土地売却を成功させるためには、適切な手順と準備が不可欠です。
この記事では、土地を効果的に売却するための方法と注意点を解説します。仲介と買取の違い、売却の詳しい流れ、高く売るための戦略など、土地売却に関する情報を提供し、売却の際の課題や解決策について深く掘り下げていきましょう。
目次
土地売却には仲介と買取の2種類の方法がある
土地を売却する際には、仲介と買取の2つの方法から選択できます。どちらの方法にもメリットとデメリットが存在し、自分の状況や売却の目的に合わせた選択が求められます。
ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説し、賢い土地売却を実現するためのポイントを見ていきましょう。
仲介のメリット・デメリット
仲介による土地売却は、不動産会社を通じて市場で買い手を見つける方法です。最大のメリットは、高値の市場価格で売れる可能性があることです。多くの買い手候補に対して広告を行い、最適な条件での取引が期待できます。
ただし、買い手が見つかるまでに時間がかかる場合があり、内覧対応などの手間が必要になることもデメリットとして挙げられます。
買取のメリット・デメリット
買取による土地売却は、不動産会社が直接、あらかじめ提示された価格で土地を購入する方法です。この方法のメリットは、速やかに現金化でき、買い替えや資金計画が立てやすいことにあります。また、買取後のトラブルが少なく、周囲に知られずに手続きが完了するためプライバシーも保護されます。
しかし、市場価格よりも低価格での取引になる可能性があるのがデメリットです。
土地売却の流れ
土地売却を完了させるためには、流れをしっかりと理解し、段階ごとに適切な対応を行うことが重要です。売却の流れは主に6つの段階に分けられるため、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
①事前準備
事前準備として、売却に関わる重要な事項を整理することが必要です。
はじめに売却の希望条件を設定しましょう。ローン残高の確認、希望する売却時期や価格の検討も大切です。続いて、売却する土地の市場価値を把握するために、周辺の土地価格と比較して相場を調べておきましょう。これにより、適切な売り出し価格の設定が可能です。
次に、土地の境界線の確認が必要です。売買する際は、土地の正確な範囲を明示することが法的に要求されます。不明瞭な境界線は隣接地との紛争を引き起こす可能性があるため、境界線を明確にしておきましょう。
これを行うためには、「確定測量図」を用意するのが最適です。もし手元に適切な測量図がなければ、土地家屋調査士に依頼して新たに測量を行い、必要な図面を作成してもらうことをおすすめします。
さらに、土地売却には他の法的文書も必要です。主な書類には身分証明書、実印、印鑑証明書、登記権利書、固定資産税評価証明書があります。相続土地の場合は売却前に名義変更を完了させておく必要があります。ストレスを感じずに売却を進めるために、これらの準備を整えておきましょう。
②不動産会社による査定
準備が完了したら、不動産会社に査定を依頼することが次のステップです。一般的に、不動産査定にはオンラインで情報を入力し簡易的な結果を得る「簡易査定」と、担当者が実際に現場に訪れて行う「訪問査定」の2つの方法が存在します。より詳細で正確な評価を望む場合は、訪問査定を選択しましょう。
訪問査定では、不動産の位置や地形、周辺の環境、敷地内の障害物の有無など、多くの要素が詳細にチェックされます。通常、この調査には約1週間ほどかかります。査定価格が提示された後は、その価格だけでなく、不動産会社の対応や信頼性、実績なども考慮し、納得できる不動産会社を選び、その会社と媒介契約を結びましょう。
③不動産会社による販売活動
媒介契約を不動産会社と結んだあとは、売り出し価格の設定が行われます。不動産会社から提案される査定価格を基に、売主が最終的な価格を決めるのが一般的です。
価格が決まれば、不動産会社は販売活動に入ります。これには、チラシの配布や、インターネット上の不動産サイトへの掲載などが含まれます。売主側では、土地の見た目を良くするために、雑草を取り除いたり、不要な物を片付けておきましょう。これにより、土地がより魅力的に見え、購入希望者の関心を引きやすいです。
④購入者との売買契約
買い手が見つかり価格に合意が得られた場合、売買契約を進めます。契約日には、不動産会社が買い手に対して契約内容や重要な事項を詳しく説明します。売り手も契約内容を事前に確認し、誤りがないか慎重にチェックすることが大切です。
契約書への署名と捺印は、売り手と買い手双方によって行われ、これが完了すると買い手から売り手へ手付金が支払われます。この手付金は、契約違反が発生した際には違約金として機能するものです。もし買い手が契約を破棄する場合は手付金を放棄し、売り手は受け取った手付金を返金するとともに、同額の違約金を支払い、契約が解除されます。
⑤手付金の残りを決済・引渡し
土地の引き渡し時には、手付金の残額が支払われることが一般的です。この時点で、売主は買主に全ての必要な書類を提供します。
もし買主が住宅ローンを使用している場合、決済は主に関連する金融機関で行われます。ローンに関する手続きが完了すると、その金融機関を通じて売主へ残額が支払われるのが通常の流れです。
⑥売却後の確定申告
売却が完了した後、次の年には確定申告が必要です。売却による利益、すなわち譲渡所得が発生している場合、これを申告し税金を納めることが義務付けられています。
また、特定の条件に該当する場合は、節税措置を適用することが可能です。そのため、確定申告を通じて税額を減らせます。確定申告時には、売却に関連するさまざまな費用を経費として申告可能です。これには測量費、解体作業費、仲介手数料などが含まれます。これらの費用を正確に計上するためにも、関連する領収書は必ず保管しておくことが重要です。
土地売却にかかる費用・税金は?
