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月極駐車場経営という土地活用法のメリット・デメリットとは

        
公開日 2024.12.11 更新日 2024.12.11
    
土地活用 月極駐車場

老後も安定して資金を得るために、月極駐車場の経営を考えている方もいらっしゃるかもしれません。
月極駐車場以外にも土地活用の方法はあるなかで、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか気になるところですよね。

そこで本記事では、月極駐車場経営のメリット・デメリットを徹底解説します。
ご自身に合う土地活用法を押さえて、安心して経営を始めたい方はぜひ最後までご覧ください。

土地活用としての駐車場経営とは

所有している土地を、何かしらの方法で運用して収益を得ることを“土地活用”とよびます。
なかでも、初期費用を抑えて手軽に始められるのが駐車場経営です。

その駐車場経営と同じ括りとして扱われる土地活用法が、コインパーキング経営です。
エリアや時間帯によって利用者の数が左右されるもので、経営に際して土地の整備や設備の導入など、高額な初期費用がかかります。

また、アパート経営やマンション経営といった賃貸経営も土地活用であり、収益性が高いのが大きな特徴です。
駐車場経営はこれらの土地活用法と比べると収益性は低いですが、経営リスクは大きくないので、初めて経営される方におすすめです。

駐車場の種類

先述にて軽く触れた部分ではありますが、改めて駐車場の種類をおさらいしていきます。
駐車場は、月極駐車場とコインパーキングの2つに大別できます。

すでに何度も登場している月極駐車場とは、1か月単位で貸し出す駐車場のことです。
契約者からの賃料を毎月回収できるので、契約者がいる限り安定した経営が望めます。

また、空車があれば契約なしで誰でも利用できる時間貸し駐車場を、コインパーキングといいます。
契約台数によって収入が左右される月極駐車場とは違い、コインパーキングは利用時間の長さが収入に反映されるのが特徴です。

今回は、月極駐車場の経営にフォーカスをあてて、具体的な概要を掘り下げていきます。

月極駐車場の管理形態

月極駐車場の経営方式は、大きく3つに分けられます。
それぞれの特徴を確認したうえで、ご自身に合う経営方式を考えてみてください。

自主管理方式

自主管理方式は、駐車場経営に関わるすべてを自身で行う方法です。
土地の整備から駐車場の管理・運営まで一人で行うため、手間がかかるという点が最大のデメリットですが、そのぶん経営で上がった収入は全額手元に入ります。

駐車場経営を副業としている方にとっては難しい経営方式ではあるものの、日々の管理や手間を負担に感じず、最大の収益を得たい方にはおすすめです。

管理委託方式

駐車場経営は自身で行うものの、駐車場の管理を管理会社に委託する方法を管理委託方式といいます。
利用者からの賃料の回収業務や利用者の募集、トラブルの対応などを、管理会社に委託する方法です。

管理委託方式では、駐車場の管理を一任できるので手間がかからないこともそうですが、経営に関するアドバイスをもらえる点もうれしいポイントです。
「初めての経営で不安だから、サポートしてほしい」とお考えの方には、うってつけの経営方式といえます。

なお、委託する管理会社に手数料を支払う必要があるため、そのぶんの収益が減ることはあらかじめ理解しておきましょう。

一括借り上げ方式

一括借り上げ方式とは、売上に関係なく契約した管理会社から毎月固定の金額が支払われる方法のことです。
所有している土地を管理会社に貸し出し、毎月の賃料を受け取る仕組みなので、駐車場の経営状況に左右されず、毎月安定した収入を得られるのが最大のメリットです。

また、多くの場合、経営に際する初期費用を負担してくれる管理会社が増えてきています。
「できるだけ初期費用を抑えつつ、日々の管理も丸投げしたい!」とお考えの方にとって、安心して経営できる方法です。

月極駐車場を経営するメリット

駐車場経営の運用方式やそれぞれの特徴を押さえたところで、月極駐車場の経営にどのようなメリット・デメリットがあるのか、深掘りしていきましょう。
まずはメリットからご紹介します。

メリット①安定収入が見込める

月極駐車場経営は月単位での契約となるため、契約者がいる限りは安定した収入が得られます。

逆に言えば、契約者がいなければ収入は得られないので、空きが多い場合は、早急に応募を募らなければなりません。
その点一括借り上げ方式で運営や管理を管理会社に委託している場合は、契約者の募集も任せられるので、空車リスクの不安も不要です。

