自宅に駐車場を作る場合、どれくらいの土地が必要なのかご存じでしょうか。
そもそも、乗用車1台あたりの駐車スペースの目安を知らない方もいらっしゃることでしょう。
そこで本記事では、これから駐車場経営に乗り出そうという方に、月極とコインパーキングのそれぞれに必要な坪数も解説します。
儲かる駐車場経営は、坪数の持つ意味と駐車レイアウトの大切さを理解するところから始まります。
ぜひ、ご一読ください。
目次
駐車場に必要な坪数とは?
普通乗用車1台分に必要な駐車場の広さは、実は国のほうから指針が示されています。
国土交通省の「駐車場設計・施工指針」がそれで、「長さ6.0m×幅員2.5m」で必要な坪数は「約4.5坪」(約14.9㎡)とされています。
2台分の駐車スペースなら約9.0坪、3台分では約13.5坪の土地が必要ということですね。
言うまでもないことですが、複数台の車を所有していると、それだけ広い土地を購入、あるいは借地する必要があるわけです。
台数ごとに必要な坪数
前述の点から、台数ごとに必要な坪数を計算すると次のようになります。
【駐車台数あたりの必要な駐車スペース】
台数 | 必要な坪数 |
1台 | 4.5 |
2台 | 9.0 |
3台 | 13.5 |
4台 | 18.0 |
5台 | 22.5 |
これは、車を置くための空間である「駐車ます」の大きさを示したものです。
複数の車を停める場合は、車両の全長に「+30cm」、車両の全幅に「+50~80cm」程度の余裕があったほうが、ドアの開閉も心配ありません。
車種ごとに必要な坪数
車種によって車体の大きさが異なるので、駐車スペースも当然変わります。
車種ごとに異なる坪数を以下の表にまとめました。
【車種別必要な坪数】
対象車種 | 長さ(m) | 幅員(m) | 必要坪数 |
軽自動車 | 3.6 | 2 | 2.2 |
小型乗用車 | 5 | 2.3 | 3.5 |
普通乗用車 | 6 | 2.5 | 4.5 |
小型貨物車 | 7.7 | 3 | 7 |
大型貨物車・バス | 13 | 3.3 | 13 |
上記は、あくまで目安ですが、将来、車を買い替える場合、大きい車から小さい車へ乗り換える人はあまりいないので、なるべく上のクラスの車を想定しておいたほうがよいです。
軽自動車と普通乗用車では、必要な駐車スペースは2倍違います(軽自動車2.2坪、普通乗用車4.5坪)。
将来のライフプランも考慮しながら、どのくらいの坪数を確保しなければならないのかを確認しましょう。
駐車場の坪数を知る重要性
土地の坪数をきちんと把握することで、駐車場のエクステリアを正しく配置でき、「置きたいものが置けなかった」という、あとから困るようなこともなくなります。
駐車場設置に向き合う際、すべての土台となるのは土地の坪数を知ることなのです。
土地の広さという制約がある以上、土地の広さをもとに購入する車を決め、ほかのものを置くスペースや屋根柱の設置場所を考え、通行できる場所を確保しなければなりません。
無駄な費用や作業を減らせる
駐車場を作る場合、坪数を理解し、全体のレイアウトをイメージするという工程が欠かせません。
というのも、駐車場には車1台分の設置スペースに加え、車の向きを変えたり動かしたりするのに6mほどの車路が必要になります。
複数台の駐車になると、どうしてもこのくらいの余裕はみておかねばなりません。
さらに、コインパーキングであれば、出入り口に利用者の入出庫を制御するカーゲートの設置スペースが1~2坪必要になります。
これに必要なスペースがそもそも確保できているのか、すべての出発点であり、無駄な工事を防ぐためにも絶対に欠かせません。
完成してからの大幅な変更や追加工事は避けたいですし、作り終わったあとにデッドスペースがあるともったいないばかりか、不正駐車を誘発するおそれがあります。
関連記事:駐車場経営のトラブルは多い!よくある事例と解決策を解説
利益が増える可能性がある
土地の坪数を知ることは、駐車場を経営する場合にとても重要な要素になります。
たとえば、1㎡ほどのデッドスペースがあれば、自動販売機を置くことができますし、車を停めるスペースは確保できなくても、バイクを置くスペースは作れるかもしれません。
ムダをなくしコストを抑え、利益を上げるには、1坪あたりいくらの利益を生むことができるか、という視点が大切です。
駐車場の種類別に必要なスペース
前述したように、普通乗用車1台あたりに必要な駐車スペースは最低4.5坪といわれています。
ただし、余裕を持って入出庫するには2台分とまでは言わないまでも、1.5台分程度のスペースである7坪程度はあったほうが理想です。
ここからは、駐車場経営を念頭に、駐車場の種類別に必要なスペースを紹介します。
なお、車種はすべて普通乗用車に限定した場合とします。
コインパーキングの場合
