間利用可能な無人駐車場のことです。
契約者のみが利用する月極駐車場に対し、不特定多数の比較的短時間でのスポット的な利用を想定しており、駅の近くや繁華街、商業施設の近隣に多くみられます。

 

1991年12月に「タイムズ」の第1号の24時間無人時間貸駐車場が、東京都台東区で営業を開始したのが、コインパーキングのはじまりとされています。
最初はバブル崩壊後の短期的な虫食い遊休地対策だったわけですね。

 

車両を覆う屋根がなく地上にそのまま車を停めるという点では、いわゆる青空駐車場と似ていますが、共通点は実のところ、アスファルト舗装をしているところぐらいです。
青空駐車場は、ロープで駐車スペースを区切る、あるいは、アスファルト舗装の上に区画線を引いただけの極めて簡易な駐車場で、極力、設備投資を省略した作りになっています。

 

これに対し、コインパーキングは不特定多数を対象とした完全無人管理形式なので、精算機やロック板、防犯カメラなどの機器が多く、かなりの設備投資が必要です。

【コインパーキング】経営方式の種類

コインパーキングに限りませんが、駐車場の経営方式には次の3種類があります。
主に駐車場のオーナーがどこまで管理を行うかによって、区分されます。

自主管理方式

駐車場オーナーが自ら、駐車場経営のすべての管理運営を行う方式です。
賃料収入は全額オーナーの取り分となりますが、駐車場機材の購入・設置、日々の管理運営業務、及びそれにかかる費用はオーナーの負担となります。

 

当然、それにあてる時間や労力、ランニングコストの出費が必要となるわけです。
そのうえ、駐車場が自宅から遠方にあったりすると、現地に通うだけでも大変なのではないでしょうか。
もちろん、サラリーマンが副業として取り組むのは難しいでしょう。

管理委託方式

土地のオーナーが駐車場経営を行い、募集を含めた管理運営一切を管理会社に委託する方式です。
駐車場を整備したり、機械を設置したりといった初期投資はオーナーが行うことになります。

 

どこまで管理を委託するかは、業者との契約内容によって決めることができるため、清掃や巡回といった日常業務だけを管理会社に任せることも可能です。
管理会社に対して賃料(24時間満車状態として)の5~10%の手数料を支払い、残りが利益となります。

 

駐車場の利回りを追求しながら、手間をかけずに駐車場を運営したい方に向いています。

サブリース方式

運営会社(不動産会社など)に土地を一括して借り上げてもらい、土地のオーナーは地代の賃借料を受け取る方式です。
「一括借り上げ方式」ともよばれます。

 

土地のオーナーは駐車場経営に関わる一切の作業や費用の負担を、管理会社に丸投げできることと、駐車場の稼働状況にかかわらず毎月安定した収入を得られるのがメリットです。
アパート経営などのサブリースのように、不動産売却の際に売却価格が低下したり、建物の経年劣化を心配したりといったリスクもありません。

コインパーキング経営のメリット

さまざまな土地活用方法のなかでも、コインパーキング経営には以下のような多くのメリットがあります。

【コインパーキング経営のメリット】

  • 初期費用が少ない
  • 狭い土地や変形地でも始められる
  • すぐに始められて撤退も容易
  • 災害に強い
  • サブリースなら知識も初期資金も不要

コインパーキング経営の一番のメリットは、初期費用がかからない点です。
サブリースなら初期費用はゼロ、管理会社に委託する場合でも設置費などを負担してくれる管理会社と契約すれば、ごく少額の資金でスタートできます。

 

面積や形の制約を受けにくいのもコインパーキング経営のメリット。
1~2台でも駐車スペースを確保できれば、狭小地やいびつな土地でも開業できるのは他の土地利用法にはない強みです。

 

コインパーキング経営は、アパートやマンション経営のように建物を建てる必要がないので、工事の手配が済めば計画から1か月以内にオープンすることもできます。
経営から撤退する際も、大きな上物がないため解体の手間がかからず、ほかの用途への転用もスムーズです。
駐車場運営会社と契約している場合は、2か月前を目安に運営会社へ解約申し込みをするのが一般的です。

 

建物がないということはまた、風や大雪などの天候災害に強いということでもあります。
地震によるコインパーキングの器物破損や構内の地割れは心配ですが、賃貸住宅などに比べれば被害は少額でしょう。

アパート経営との比較

このように、コインパーキング経営は、立地や形状に恵まれていれば、他の利用法より短期間で収益化が見込め、転用も容易いので、土地活用法としては人気があります。
では、長い目で見た場合、土地活用法の“王道”とされるアパート・マンション経営と比較してどちらがお得でしょうか。
ここでは、対象をより近い規模のアパート経営に絞って説明します。

 

アパート経営がコインパーキング経営より優れている点としては、節税効果が大きいこと収益性が高いこと賃貸住宅を担保に融資を受けられること、が挙げられます。
アパート経営の場合、初期費用はかかりますが、そのぶん、平面展開のコインパーキング経営より収益性は高いです。
マンションを建てる資金はないが、コインパーキング経営より儲けたいと考える方には良い方法です。