土地を売却する際には、さまざまな費用と税金が発生します。これらは売却価格に大きく影響を与えるため、事前に理解しておきましょう。
仲介手数料・費用
土地を売却するときには、不動産会社に仲介手数料を支払うことが一般的です。この手数料は売却価格に基づき計算され、契約によって異なります。また、ローンが残っている場合、その一括返済には繰上げ返済手数料が必要になることがあるので事前に確認しておきましょう。
土地の測量が必要な場合の測量費用や、更地にするための解体費用も、売却費用として計上されることがあります。
不動産売却時の主な税金
土地の売却に伴って、いくつかの税金が発生します。契約書に貼付するための印紙税、ローンの抵当権を抹消するための登録免許税、そして土地の売却益に対する譲渡所得税(所得税と住民税)です。
これらの税金は、売却プロセスにおいて重要な役割を担い、売却益の最終的な手取り額を決定します。
土地を高く売る方法
土地を売却する際、最大限の利益を確保することは多くの売主にとって重要な目標です。ここでは、土地を高額で売却するための方法を見ていきましょう。
- 土地を売るタイミングを見計らう
- 高く売ってくれる不動産会社を探す
- 売却理由やアピールポイントを整理する
- 隣地所有者に声をかけてみる
- 越境の覚書を締結しておく
- 古家や廃棄物は取り除いておく
- 駐車場のアスファルトは撤去しておく
土地を売るタイミングを見計らう
不動産、とくに土地の売却価格は、市場の需要と供給の関係に強く影響されます。売却を計画する際には、市場が最も活発な時期を狙って売り出すことが望ましいです。
たとえば、一般的に不動産市場が活発になるのは、新生活が始まる4月前の1月〜3月の間です。この時期に売り出すことで、良い条件で売却を進めることが可能になり、希望する価格での取引が実現しやすくなります。また、更地の場合は建築計画も考慮に入れ、適切な売り出しを行うことが理想的です。
高く売ってくれる不動産会社を探す
1つの不動産会社だけではなく、複数の会社に価格査定を依頼しましょう。これにより、1つの価格に依存せず、市場価値を正確に把握できます。また、不動産会社のサービスや対応を比較することも可能です。通常、オンラインや電話で簡単に行える簡易査定は、4社から5社に依頼すると良いでしょう。
一方で、より詳細な現地調査を伴う訪問査定は、3社程度が適切です。この際、土地売買に強い専門性を持つ不動産会社を選ぶことが望ましいです。たとえば、マンションや賃貸物件の取引に特化した会社ではなく、土地取引の経験が豊富な会社を選ぶべきでしょう。
また、地元の市場に精通した地域密着型の不動産会社や、広いネットワークを持つ大手不動産会社など、異なるタイプの会社に査定を依頼することで、より広い視野で土地の価値を評価できます。
売却理由やアピールポイントを整理する
土地を売る際には、できる限り迅速に、かつ高値での取引を目指すのが一般的な売主の願望です。一方で、買主も可能な限りお手頃価格で優れた土地を求めています。このため、売却する土地の特性や魅力を正確に伝えることが、双方にとっての信頼関係構築に影響します。
土地の詳細情報、とくに売却の理由は、透明性を持って買主に伝えるべきです。これには、土地の利点だけでなく、売却を決意した動機も含まれます。この情報を明確にすることで、買主に対して信頼性を示し、取引の進行をスムーズにすることが可能です。
隣地所有者に声をかけてみる
隣地所有者へ声かけしてみるのも有効な手段です。自分の土地を拡張するために、隣接する土地に対して高い関心を持つことが多いため、隣地所有者へ売却する方が高額になる可能性があります。
声をかける方法としては、不動産会社を通じて行う方法と、個人で直接連絡を取る方法があります。不動産会社を利用する場合は、営業担当者に指示を出すだけで、法的な問題も少なくスムーズに進めることが可能です。
一方、自分で直接声をかけようとを考えている場合は、締結している媒介契約の種類に注意しましょう。専属専任媒介契約の場合は自己発見取引が禁止されていますが、専任媒介契約ならば可能です。
一般媒介契約では、他の不動産会社にも依頼でき、自己発見取引も許可されています。既に隣地の所有者と良好な関係がある場合や、個人的に交渉を進めたい場合は、専属専任媒介契約を避け、専任媒介契約や一般媒介契約を選択することをおすすめします。これにより、柔軟に土地売却を進めることが可能です。