毎月の収入が最大限となるよう、できるだけすべての区画を契約で埋める工夫を施しましょう。

メリット②初期費用を抑えて始められる

月極駐車場経営では、機械を導入する必要がないため、初期コストを抑えて初心者でも気軽に始められます。

コインパーキング経営や賃貸経営といった土地活用では、数百万~数千万円単位の初期費用が必要になるケースがあります。
その点月極駐車場経営であれば、駐車するスペースを整備するだけで運用を開始できるのです。

「土地は所有しているものの、手元に大きな資金がない」という方でも安心です。

メリット③投資リスクが低い

月極駐車場を経営するメリットの一つに、投資リスクの低さも挙げられます。
前述の“初期投資を抑えられる”という話にもつながりますが、初期費用を抑えられるということは、つまりそのぶんの投資リスクが低くなるということです。

莫大な初期投資をかけて運用を始めた賃貸経営が、空室だらけで赤字になるケースは少なくありません。
仮に契約者が少なかったとしても、毎月コンスタントに収入を得られるので、経営開始前にかかった初期費用を回収できるほどの収益は見込めます。

メリット④ほかの土地活用に転用しやすい

機械や設備を必要としない月極駐車場経営は、出口戦略を立てやすい点も強みです。

賃貸経営の場合、ほかの土地活用に転用するにあたって、建物を取り壊しから始める必要があり、お金や手間がかかります。
対して月極駐車場経営では取り壊す建物がないため、借地として貸し出したり住宅を建てたりといった用途への転用が容易になります。

月極駐車場経営を始めたものの、なかなかうまくいかない場合に、別の土地活用へとすぐに移行できるのは、安心できるポイントでしょう。

月極駐車場を経営するデメリット

月極駐車場の運営はさまざまなメリットがある一方で、注意したいデメリットがあるのもまた事実です。
経営を始める前に、押さえておきたいデメリットも紹介します。

デメリット①利益が少ない

月極駐車場の経営において、初期投資額を抑えられるというメリットに対して、そのぶん収益性が低いというデメリットが紐づきます。

たとえば、駐車スペースが3台分、月額15,000円とした場合、月間45,000円が上限の売上となります。
逆に言えば、これ以上の売上は見込めないということです。

経営を始める前に収支計算を行ったうえで、収支のバランスを確認しておきましょう。

デメリット②利益率が悪くなることがある

月極駐車場を経営する場合、駐車場の場所によっては利益率が悪くなるため、立地選びがとても重要です。

月極駐車場の需要がほとんどない土地で経営を始めると、契約者が増えず収益も伸びません。
節税対策として駐車場経営を始めたにもかかわらず、固定資産税も初期投資額も回収できないという事態も考えられるのです。

デメリット③税金の軽減措置が受けられない

どのような土地であっても、所有していると固定資産税がかかります。
アパート経営やマンション経営の場合は、固定資産税や都市計画税などに優遇措置が適用されて減税されることがあります。

しかし、月額駐車場経営の場合は、その優遇措置が対象外となり減税が見込めません。
土地の節税のために土地活用をお考えの場合は、月額駐車場ではない賃貸経営などを検討しましょう。

デメリット④トラブルが起こりやすい

月極駐車場は、契約者による料金の滞納が起こりがちです。
自主経営方式の場合、滞納者への請求や集金などもすべて一人で行わなければならないため大きな手間がかかります。

駐車スペースが数台しかない小規模経営の場合、1台の滞納でも全体の収益には大きな痛手です。
滞納者との連絡がとれなくなり、未納分が踏み倒されるリスクも考えられます。

賃料の滞納を防ぐためにも、契約時には必ず契約書を結びましょう。

月極駐車場経営にかかる費用

ここで改めて月極駐車場の経営にかかる費用の内訳を確認しましょう。
あくまで目安程度ですが、それぞれの費用の目安も紹介するので、参考にしてみてください。

初期費用

月極駐車場には、料金精算機やフラップ板などの設備は必要ありません。
そのため初期費用としてかかるのは、土地の整備のみです。

アスファルト舗装をする場合は、1㎡あたり4,000~5,000円/㎡、耐久性の高いコンクリート舗装の場合は、1㎡あたり8,000~1万円/㎡が相場の費用です。
コンクリート舗装のほうがやや割高になることがわかります。
さらに、駐車マスのライン引きや車止め、看板などの費用が加算されるので、少しでも費用を抑えたい場合は、更地に砂利を敷いて駐車マスをロープで作るのがおすすめです。