 

逆に、この投資額の大きさはデメリットといえるし、建物だけに老朽化や災害リスクもコインパーキングの比ではありません。
また、サブリースの場合は特にそうですが、入居者トラブルも想定しておかねばならないし、初期投資がかかっている分、空室による収入減も大きな痛手となります。

低リスク重視ならコインパーキング経営

アパート経営とコインパーキング経営、どちらが有利か。
所有する土地の広さや立地、形状、手元資金によっても変わってくるでしょうが、土地活用で何をもっとも優先するのかによって選択肢は異なります。

 

ただ、何度も言うように、費用をかけずに安定収入を得たいなら、コインパーキング経営に分があります。

 

コインパーキング経営のメリットは何といっても初期投資額が少ない点です。
もし、サブリースなら元手0円から始められますが、アパート経営の場合は建設費用の5%程度を初期費用(自己資金)として用意しておく必要があります。
これらの初期費用をローンで賄うとすると、通常より高い金利負担が適用されるため、アパート経営の損益分岐点は高くなり、収益性を大きく下げてしまいます。
コインパーキング経営であれば、最低限、自前の土地を所有していることが条件ですが、アパート経営もローンに頼らない自己資金を持って始めることが成功への第一歩なのです。

コインパーキング経営で発生する費用項目

次に、コインパーキング経営を始めるにあたり、最初に発生する初期費用と、毎月のランニングコストの費用項目及びそれぞれの見積もりを紹介します。

初期費用

コインパーキングの立ち上げに必要な主な費用は、アスファルト舗装、電気工事、ロック板、精算機、防犯カメラ、看板などの整備費及び設置費です。
これらの初期費用は駐車区画10台分のコインパーキングで総額300万円ほどと見込まれます。

 

月極駐車場であれば、駐車場開業に必要な整備費は、舗装やライン引き、車止めのブロックの設置などわずかです。
コインパーキングの10分の1程度の30万円~40万円程度の初期費用で開業できますから、両者の初期費用の差は大きいといえます。

ランニングコスト

コインパーキング経営のランニングコストとして計上されるのは、管理委託費と固定資産税です(人件費は除く)。

 

管理委託費は、「全区画24時間満車状態の売り上げの5〜10%」が相場なので、そんなことはあり得ないコインパーキングの場合は5%としても結構な額に上ります。

 

ちなみに、新規利用者契約時の手数料の相場は、駐車場賃料の1か月相当といわれますから、最初は儲けゼロで始める覚悟が必要です。
ランニングコストを下げるには稼働時間を伸ばすか、利用料を上げるか、管理会社を変えるしかなく、そうした工夫と努力がコインパ-キング経営の真髄といえるのかもしれません。

税金

コインパーキングを含めた駐車場経営で発生する税金は、相続税、所得税、固定資産税、都市計画税、消費税、個人事業税、償却資産税など7税目に及びます(法人税除く)。
残念ながら、これらの税金すべてで節税ができるわけではありません。
詳しくは後述しますが、たとえば固定資産税については、コインパーキングの場合、一部の土地を除いて更地として扱われ、減額の適用はなしです。

 

節税を意図的にできるのは相続税、所得税、償却資産税などです。
相続税は相続した土地が更地で、アスファルト敷き駐車場にすれば特例として相続税評価額は50%減となります。

コインパーキング経営でかかる税金の種類

ここからは、コインパーキング経営で発生する税金の種類について、個別に取り上げていきます。

固定資産税

固定資産税は、土地や建物といった不動産に対してかかる、駐車場経営と関係の深い税金です。

 

固定資産税の税率は固定資産の価格(課税標準額)の1.4%と定められています。
課税標準額は、公示価格の約70%となっていますが、固定資産の評価額は、市町村から毎年送付される納税通知書を見ればわかります。

 

前述の通り、駐車場経営を行う土地には、「住宅用地の特例」が適用されません。
居住用の建物がある住宅用地はこの対象となり、課税標準額が最大1/6に軽減されるのですが、駐車場にかかる固定資産税は税制優遇の対象外です。

償却資産税

駐車場経営で使う「土地以外の10万円以上の器具・備品・設備(アスファルト舗装、外灯・フェンス、駐車機器等)」の所有者に課税されるのが償却資産税で、固定資産税の一種です。
償却資産税は固定資産税同様「課税標準額×税率1.4%」で求められます。

 

ここで使う課税標準額とは、設備ごとに取得価額から一定の算式で計算した償却費を控除して計算するので、償却資産税は年々減少していくのが救いです。
実際にこの税金がかかるのは、課税標準額の合計が150万円以上のときです。

都市計画税

都市計画で指定されている「市街化区域」内にある土地であれば、都市計画税の課税対象となります。
税率は 固定資産の価格(課税標準額)の0.3%と決まっています。

 

