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コインパーキング経営のランニングコストは?税金も紹介

        
公開日 2024.03.28 更新日 2024.06.28
    

土地の有効活用の手段の一つとして、コインパーキング経営が挙げられます。
アパート・マンション経営など、土地活用のほかの手法と比較すると異なる点も多いため、詳しく知りたいとお考えのオーナー様も多いのではないでしょうか。

この記事では、駐車場経営を検討されているオーナー様に向けて、業界固有のランニングコストや、かかる税金を紹介します。
収益性などを比較検討するうえでも、ぜひ本記事の内容をお役立てください。

コインパーキングの3つの経営方式

はじめに、コインパーキングの経営方式を3つ紹介します。
これから駐車場経営に挑戦しようとお考えの方は、ご自身に合った方法を探す際の参考にしてみてくださいね。

①自主管理方式

自主管理方式は、用地取得からコインパーキングの整備、その後の運営管理まですべてオーナー様ご自身で行う方式です。
管理を委託しないため、業者へ手数料を支払う必要がなく、生じた利益はすべて自身のものとなります。
また、料金など、諸条件を自由に設定できるという、裁量性の高さも魅力です。

一方で日々の管理業務や広告宣伝を、すべてオーナー様ご自身で行わなければならないため、片手間感覚では難しいでしょう。
特に、自宅から離れているコインパーキング、あるいは複数のコインパーキングを自主管理する場合は、時間的制約、肉体的な負担も増します。
くわえて、敷地内でトラブルが起きれば、オーナー様ご自身が対応に当たらねばなりませんし、機器の故障時の修理費用はもちろん自分持ちです。

このように、自主管理方式は業者への手数料支払いがなく、裁量性が高いぶん、日々の管理業務や修理対応、広告宣伝をご自身で行う必要があるという点を、覚えておきましょう。

②管理委託方式

所有している土地をコインパーキングとして整備したうえで、管理・運営を管理会社などに委託するという方法もあります。

先述した、日々の管理業務をはじめ、トラブル対応や機器の修繕、広告宣伝を業者に任せられるので、オーナー様の負担を大幅に軽減可能です。
管理運営や集客のノウハウがない場合にも、良い選択肢となります。

所有している駐車場が自宅から離れている場合、日々の点検やトラブル対応のたびに、現地を訪れるのは現実的ではありません。
このような場合にコインパーキング周辺にある業者に管理委託することで、迅速かつ行き届いた管理を実現できるのです。

しかし、ここまでのことをやってもらう以上、無料というわけにはいかず、業者に対して収入の5~10%程度の管理手数料を支払う必要があります。
コインパーキング管理委託を行う場合、自主管理方式にはなかった手数料という支出項目がくわわる点に留意しておきましょう。

③一括借り上げ方式

一括借り上げ方式は、コインパーキングの整備から日々の管理、トラブル対応まで、専門業者に丸投げする経営手法です。
サブリース(又貸し)ともよばれ、アパート・マンションの経営手法としても用いられています。

業者が、法人としてコインパーキングの全区画を一括で借り上げるため、実際の稼働状況にかかわらず、契約に基づいた一定の収益が毎月、オーナー様に支払われます。
これにより、オーナー様は安定した駐車場経営を行うことが可能です。
この点は、稼働状況によってオーナー様の賃料収入が上下する管理委託方式と異なります。

また、管理の手離れが実現するというのも利点の一つです。
土地さえ用意できれば、業者が整備・広告宣伝等を行うので、オーナー様が経営・運営に携わることはありません。

初期費用だけでなく、経営を始めたあとのメンテナンス費用なども、原則業者負担です。
先述した通り、管理委託方式では、メンテナンス・修理費用はオーナー様が負担します。
そのため、業者から提示される修繕見積もりなどをチェックして承認する工数が発生します。
一括借り上げ方式であればそのような手間もなく、管理の完全な手離れを実現できるのです。

ただし、手数料は収益の15~20%程度と、管理委託方式よりも高めに設定されています。
一括借り上げ方式は固定収益志向の方におすすめできますが、稼働率が上がっても、オーナー様の収益へ反映されることはないので、儲け重視という方には向かないかもしれません。

