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実家が空き家になったら?管理方法や活用方法を解説

        
公開日 2025.10.09 更新日 2025.11.04
    

両親が他界された後、空き家となった実家をどう処分するか迷われていませんか?
いつまでも放置しておくと、リスクが多い空き家ですが、その処分や利用を考える前に、やらなければいけないことがいくつかあります。

 

この記事では、自分たちで空き家を管理する際に、必要な準備や用意したいもの、管理作業の流れから説明していきます。
実家が空き家となった場合の対処法について、ゆっくり学んでいきましょう。

空き家を管理する目的

空き家管理を行う目的は、いくつかありますが、ここでは建物の老朽化の抑制と資産価値の保持について取り上げます。

建物の老朽化を遅らせる

人が住まなくなった住宅は、傷みが早まるといわれます。
建物を長期間使用することなく締め切っていると、湿気がこもるのが理由の一つです。
定期的に換気して、屋内にこもっている湿気を逃がす必要があります。

建物の異常を早期に発見する

建物の異常を発見するには、定期的に建物の状態を確認することが望まれます。
雨漏りや外壁の剥がれ、軒裏の破損などは早い段階で発見しないと危険です。
特に雨漏りは発見が遅れると、建物の耐久性を損ねてしまうので、定期チェックが欠かせません。

 

また、外壁の剥がれといった建物外部の傷みは、通行人に怪我をさせてしまうおそれがあるので、見つけたら早急に対処してください。

空き家を管理する場合に必要な準備

しばらく空き家にすることを決めたら、相応の準備が必要です。
盗難や空き巣などの被害防止や、ライフラインを基本料金にとどめておくための措置がそれにあたります。
これらはまたご近所の不安解消や迷惑防止にもつながります。
空き家はそもそも長期放置が許されない社会問題なので、当面必要な最低限の措置であることを認識に、できるだけ早く解体、リフォームなどの改善策を講じるようにしましょう。

 

【空き家を管理するために必要な準備】

  • 貴重品や荷物の運び出し
  • 電気・ガス・水道などの閉栓
  • 郵便に関する処理(郵便受けを閉じる、郵便の転送手続きなど)
  • 湿気予防のための畳上げ
  • 貯湯タンク式の給湯器の水を抜き、凍結を防止
  • 台風で飛ばされそうな配置物の撤去
  • ご近所挨拶

このほか、侵入されやすい窓には、ホームセンターなどで購入できる補助錠を設置して防犯対策を施すのがおすすめです。

 

空き家周辺へのあいさつは、事前に「定期的に掃除や点検をしに来ます」と管理責任を示して安心してもらうために必ず行いましょう。

空き家を管理する際に用意したいもの

空き家に乗り込んで、さまざまな作業を行うのに必要な道具類はあらかじめ一覧表を作っておくと便利です。
ここで代表的なものをいくつか挙げておきます。

 

【空き家管理のために用意したいもの(例)】

  • スリッパ
  • ビニール袋、軍手
  • 雑巾、モップ、ウェットティッシュ、バケツ
  • ほうき、はたき、掃除機
  • 掃除用洗剤
  • ドライバーなどの工具類
  • ゴミ袋
  • 懐中電灯
  • 管理チェックシート

服装は動きやすく、汚れても良いものを選びましょう。
ハチなど害虫との遭遇や、夏の強い紫外線対策として、季節素材の長袖長ズボンがおすすめです。
雨天が予想される場合は雨ガッパや長靴の用意も欠かせません。

 

庭がある場合は雑草が繁茂して荒れ放題とならないよう、剪定(せんてい)バサミや脚立、草刈り用のカマなども準備しておきたいところです。
雨漏りやひび割れ、腐敗など気になる場所があるときは、画像や動画をカメラに収めておくと修理業者に依頼しやすいです。

 

作業を終えたら、修繕箇所や確認すべきポイントを管理チェックシートにメモしておけば、劣化の進み具合などの検証に役立ちます。

空き家の管理作業の流れ

次に、空き家の管理作業の流れを説明します。
基本的な作業手順は次の通りです。

 

【空き家の管理作業の基本的な手順】

  • 空き家周辺に異常がないかを確認
  • 室内の換気や通水(水道が通っている場合)
  • 郵便物の回収
  • 敷地内の確認・清掃(ゴミ拾い、草木の手入れ)
  • 水道メーターの確認
  • 室内の簡易清掃・点検(雨漏り、カビなど)
  • 戸締り
  • 懐中電灯
  • 管理チェックシート

 