越境の覚書を締結しておく
土地売却において、越境の問題に対処するために覚書を締結することは、買主にとって魅力的な要素の1つです。越境の覚書とは、土地の境界線上に存在する越境物に関して、隣地所有者と合意に達した内容を文書化したものであり、この文書には、越境物の所有権や是正措置についての合意が含まれます。
越境物にはさまざまなものがあり、代表的なものとして木の枝、フェンスの基礎、ブロック塀、擁壁やエアコンの室外機などが挙げられます。これらの存在は是正が難しい場合に、土地売却の際の障害となる可能性が高いです。たとえば、擁壁の地下部分が隣地に越境しているようなケースでは、簡単には解決できません。
しかし、越境の覚書がある場合、これらの問題が買主にとっての不安要素を大幅に軽減します。そのため、覚書は買主にとって安心材料となり、売主にとっても高値での売却を促進する効果があります。覚書の作成は必須ではありませんが、存在する場合は土地の価値を向上させることが多く、印象を良くするためにも有効です。
越境の覚書の作成は、測量会社に依頼することが一般的であり、確定測量図を作成する際に一緒に依頼するのがおすすめです。越境物が存在しない場合には、覚書の必要はありませんが、不動産取引においては、これらの文書が取引の透明性を高め、双方にとって有利な条件を作り出す手助けとなるでしょう。
古家や廃棄物は取り除いておく
売却する際には、土地に存在している古家や廃棄物を取り除いておくのが、高額での売却につながることが多いです。古家や廃墟のような利用価値がない状態の建物がある場合、これらを事前に取り除くことをおすすめします。
利用価値があり、住むのに適している建物がある場合には、そのまま売却することでスムーズに取引が行われることもあります。しかし、廃墟等については買主にとって撤去が必要となるため、結果として土地の価格が下がる原因になります。廃棄物や使えない建物が残っていると、それだけで土地の魅力が大幅に低下し、売却自体が困難になることがあります。廃墟に近い状態の古家の場合、売主が事前に撤去しておくことで土地の価値を高めることができるでしょう。
完全に壊すべきかどうか迷う状態の古家がある場合は、一度、不動産会社に査定を依頼してみると良いでしょう。その査定結果を基に、建物を壊すべきかどうかの判断を行うことが、経済的にも無駄がなく効率的です。
駐車場のアスファルトは撤去しておく
駐車場として使用されている土地を売却する際には、アスファルトを撤去しておくことが、より高い価格で売るための戦略としておすすめです。
駐車場の契約を解除するのは比較的簡単であり、アスファルトが敷かれたままでも土地を売ること自体は可能ですが、アスファルトが残っていると、将来的にそれを撤去する必要が買主に発生します。
この撤去費用は、買主にとって追加の負担となり、土地の購入に際して交渉の材料として使われることがあります。結果的に、土地の売却価格が下がる可能性があるため、アスファルトを事前に撤去し、土地をすぐに利用できる状態にしておくことが望ましいです。
このようにしておくことで、土地が即座に使える魅力をアピールでき、より高い価格での売却が期待できます。
土地を売るときの注意点
土地の売却を考える際、いくつかの注意点に気をつける必要があります。ここでは、以下の注意点について詳しく見ていきましょう。
- 事前に相場を調査しておく
- 売却期間に余裕を持っておく
- 隣地との境界確定と測量を済ませる
- 相続した土地の相続登記をしておく
- ローンが完済できているか確認しておく
- 土地売却に必要な書類をしっかりと把握しておく
- 前面道路との関係に注意する
- 契約不適合責任の内容に注意する
- 借地や底地の売却ではトラブルに注意する
- 遠方の土地売却では現地の不動産会社に依頼する
- 共有の土地売却では登記簿謄本を取得しておく
- 重要事項は売買契約書にしっかりと記載する
事前に相場を調査しておく
土地を売却する際には、不動産会社に査定を依頼する前に自分で市場の相場を調査しておきましょう。
これは、提案された査定価格が適切かどうかを判断するために重要です。相場を事前に把握しておくことで、査定結果に対しても納得感を持つことができ、より適切な価格設定で土地を売り出すことが可能です。