コインパーキング経営のランニングコスト

続いて、コインパーキング経営に際して発生するランニングコストを6つ紹介します。
駐車場経営の収支予想を立てる際などに、お役立てください。

コスト➀電気代

コインパーキングを稼働させるうえでは、電気が必要不可欠です。
コインパーキングのタイプにもよりますが、概ね下記設備で電力を消費するため、電気代が発生します。

【コインパーキングの経営で発生する電気代の内訳】

  • 看板満空灯
  • 看板照明
  • 利用規約看板の照明
  • 精算機・各種決済端末
  • 場内照明
  • ロック板
  • ゲート機
  • 防犯カメラ
  • 遠隔システム

なお、毎月の発生する電気代の額は、コインパーキングの規模や電力会社によって異なります。

コスト②清掃・巡回費

日々の清掃・巡回費も発生します。

コインパーキング内は、定期清掃を行い清潔に保たなければなりません。
トラブル防止や、集客のうえでも重要なポイントですので、内容や頻度については慎重に検討することをおすすめします。

コスト③定期点検費

定期点検費は、コインパーキング内の機器類が正常に動作しているかを定期的にチェックする際に発生する費用です。

対象機器は、ロック板や防犯カメラ、精算機、照明などです。
定期点検で機器の不調や故障が発見された場合は、後述する修理や交換を行う必要があります。

コスト④保守点検費

機器類は点検するだけではなく、故障を未然に防ぐためにメンテナンスを行う必要性もあり、それにともなって発生するのが保守点検費です。

コインパーキングであれば、下記の機器類に対して、定期的なメンテナンスが必要です。

【コインパーキング内でメンテナンスが必要な機器類】

  • 料金精算機・各種決済端末
  • 場内照明
  • ロック板
  • ゲート機
  • 防犯カメラ
  • 遠隔システム

メンテナンスをしっかりと行うことで、機器の寿命を伸ばすことができ、また故障に起因したトラブルの未然防止にもつながります。

コスト⑤修理・交換費

コインパーキング内に設置している機器・設備が故障した場合は、修理・交換が必要です。

仮に、ゲートや精算機などの大型設備が故障して、部品交換となった場合、それらの費用負担は決して小さなものではありません。
コインパーキング経営を行ううえでは、定期的に発生するこのような出費も想定したうえで、備えを講じておく必要があります。

コスト⑥手数料

コインパーキングの運営を業者へ委託する、管理委託方式および一括借り上げ方式においては、契約に基づき、毎月一定の運営管理費(手数料)が発生します。
金額の目安としては、管理委託方式で収入の5~10%前後、一括借り上げ方式で15~20%程度です。

毎月、賃料収入から手数料が差し引かれた額が、オーナー様へ送金されます。

コインパーキング経営にかかる税金

ここからは、コインパーキング経営にかかる主だった税金をお伝えします。
日々発生する前記ランニングコストとは違いますが、経営を行ううえで押さえておかなくてはならない必要経費の一つです。

税金➀固定資産税

固定資産税は、主に土地や建物などの不動産に対して課せられる税金です。
コインパーキングの場合は、土地に対して課税されます。

課税額は、「土地と償却資産の評価額(課税標準額)×1.4%」で算出されます。
1.4%というのは固定資産税の標準税率ですが、市町村の判断により、財政上、特に必要があるときはこれを上回る税率を課すことが可能です。
なお、土地の評価額が30万円未満の場合は、固定資産税の課税対象外となります。

納税通知書は概ね、4~6月頃に届くので、納付期限までに滞りなく支払いましょう。

税金②償却資産税

償却資産税とは、土地や建物以外の償却資産にかかる税金のことです。
コインパーキングにおいては、アスファルトや精算機、ロック板やゲートが対象となります。

ただし、償却資産の評価額の合計が150万円以下の場合は、課税対象外です。

税金③都市計画税

都市計画税とは、都市整備を目的として、市街化区域内の土地・家屋を対象とした税金を指します。
税率は最大0.3%であり、また、土地の課税標準額が30万円未満、建物の課税標準額が20万円未満の場合は課税されません。
都市計画税も固定資産税と同様、4~6月頃に納税額が決定され、通知書が届きます。

税金④消費税

説明の必要はないかもしれませんが、消費税は商品・サービスの購入時に発生する税金です。
消費者側が負担し、商品・サービスの提供者である事業者側が納税します。
ご存じの通り、2024年3月現在、消費税率は10%です(酒類・外食を除く飲食料品と新聞は8%)。

なお、同じ駐車場経営でも、消費税の課税対象となる場合と、ならない場合があります。

用地にそのまま車を止めるタイプの“青空駐車場”は非課税であり、土地の整備を行い、設備導入をした場合は、課税対象です。
コインパーキングの場合は後者に該当するため、消費税の納税義務があるのです。