これらの作業を滞りなく行うことによって、建物の劣化防止や害虫・不法投棄などのトラブル回避につながります。

実家が空き家となった場合の対処法

実家が空き家になった際の主な対処法は、売却する、賃貸に出す、更地にして活用する、相続放棄する、のいずれかです。
ここでは、実家を相続したという前提で考えていきます。

 

対処法それぞれにメリット・デメリットがありますが、空き家を放置すると固定資産税の負担や、建物の老朽化リスク、近隣トラブルなどに見舞われます。
できるだけ早く方針を決め、不動産業者や自治体に相談することが重要です。

対処法①空き家のまま管理する

あくまで期間を区切っての話ですが、空き家をそのまま自分で管理するという対処法です。
上記にその方法や必要なものを説明しましたが、必ずしも自分で管理する必要はなく、専門の管理会社へ委託するのも一つの方法です。

 

特に、不用品や思い出の品を保管しておきたい方、住まいが遠方のため、定期的に出向いて管理をするのが難しい方には、委託をおすすめします。

 

空き家をきれいな状態を保てておけば、トラブル防止にもなるし将来住むことになっても容易に移り住めます。
委託にかかる費用とサービス内容を比較考量のうえ、ご家族で話し合って検討してみましょう。

対処法②売却する

誰も住まなくなった実家が売却に耐えるほどの状態を維持していれば、売却を検討しましょう。
手放してしまえば、税金(固定資産税、相続性)の支出や維持管理費用・手間も不要になるし、老親の施設への入居費用を拠出する財源ともなり、一石二鳥です。
立地や状態が良ければ、希望の価格で売却できる可能性もあります。

 

なお、不動産を売却する前には、相続登記簿の書き換えと境界の確定が必要になります。
すぐに買主が見つかるとは限らないので、時間がかかる前提で準備を進めましょう。

対処法③賃貸に出す

実家を壊したくないものの自ら管理するのが難しい場合、賃貸に出して家賃収入を得るという方法もあります。
実家が遠方にあっても、管理会社に委託すれば入居や退去などの手続きを代行してくれるので安心です。

 

借主を見つけるためには、ニーズに合わせたリフォームが必要で、固定資産税や火災保険料、修繕費用なども発生します。
これらの支出は家賃収入でカバーすることが可能なので、借り手さえ見つかれば経営は軌道に乗るでしょう。

 

維持管理面でも、入居者がいれば安心ですし、不具合があればオーナーに連絡が届きます。
つまり、出向くことなしに実家の状態を把握することができるわけです。
家賃収入が得られて実家を維持できるという点では一考に値する手法といえます。

対処法④建物を解体して土地を活用する

建物の維持管理にお金をかけたくないときには、建物を解体し、更地にして活用するのがおすすめです。
駐車場やトランクルームとして貸し出せば、定期的な管理の負担が軽減し、その収入を親の介護費用などに充てることもできます。

 

信託会社や信託銀行に土地の所有権を移し運用してもらい、収益の一部を得る“土地信託”という方法もあります。

家を解体する際には解体費用がかかりますが、自治体の補助金制度を利用できる場合もあるので、役所に問い合わせてみましょう。

対処法⑤空き家バンクを利用する

空き家バンクとは、民間による空き家対策の一つで、空き家の売主や買主などをマッチングする制度です。
空き家の有効活用を目的に生まれました。

 

令和元年の国土交通省のアンケートによると、約7割の全国1,261の自治体で空き家バンクが設置されていますが、その後増えているはずです。
関心のある方は実家のある自治体に問い合わせてみてください。

 

空き家バンクを利用することで、空き家を探している方と効率的に情報を共有できます。
値段が折り合えば、すぐに買い手や借り手が見つかるでしょう。
ただし契約や交渉は自身で行わねばならず、不動産取引に関する専門的な知識を求められる場合もあります。

 

参照:国土交通省 空き家・空き地バンク未設置の自治体向け「空き家・空き地バンク導入のポイント集」を策定!

実家を空き家として管理する際のリスク

空き家になった実家を放置しておくと、さまざまな不都合が生じます。
維持費だけでなく、近隣住民に迷惑がかかることもあるため、いつまでそのままにしておくのか、あるいは処分、活用するのか、早めに方針を決めましょう。

 

ここでは、空き家を放置しておくリスクについて解説します。

管理・維持に費用がかかる

空き家を資産として持ちつづけていると、毎年固定資産税や都市計画税の支払い義務が生じます。
空き家でも建物が建っていれば住宅用地とみなされ、固定資産税の減免が適用されますが、後述する“特定空家等”に指定されてしまえば、その特例は取り消されます。

 

また、火災保険や地震保険の保険料、水道や電気の基本料金なども引き続きかかるため、その分の出費は避けられません。
地震や台風などで住宅が壊れた場合には、修繕費用も必要です。
空き家をただ持ちつづけるのは、想像以上にお金がかかるのです。