土地の相場価格は、国土交通省の土地総合情報システムを利用して調べられます。このシステムでは、具体的な地域における土地取引の実績が詳細に記載されており、坪単価などのデータを通じて、その地域の土地価格の傾向を理解することが可能です。したがって、売却を開始する前に、これらの情報を活用して市場価格を把握し、適切な取引の準備を整えることが重要です。
売却期間に余裕を持っておく
土地を売却する際には、計画性を持ってスケジュールを立てましょう。スケジュールに余裕を持たない場合、売却が急がされることになり、結果として不利な条件で土地を売却してしまうリスクが高まります。公益財団法人東日本不動産流通機構のデータによると、首都圏での土地売却は過去10年の平均で約94.3日、つまり約3か月が必要であることが示されています。
しかし、これはあくまで平均的な数値であり、売却期間は状況によって長くなることもあるので注意しましょう。このため、売却を始める際は、時間に余裕をもって準備を進めることがおすすめです。余裕を持つことで、市場の動向を見極めながら最適な売却のタイミングを選ぶことが可能となり、焦ることなく適切な価格で土地を売却できるチャンスが増えます。
隣地との境界確定と測量を済ませる
土地を売却する際には、隣接地との境界を明確にしておきましょう。境界が不明確な状態では、将来的に隣地との間でトラブルが発生するリスクがあります。境界を明確にするためには、境界標を設置し、土地家屋調査士が作成する境界確定図を取得する必要があります。
境界標はコンクリートなどの耐久性のある材料で作られており、土地の端を示す重要なマークです。これが設置されていない場合は、専門の土地家屋調査士に依頼して新たに設置しておきましょう。これにより、土地の正確な境界線が確認でき、売却がスムーズに進行し、将来的な問題発生の可能性を低減できます。
相続した土地の相続登記をしておく
相続した土地を売却する前には、名義変更、つまり相続登記を完了させる必要があります。相続により土地は、相続人の間で共有状態になるのが一般的です。このため、土地の正式な所有者が誰であるかを明確にするために、登記簿に記載される登記事項証明書の名義を更新する必要があります。
相続登記がなされていない場合、土地の売却は法的に認められません。相続登記を行うには、戸籍謄本や除籍謄本、さらには住民票などが必要です。この手続きは自分で行うことも可能ですが、多くの時間と手間を要するため、司法書士に依頼するのが良いでしょう。司法書士による登記手続きの手数料は、5万円〜10万円程度です。
さらに、相続した土地を売却する際には、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」という税制優遇措置を利用できます。この特例は、相続した財産を相続発生後3年以内に売却する場合、一定額を取得費に加算して、譲渡所得税を軽減できる制度です。
この特例を利用するためには、相続税が課税された財産であること、及び適切な確定申告が必要です。このように、相続した土地を売却する際には、法的手続きと税務処理の両方に注意を払いましょう。
関連記事:土地の相続放棄はできないの?不要な土地の手放し方を解説
ローンが完済できているか確認しておく
土地にかけられているローンが完済されているかどうかを必ず確認しておきましょう。もし住宅ローンなどの残債がある場合、土地を売却してもローンを完済できるかどうかが重要なポイントです。売却価格がローン残高をカバーできない場合、売主は自己資金を使って残債を清算する必要が出てきます。
ローンの残債状況は償還表(返済予定表)を参照することで確認できます。もし償還表が手元にない場合は、担当の金融機関に問い合わせて具体的な情報を取得すると良いでしょう。
土地売却に必要な書類をしっかりと把握しておく
土地売却においてスムーズな取引を行うためには、事前に必要な書類を整えておくことが重要です。ここで紹介するのは、売買契約を効率良く進めるために必要となる一般的な書類です。
- 登記済証または登記識別情報:この文書は土地の所有権を証明するもので、通常「権利書」として知られています。土地の正式な所有者が誰であるかを証明する際に必須です。
- 固定資産税納税通知書:これは毎年5月〜6月にかけて発行され、土地の面積や評価額が記載されています。この書類は土地の価値を示す重要な資料です。