なお、対象となる2年前の売上高が1,000万円を下回った場合には、当該年度の消費税の納税義務は発生しません。

税金⑤所得税

所得税は、個人の所得に対してかかる税金のことです。
コインパーキング経営の収入も、所得とみなされて課税対象となります。

なお、所得税には累進課税制度が採用されており、コインパーキング経営によって得た収益が大きくなればなるほど、税率も高くなっていきます。

税金⑥個人事業税

事業を行う個人に対しては、個人事業税が課せられ、駐車場経営も例外ではありません。
法律で定められた70の業種別に、3~5%の税率が設定されており、コインパーキング経営の場合は5%が適用されます。

なお、個人事業税の納付期限は、毎年8月末日と11月末日の2回です。

 

関連記事:コインパーキング経営にかかる税金を徹底解説

コインパーキング経営における節税方法

このように、コインパーキング経営には多くの税目が課されていますが、少しでも納税額を減らす術はないでしょうか。

ここでは、節税術を2つ紹介します。

方法➀設備費を150万円以下に抑える

設備にかける費用を150万円以下にすることで、償却資産税の節税につながります。
先述した通り、償却資産税は、機器・設備の評価額が総額150万円を超えた場合に課税されるため、これを下回る評価額にできればよいというわけです。

コインパーキングにおいて、償却資産税の課税対象となる設備としては、精算機、ロック板・ゲート、フェンスなどが挙げられます。
なお、取得金額が10万円を下回る機器・設備は課税対象となりません。

大規模なコインパーキング経営でないのであれば、機器・設備の評価額を150万円以下に抑えられるか、調整してみることをおすすめします。

方法②小規模宅地等の特例を受ける

上記税金には含みませんが、大きな税金である相続税を節税する方法も紹介しましょう。

駐車場経営を行っている土地を相続するときは、相続人に相続税が課せられます。

この相続税は、小規模宅地等の特例を受けることで、節税が可能です。
アスファルト舗装を施すと、小規模宅地等の特例を受けられる場合があり、認められれば土地の評価額が50%ほど減額されます。
ただし、法律によって土地の広さが最大200㎡までと定められている点には留意が必要です。

将来的に駐車場の相続を視野に入れているのであれば、アスファルト舗装を検討しておくことをおすすめします。

ランニングコストと利回り

ランニングコストや税金について押さえたところで、コインパーキングの健全な経営のために重要な利回りについても知っておきましょう。
コインパーキング経営における利回りとは、投資額に対する満車想定での1年間の収入の割合を指し、「表面利回り」と「実質利回り」の2つに分かれます。

先述したランニングコストや税金がわかれば、これらを使って利回りも計算できるようになります。

表面利回り

表面利回りは、投資額に対する、1年間の収入額の割合のことです。
業者へ支払う手数料や、設備の修繕費といったランニングコストは加味されません。

あくまで、「何年程度で、資金回収できるか」という収益性を比較するための物差しとして役立ちます。

実質利回り

一方、実質利回りは、1年間の収入額からランニングコストや税金を差し引いた「純利益」の割合を示します。
表面利回りが、コインパーキングの収益性を判断する指標として用いられる一方で、実質利回りは、より現実的な細かいシミュレーションと言えます。

ランニングコストと税金を知ったうえでコインパーキング経営を始めよう!

今回はコインパーキング経営をテーマに、3つの経営方法や、ランニングコスト、税金について解説しました。

コインパーキングには、「自主管理」「管理委託」「一括借り上げ」の大きく3つの経営方法があります。
また、コインパーキングを経営する際の必要経費は、敷地内、設備の清掃や修繕などの運営管理ランニングコストと、固定資産税などの税金関連の大きく2つに分けられます。
健全な駐車場経営を行ううえでは、これらの費用を正しく把握することが大切です。

ユアーズ・コーポレーションでは、オーナー様にとってベストな経営をご提案いたします。土地の有効活用を検討されているオーナー様は、ぜひユアーズ・コーポレーションにお問い合わせください。

 

コラム監修者

太田 佳里

太田 佳里(オオタヨシサト)

パーキング事業部 マネージャー

宅地建物取引士 2級土木施工管理技師

<略歴>

駒澤大学を卒業後、不動産業界へ就職

<コメント>

弊社では創業から50年不動産の有効利用、資産管理を一貫して行ってまいりました。土地活用のエキスパートとしてオーナー様のご要望にお応えするサービスの提供を行ってまいります。

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