コインパーキングの場合は、精算機や照明、看板などの機器を設置する場所や、出入口にもスペースを要するため、月極駐車場より大きめのスペースが必要です。
普通乗用車1台の駐車スペースを約4.5坪、2台分なら約9坪、これに精算機等などの設置スペースを考慮すると、最低10坪程度は確保したいところです。
ただ、この坪数では、少しでもデッドスペースがあると2台置けないので、長方形の土地でないとレイアウトには工夫を要します。
とはいえ、あまりスペースを広く取りすぎると不正駐車のおそれがあるので、適度な土地を確保したうえで、うまくスペースを使いきることが重要です。
関連記事:コインパーキング経営のすべてを集約!失敗しない始め方を徹底解説
月極駐車場の場合
お客様の利便性、快適性を重視するなら、月極駐車場の場合でも少し余裕のある設計としたいものです。
先ほど挙げた、1台あたり7坪程度のスペースが目安になります。
2.5mの幅数だと、自宅駐車場ならドアの開閉も都度注意して行うでしょうが、営業用の駐車場でお客様にいちいち神経を使わせるのはよくありません。
ドアを開けてから通路を確保するには、運転席側と助手席側の左右それぞれに0.6m、合計1.2mのスペースが必要です。
つまり、確保すべき横幅は「2.5m+1.2m」で3.7mとなります。
長さ(縦幅)は「車種別必要な坪数」表で示した6mあれば、トランクの開け閉めも特に問題なく行えるはずです。
以上から必要スペースを計算すると「3.7m×6.0m÷3.3=6.7坪」になり、これが前述した「1台あたり約7坪」の根拠です。
自宅の駐車場の場合
自家用車の駐車に必要なスペースは、車種によって変わってきます。
普通乗用車なら最低4.5坪程度、車の横を通る道を確保するなら6.7坪程度です。
これが軽車両であれば、必要な坪数は最低2.2坪、横幅は普通乗用車同様1.2mを足しても3.5坪程度あれば問題ないはずです。
実際に自宅に駐車場を作る場合、自転車や植木、屋根など、ほかに置きたいものがあるのなら、少しぐらい余裕のある設計にしたほうが利便性は高まるのではないでしょうか。
駐車場のレイアウトの種類
駐車場における、1台ごとに決められた区切りを「車室」といいますが、駐車しやすいレイアウトとするには、この車室の大きさや車路の面積に考慮する必要があります。
また、奥行き、出入り口の幅などもしっかり検討しなければなりません。
レイスアウトをおざなりにすると、「使いにくい駐車場」という悪評が立って、契約率が下がり収益に影響するので、開業前にもっとも気を配るべきポイントといえます。
以下でコインパーキングのレイアウト例について解説します。
種類①縦列
縦列駐車は、前面道路に対して縦に並べて停めるレイアウトです。
建物のサイドに奥行きがあり、間口に余裕がない細長い土地に向いていますが、車が並んだときに奥の車が出しにくくなるのがデメリットです。
使用頻度の少ない車を停める場合や、来客用として使いたい場合には適しています。
種類②並列
並列駐車は、前面道路に対して平行に車を置くレイアウトです。
間口は広くとれるものの、奥行きがない駐車場は直角駐車が困難なため、しばしばこの方法が用いられます。
入庫時にハンドルを繰り返し切り替えなければならないなど、駐車が難しいので運転初心者には敬遠されがちです。
また、車体の少なくとも倍の大きさの間口が必要です。
種類③直角
直角駐車は、前面道路に対して直角に車を置く方法で、戸建ての駐車場でもっとも採用されているレイアウトです。
車が横並びになり、車を出し入れしやすいのがメリットですが、排気口が家側になるので、駐車する位置によっては、窓から排気ガスの直撃を受けます。
直角のレイアウトにするには、前面道路の道幅に合わせて間口の幅を広げたり、ドアの可動域の確保に留意したりしなければなりません。
種類④L字
L字駐車は、前面道路に対してL字型に駐車するレイアウトです。
あまり奥行きがなく、三角形などいびつな形状の土地の有効活用法として採用されることが多いスタイルです。
2台分の駐車スペースを確保したうえ、空きスペースを自転車置き場などにも活用できます。
駐車場を作る際は坪数を把握し全体のレイアウトを重視しよう
いかがでしたでしょうか。
今回は、自動車の車種や台数ごとに、駐車場に必要な坪数を解説しながら、コインパーキングと月極駐車場で異なる最適スペースについても取り上げました。
普通乗用車1台あたりに必要な駐車スペースは最低4.5坪ですが、無理なく車を出し入れし、通路を確保するには7坪程度のスペースが欲しいところです。
駐車場経営に乗り出す際には、土地の坪数を把握し、効率的なレイアウトを追求することが何より大切です。
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