- 土地測量図および境界確認書:これらの文書は土地の正確な面積と境界線が明記されており、土地の具体的な範囲を示すために必要です。
- 住宅ローン償還表:この書類には住宅ローンの残高が記載されており、売却時にローンが残っている場合にはこの残高を清算する必要があります。
- 購入時の売買契約書および重要事項説明書:土地の購入時に交わされた契約書や重要事項の説明書は、土地の詳細や条件を確認する際に役立つ書類です。
これらの書類を揃えておくことで、売買契約の際に不測のトラブルを避けられます。すべての書類が揃っていないと必ずしも売買契約ができないわけではありませんが、事前にこれらの有無を確認し、準備しておくと安心です。
前面道路との関係に注意する
土地を売却する際、土地が接する道路の種類とその特性を理解しておくことは重要です。道路には大きく分けて公道と私道の2つのタイプがあります。建築基準法では、建物を建築するためには、幅員4m以上の道路に少なくとも2m以上接している必要があると定められているので、事前に確認しておきましょう。
この要件を満たさない土地では、基本的に建築許可が下りず、したがってその土地の資産価値が低下してしまいます。再建築不可の土地は市場価値が大幅に下がり、地域の相場価格で売却するのが難しくなることがあります。土地の査定価格も、前面道路の種類や幅によって大きく変動するため、売却前にこれらの情報を正確に把握しておきましょう。
道路の詳細については、地元の役所で確認できます。これにより、土地がどの程度の価値を持つか、またどのような制限があるのかを理解し、適切に売却計画を立てることが可能です。
契約不適合責任の内容に注意する
土地を売却する際、契約不適合責任について十分な注意が必要です。この責任は、売り渡された物件が契約内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う法的な義務を指します。以下は契約不適合責任が問われる典型的な状況です。
- 契約で取り決めた土地面積より実際の面積が小さい場合
- 土地内に予期せぬ埋設物が発見され、その撤去が必要な場合
- 土地が環境汚染により汚染されている事実が後に判明した場合
- 売却前に発生した事故や事件が心理的瑕疵を引き起こすものであったにも関わらず、その情報の開示がなかった場合
これらの事例では、売主に対して損害賠償請求や代金の減額請求が行われる可能性があります。
したがって、土地売却時には契約の条項を明確にし、隠れた瑕疵がないかを事前に調査し、必要な情報を全て買主に提供することが重要です。これにより、トラブルを避け、両者間の信頼を保持できます。
借地や底地の売却ではトラブルに注意する
借地および底地の売却は注意が必要です。これらの取引には独特の複雑性が伴います。借地とは土地を地主から借りている状態を指し、底地はその土地の所有権を示します。
物理的には一致していますが、法的な概念としては異なり、借地人にとっては借地、地主にとっては底地として扱われる点を理解しておきましょう。売却が最もスムーズに進むのは、借地人自身が土地を購入する場合です。
しかし、価格面での合意が得られなかったり、借地人が購入意欲を示さない場合もあります。底地を売却する際には、一般的に投資家が関心を持つことが多いですが、専門の買取業者を利用するのも有効な選択肢です。借地人と正式な借地契約が結ばれている場合、地代や契約更新料の詳細が明確に記載されているはずです。
しかし、契約書が未整備のケースも少なくありません。底地を売却する際は、トラブルを避けるため、事前に借地契約書を整え、借地人と改めて確認しましょう。これにより、両者の権利と義務が明確化され、スムーズな売却が期待できます。
遠方の土地売却では現地の不動産会社に依頼する
遠方に位置する土地を売却する際には、その地域に精通している現地の不動産会社への依頼がおすすめです。地元の不動産会社は、その地域の市場動向を把握しており、広範なネットワークを活用して効率良く買主を見つけられます。
自身が住んでいる場所の近くにある不動産会社よりも、売却予定の土地がある地域の専門家に依頼した方が、地元の特性を活かした売却戦略を立てやすいでしょう。土地をより適切な価格で、スムーズに売り進めることが可能です。
共有の土地売却では登記簿謄本を取得しておく