都市計画税に用いる課税標準額は、固定資産税と同じものです。
固定資産税と同様に、住宅用地であれば都市計画税も最大で1/3に減額されますが、駐車場の土地の場合は特例の対象外です。

消費税

駐車場経営の賃料収入には、消費税10%がかかる場合とかからない場合があり、その条件は免税点1,000万円を超えるか超えないかになります。

 

まず、非課税のケースは、土地整備をしていない駐車場、賃貸アパートに付属している駐車場などです。
土地を貸し付けるサブリースの場合は、土地のオーナーがアスファルト舗装などの整備をしないまま業者に貸し出れば賃料収入は非課税です。
ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税を納める義務のある課税事業者として扱われます。

 

また、サブリース方式において駐車場の整備をしたうえで貸し付けたり、あるいは管理委託方式で経営したりすると課税対象となります。
しかしこれらの場合でも、課税売上高が1,000万円を超えていなければ、免税です。

個人事業税

事業税とは、個人事業主や法人の所得・収入に応じて課せられる地方税のことで、都道府県によって税率が異なります。

 

このうち個人事業主に対して課されるものを、特に「個人事業税」とよび、駐車場経営者も対象に含まれますが、課税者を決めるのは都道府県です。
個人事業税がかかるのは収容台数10台以上の駐車場で、規模が小さい場合は所得税がかかるのが通例です。

 

個人事業税は次の方法で求めますが、自分で計算する必要はなく通知は都道府県からきます。

 

【個人事業税の税額計算】

  • 収入金額-必要経費=利益
  • 利益-各種控除額=個人事業税の所得額
  • 個人事業税の所得額×5%(標準税率)=個人事業税

所得税

駐車場の個人経営により所得を得ている人は、所得税の課税対象となります。
税率は所得の合計金額によって異なりますが、所得が増えれば税率も上がる累進課税制度が採用されています。
計算式は以下の通りです。

 

所得税=所得額(駐車場の収入金額-経費)×税率(5%~45%)-所得控除

 

なお、コインパーキング経営での所得税は、事業所得もしくは雑所得に区分されます。
ただし、サブリース方式でコインパーキング経営を行うと、不動産所得として扱われ税制上有利になります。

相続税

駐車場は登記簿上「雑種地」として評価されますが、運営の方法によって自用地・賃貸借に分かれるのがポイントです。

 

このうち、賃貸借とみなされるのが「サブリース方式」、自用地と評価されるのが「自己経営方式」と「管理委託方式」で、それぞれ相続税の評価額の計算方法が異なります。
サブリースで賃貸借とみなされるのは、駐車場設備や整備の費用を管理会社が負担する場合で、「相続税の評価額=自用地評価額-賃借権価額」となり、相続税は軽減されます。

コインパーキング経営における節税術

駐車場の土地は住宅用地に比べると、重い税負担が課せられていますが、節税対策はまったくないわけではありません。
ここで駐車場経営にかかる税金を減らすコツを4つご紹介します。

コツ①駐車場の設備費を抑える

個人で駐車場経営を行う場合、合計150万円以下の償却資産に対しては固定資産税が非課税となります。

 

駐車場経営における償却資産には、駐車料金自動収納装置、料金精算機、駐車券発行機、車止めなどがあり、これらをできる限り安くあげることで節税につながるということです。
また、1つの敷地で、土地の半分をコインパーキングに、半分を月極駐車場にするのも150万円の壁を超えない妙案です。

コツ②青色申告特別控除を受ける

青色申告の承認を受け、帳簿を作成して青色申告特別控除を適用すれば最大65万円、最低でも10万円の特別控除が受けられます。

 

経費の金額が大きいほど所得は小さくなります。
細かな経費を漏れなく計上する、申告方法を工夫する、といった方法で節税につながらないか工夫してみましょう。

コツ③建物の土地と一体利用する

節税効果の乏しい駐車場経営ですが、駐車場を住宅用地と一体化させると、住宅用地の特例が適用されるかもしれません。
所有しているアパートの敷地と駐車場が隣接しているラッキーなケースであれば、「アパートの駐車場として一体利用している」と税務署に申告してみましょう。

コツ④駐車場をアスファルト塗装する

相続した土地を活用して駐車場経営を始める場合、小規模宅地等の特例(貸付事業)として認められれば相続税の評価額を抑えることができ、相続税は減額されます。
アスファルト舗装をするだけでこの要件を満たし、200㎡までの土地の評価額を50%減額できます。

税負担重いコインパーキング経営だが節税の余地はある

今回はコインパーキング経営を始める際、知っておきたい税金問題について徹底解説しました。
コインパーキングの節税効果は高いとはいえませんが、アパート経営などに比べて事業自体のリスクは低く、手軽に始めたいという人にはおすすめしたい土地活用法です。
固定資産税をはじめ駐車場経営には多くの税目が課税されていますが、工夫次第では税金を下げる方法もあるので、この記事を参考にぜひ研究してみてください。

 

コインパーキングで土地活用をお考えなら、駐車場経営のベストパートナー、ユアーズ・コーポレーションまでお気軽にご相談ください。

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