また、経営前の土地の上に建物が立っている場合は、さらに解体費用がかかります。
具体的な費用は建物の大きさや構造などで異なりますが、木造であれば1坪3万~5万円、鉄骨造であれば1坪5万~7万円、鉄筋コンクリート造だと6万~8万円ほどです。

維持費

月極駐車場の経営では、初期費用以外にも維持費も費用です。

維持費には、賃料の集金や清掃などにかかる運営費、固定資産税、所得税、保険料などが含まれます。
このうち、税金は土地の広さや売上などで大きく差が出る部分です。

さらに、管理委託方式で、管理業務を委託する場合は、手数料である管理委託料も加算されます。

税金

維持費に含まれる税金について、もう少し深掘りしていきましょう。
具体的な項目は、固定資産税や都市計画税、償却資産税、消費税などです。

固定資産税は土地所有者に必ずかかるもので、土地が市街地区域内にある場合には都市計画税も課税されます。
償却資産税は、アスファルト舗装やコンクリート舗装など、駐車場設備にかかるものです。

なお、消費税は土地の整備をしていない更地に近い状態だとかかりません。
土地所有者が土地を整備して、管理会社あるいは所有者が駐車場を運営した場合は、課税されます。

月極駐車場はどれだけ稼げるのか

最後に、月極駐車場の経営における利回りや利益の仕組みを確認して、実際にどのくらい稼げるのか計算してみます。

シミュレーションの条件

月額賃料 1万円
駐車可能台数 10台
契約率 100%
初期費用 250万円
初期費用の内訳 コンクリート舗装費:150万円歩道縁石の工事費:50万円

 

上記を踏まえて、利回りから見ていきましょう。

月額賃料1万円×10万円×12か月/初期費用250万円=48%

利回りが48%ということは、2年弱で初期費用を回収でき、黒字経営となる数値です。
今回のシミュレーションは、契約率を100%としているため、契約台数が少なくなるともちろん得られる収入も減少します。
仮に契約率が年間50%とすると、収益は半分に、初期費用を回収するまでに倍の期間を要することになるので、契約率は常に100%を維持しておきたいところです。

より具体的な収益を求める場合、ランニングコストも視野に入れなければなりません。
最短で黒字経営に軌道を乗せるバランスを見極めましょう。

月極駐車場の経営で最重要なのは立地環境

収益を最大化させるためには、前述のように契約率を100%に保持したいところですが、立地によっては、思うようにいかない可能性があります。
契約率を左右するのは、立地がカギを握っているからです。

月極駐車場の需要が高いとされている、土地の条件を以下にまとめました。

契約につながりやすい土地の条件

  • 繁華街や大型商業施設周辺
  • 住宅地周辺
  • 駐車場の台数が少ない大規模マンションがあるところ
  • 車が出入りしやすいところ

できるだけ、上記の条件に合う立地を選び、契約率を伸ばしましょう。
この条件から離れた立地だと、初期費用の回収に時間がかかり、赤字経営が長引くおそれがあります。

月極駐車場で土地活用を始めよう!

今回は、月極駐車場の経営について、メリット・デメリットなどを詳しくお伝えしました。

月極駐車場は、経営に際しての初期費用が少なく、初めての方でも手軽に始められるのが最大のメリットです。
しかし、収益性が高くないので利益率が悪くなるケースがある点には注意しておきたいところです。

常に契約者が埋まっており収益を最大化させられるように、専門の管理会社に委託することも視野に入れましょう。

株式会社ユアーズ・コーポレーションでは、土地活用の実績は2,000件以上であり、これまでにさまざまなお悩みを抱えた方のご相談に乗ってきました。
駐車場の委託にも自信がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

コラム監修者

太田 佳里

太田 佳里(オオタヨシサト)

パーキング事業部 マネージャー

宅地建物取引士 2級土木施工管理技師

<略歴>

駒澤大学を卒業後、不動産業界へ就職

<コメント>

弊社では創業から50年不動産の有効利用、資産管理を一貫して行ってまいりました。土地活用のエキスパートとしてオーナー様のご要望にお応えするサービスの提供を行ってまいります。

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