共有土地を売却する際は、所有権の割合を明確にするために、事前に法務局から登記簿謄本(登記事項証明書)を取得しておきましょう。多くの共有者は自らの持分について正確な理解を持っていないことが一般的です。この登記簿謄本には、土地の面積や所有権の詳細が記載されており、これを基にした正確な情報が、不動産の査定時にも大いに役立ちます。
このように、適切な文書を準備しておくことで、土地売却の過程がスムーズに進行し、将来的なトラブルも防げます。
重要事項は売買契約書にしっかりと記載する
売買契約書の作成時には、重要事項を正確に記載しましょう。契約書には、取引価格や手付金の金額、支払条件等の基本情報のほか、特別な約款も含めることが可能です。
例として、境界確認作業が契約時に未完了である場合、これを契約書に明記し、面積の差異が1平方メートル以上あった際の価格調整についての条項を設けることが考えられます。
また、その他重要な事項についても、不動産の専門家と綿密に相談し、将来の問題発生を避けるために契約書に詳細に記載するのがおすすめです。
土地売却に関するよくある質問
土地売却は、多くの疑問を引き起こす可能性があります。ここでは、土地売却に関するよくある質問を紹介します。
個人間でも土地の売却はできるのか?
個人間で土地を売買することは実際に可能です。ただし、不動産の反復継続的な売買には宅地建物取引業の免許が必要になるので注意しましょう。個人間取引の大きなメリットは、仲介手数料が不要なことです。
たとえば、買主が既に友人や隣地の所有者である場合、金銭の授受と所有権の移転登記を行うだけで取引が完了します。しかし、売買契約書の作成など専門知識が求められる場面も多く、正確な手続きが行えないとトラブルの原因となることがあります。トラブルが発生した場合には、法的な手続きのために弁護士への支払いも必要になりますので、安全を期すなら不動産会社を通じた仲介がおすすめです。
全然売れない場合はどうしたらいいのか?
土地がなかなか売れない時はどのように対処すれば良いでしょうか。通常、土地が売れない原因は「価格設定」「不動産会社の対応」「土地自体の特性」という3つの主要な問題に分類されます。価格設定が市場と合っていない場合は、事前のリサーチや価格調整を通じて買い手の関心を引き出すことが可能です。
不動産会社が効果的な販売活動をしていないと感じる場合は、別の会社に依頼するか、契約の種類を変更することも1つの手です。土地自体の問題がある場合、たとえば地盤が不安定であれば、整地や改良工事を行うことで売却可能性を高められます。これらの手段にもかかわらず売れない場合、不動産会社に土地を直接買い取ってもらう選択肢も検討する価値があります。
土地売却の解体費用はいくら?
解体費用の概算はどの程度か、というのは土地売却を考える際に重要な要素の1つです。建物の種類により、解体費用は大きく異なります。たとえば、木造建築では坪あたり約4〜5万円、鉄骨造であれば6〜7万円、鉄筋コンクリート造は7〜8万円の範囲が相場です。
土地を売却する際には「更地渡し」という方法で、建物を事前に解体しておくことがあり、この費用は通常、売主が負担します。しかし、解体作業中に道路の幅が狭い場合などは、廃棄物の搬出が難しくなり、費用が高くなることがあります。
一方で、「現況渡し」により建物をそのまま引き渡す選択肢もありますが、この場合は買主との合意が必要です。解体の具体的な条件や費用については、不動産会社に相談して最適な方法を模索することがおすすめです。
入念な事前準備でスムーズな土地売却をしよう
いかがだったでしょうか。土地売却は計画的に進めることで、より高い価格での取引が可能です。重要なのは、市場の動向を理解し、適切なタイミングで売り出すこと、さらに隣地所有者へのアプローチや必要書類の準備も欠かせません。また、越境の覚書や解体費用など、細かな部分にも注意を払うことで、売却をスムーズに進め、予期せぬトラブルを回避できます。このように、適切な準備と情報の把握が、土地売却の成功への近道となるでしょう。
ユアーズ・コーポレーションでは、土地の運用に困っている方へコインパーキング経営を紹介しております。古家が建っている土地であっても、土地の利用方法をしっかりと分析して、解体してコインパーキングとして利用すべきか判断いたします。使用していない土地でお困りのことは、ぜひご相談ください。