特定空き家に指定される可能性がある

放置空き家が、倒壊の危険、衛生上の問題、地域の景観や周辺の生活環境に悪影響を与えていると判断されると、自治体から“特定空家等“に指定されるかもしれません。

 

そうなると、固定資産税の“住宅用地特例”が受けられなくなり、税負担が一挙に重くなります。
段階的な改善指導を経て、最後の命令に至っても、これに従わないでいると、最終的に行政代執行による強制解体が行われ、費用の全額が空き家の所有者に請求されてしまいます。

 

特定空家の前段階である“管理不全空き家”に指定され、適切な管理を促された場合も同様に、早急に改善策を実行しないと危険です。

 

参照:NPO法人 空家・空地管理センター空き家ワンストップ相談窓口「特定空家に指定されるとどうなってしまいますか?」 

老朽化が進んで資産価値が下がる

空き家となった建物は、管理する人がいないため、傷みが早くなります。
水道を使った掃除や庭の手入れ、定期的な換気を怠ると、家は老朽化が進み資産価値が時間とともに下落していきます。
特に木造は鉄骨、鉄筋コンクリート造に比べ劣化のスピードが顕著です。

 

資産価値が下がると高値で売却できず、リフォームする際の修繕費用がかかります。
解体するとなると、これも予想外の出費となってのしかかってきます。
実家の処分方法が決まっていない場合は、なるべく保存の良い状態で残しておくことに越したことはないのです。

犯罪に巻き込まれるおそれがある

空き家を放置していると、犯罪に巻き込まれるおそれがあります。
空き巣や放火、不法投棄のほか、特殊詐欺グループの犯行拠点に使われたりするケースも報告されています。

 

ガラスやドア、鍵を壊して侵入し、家の中を荒らしてしまうので、建物の戸締まりをしていても安心できません。
空き家がひとたび犯罪の舞台となってしまえば、近隣住民に不安を与え、大きなトラブルに発展することもあり、注意が必要です。

実家を相続するために必要な手続き

ここでは、実家を相続する手続きについて解説します。

 

まず遺言書の確認と相続人の確定、相続財産の調査を行い、その後相続放棄または限定承認の検討を3か月以内に済ませます。
遺言書が見つかった場合は、そのなかで指定された相続人や受遺者も確認しなければなりません。

 

遺言書がない場合は遺産分割協議を経て、その結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続税が発生する場合は相続税の申告・納付を行います。
そして、最も重要な手続きである相続登記を行い、実家を自分の名義に変更する手続きが終了します。

【実家を相続する際に必要な手続き】

必要な手続き 概要
法定相続人を確認する 被相続人と相続人全員の戸籍謄本や除籍謄本を役所から取り寄せる
財産状況を確認する 預貯金や不動産、有価証券などのほか借金のようなマイナスの財産も含める
遺産分割協議を行う 遺産分割協議書には相続人全員が署名し実印を押印する
相続財産の名義変更手続きを行う 遺産分割協議書や戸籍謄本などを金融機関に提出する
相続税について申告し納付する 相続開始を知った日から10か月以内に行う
相続登記を行う 相続を知った日から3年以内に申請する

相続税の申告と納付は、相続開始を知った日から10か月以内に行わなければなりません。申告が必要になるのは、相続税の基礎控除額を超える場合です。

 

相続登記の申請に際しては、戸籍謄本や遺産分割協議書、固定資産評価証明書などの書類を法務局に提出します。

実家が空き家になったら早めに管理作業に着手しよう

両親の他界や施設への入居をきっかけに、実家が空き家となったら、家の内外の様子をチェックし、資産価値を保全するための管理作業を行います。
その後、兄弟などと協議し、売却、賃貸、更地にして活用、相続放棄などの今後の対処方針を決定します。

 

実家を相続することが決まったら、所定の手続きをすすめ、相続開始を知った日から10か月以内に相続税を納付し、3年以内に相続登記を済まさなくてはなりません。

 

実家を解体したあとの空き土地活用なら、土地活用アドバイザーのユアーズ・コーポレーションにご相談ください。

コラム監修者

太田 佳里

太田 佳里(オオタヨシサト)

株式会社ユアーズコーポレーション

パーキング事業部 マネージャー

宅地建物取引士 2級土木施工管理技師

<略歴>

駒澤大学を卒業後、不動産業界へ就職

<コメント>

弊社では創業から50年不動産の有効利用、資産管理を一貫して行ってまいりました。土地活用のエキスパートとしてオーナー様のご要望にお応えするサービスの提供を行ってまいります。

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