増加する空き家問題に対して施行された改正“空家等対策特別措置法”により、全国で実施されるようになった“行政代執行”とはどのような制度なのでしょうか。
本記事では、その内容と空き家を放置しつづけるリスクについて解説します。
空き家を所有する方はぜひお目通しください。
目次
行政代執行とは?
行政代執行とは、法律で下された改善命令にもかかわらず、問題行為が放置され近隣に迷惑・被害が及んだ場合に、行政が強制的に介入し、問題解決を促すものです。
行政代執行が行われるのは、緊急性が高いと判断されたときで、倒壊しそうな老朽空き家を解体・撤去する際などにも用いられます。
これらの適正管理は本来、空き家所有者の責任ですからかかった費用はそのまま所有者に請求されます。

行政代執行を受けるリスク
行政代執行は、空き家の所有者にとって大きなリスクとなるものです。
主に挙げられるのは、解体費用などの請求と、その支払いが滞った際の財産の差し押さえです。
費用には作業を行った業者への支払いのほか、事務手数料や業者への委託料なども上乗せされます。
「空き家の管理や修繕に回すお金がないから」といった理由で放置している行為がいかに危険がおわかりいただけたでしょうか。
以下に、具体的なリスクとして3つ取り上げます。
行政代執行を受けるリスク
- 解体にかかる費用を請求される
- 財産の差し押さえを受ける
- 個人情報が公開される
解体にかかる費用を請求される
空き家の解体にかかった費用や、その際に発生したゴミの処分費用など、行政代執行にかかった費用は、すべて空き家の所有者に請求されます。
たとえ、数百万円といった高額な費用がかかった場合でも、全額が所有者負担となるのです。
場合によっては、1,000万円ほどの金額を請求される可能性がある点には注意しなければなりません。
後述しますが、行政代執行は“特定空き家”に指定されると、そのリスクが高まることが知られています。
特定空き家とは、倒壊や火災のおそれがある、衛生上問題がある、景観を損ねるなど、そのまま放置すると公共に悪影響を及ぼすと自治体が判断した場合に指定されるものです。
特定空き家に指定後、所有者に対して改善を促すための指導や勧告が行われ、所有者がそれに応じない場合は、罰則を科したり行政代執行に乗り出したりするわけです。
改善指導や勧告を無視していると、ある日突然行政代執行が行われ、高額な解体費用請求が届くこともありえるのです。
しかし、行政代執行による建物の解体は、必ずしも特定空き家だけに限定されるわけではありません。
特定空き家に指定されていなくても、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす空き家は対象となる可能性があります。
(参照:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 住宅」)
関連記事:空き家の解体費用は誰が払う?費用相場や資金調達方法も解説
財産の差し押さえを受ける
行政代執行の恐ろしさは解体費用請求だけにとどまらず、その費用を支払えなかったら財産を差し押さえられてしまうまでに至ります。
差し押さえの対象となるのは、給与、預貯金、現金、株式、自動車、貴金属、不動産などその人が保有するすべての財産です。
給与の差し押さえの対象は、生活に支障のない範囲と決められていますが、それでもかなりの影響が出るはずです。
かかった費用の支払いは、自己破産しても免除されないので、財産差し押さえで足りない分は一生かかっても支払うことになります。
個人情報が公開される
行政代執行はいわば、法律違反に対するペナルティといえます。
ニュースで報道されてしまうこともありますし、インターネット上で個人情報がさらされてしまう危険性もあります。
空き家の所有者がその場にいないのに、突然解体工事が始まるわけですから、近隣にはすぐに事情が伝わるでしょう。
所有者の個人情報がネットで公開されれば、社会的信用を失ったり、近隣住民の非難の目にさらされたりするのは必定です。
空き家の行政代執行の流れ
では、空き家が行政執行を受けるまでの一般的な流れを見てみましょう。
行政代執行に至る法的段取りは以下の通りです。
行政代執行までの流れ
- 特定空き家への指定
- 所有者に対する助言・指導
- 所有者に対する勧告・命令・戒告
- 代執行令書の発行
- 行政代執行の実施
ステップ①特定空き家への指定
特定空き家に指定される条件は、概ね次の4つです。
特定空き家に指定される条件
- 倒壊の危険性があるなど放置による安全上の問題
- 衛生上の問題や有害な影響の可能性
- 周辺住民の生活環境を損なうこと
- 地域の景観を乱す、地域ルールに違反する
これらの条件に当てはまると、特定空き家に指定されるリスクが高いので覚えておきましょう。
ただし、指定されたあとでも、問題点を改善すれば指定は解除されます。
この時点で、保守点検や修繕などの管理を徹底し、必要とあらば自ら安価な業者を探して解体に着手したほうが、傷が深くならずに済みます。
ステップ②所有者に対する助言・指導
所有者が特定空き家に指定されたあとも対策を講じない場合は、次のステップへと進みます。
市町村長は、“倒壊の危険など保安上の問題がある場合”もしくは“衛生上の問題や有害な影響が懸念される場合”これに該当する空き家に対して“助言と指導”を行うことができます。
この助言・指導を受けたら、所有者は直ちに、空き家の解体・除去や、修繕、立木林の伐採などの対策に取りかからねばなりません。
ステップ③所有者に対する勧告・命令・戒告
市町村からの助言と指導を無視して、所有者が適切なアクションを見せぬ場合、次の段階として行われるのが“勧告”です。
勧告には法的な拘束力はありませんが、助言・指導よりもさらに強い行政指示といえます。
勧告を受けると、特定空き家の所有者は固定資産税の住宅用地特例を受けられなくなるため、税負担が跳ね上がります。
勧告に応じない場合、さらに強い法的効力を持つ“命令”へと移行し、これに従わないと最大50万円の過料に処される可能性があります。
行政代執行が実施される前には文書による“戒告”が行われ、履行期限が通告されます。
戒告と代執行令書の通知がされないこともあるので、遅くとも命令の段階で迅速に対応することが重要です。
ステップ④代執行令書の発行
行政代執行が決定したらそれを通知する代執行令書が発行されます。
これには、代執行の実施時期や費用の見積もりが記されています。
ステップ⑤行政代執行の実施
代執行令書に指定された期日内に、市町村が指定した解体業者が行政代執行を行います。
代執行が完了すると、行政代執行の詳細、費用、納付期限などが記された“納付命令書“が所有者に送付されるという段取りです。
費用の支払いを怠ると、財産差し押さえが待っているので、支払いが困難であれば、自治体に相談し、分納などの対応を依頼してみましょう。

行政代執行を回避する方法
空き家が行政代執行を受けないためにできる対策はあるのでしょうか。
具体的には、以下の対応が考えられます。
空き家への行政代執行を避けるための対応策
- 状態を改善する
- 助成金利用して解体する
- 修繕・撤去について届出る
軽微な修繕で済む場合は、所有者自身で修正すれば、特定空き家の指定を解除してもらえます。
ただし、再び特定空き家に指定されることもあるので、放置しつづける限り、管理と修繕は継続的に行わなければなりません。
費用が捻出できずに解体を躊躇している所有者は、自治体の助成金制度の活用を検討してみましょう。
解体費用や売却見通しが厳しい場合は、空き家を専門の買取業者に売却してしまう選択もあります。
修繕や撤去の費用の目途がつかない場合は、自治体に対して改善の意志と長期的な管理計画を伝えることが大切です。
真摯な態度で臨めば行政代執行を延期してもらえる可能性があるので、相談してみましょう。
行政代執行はハイリスク!特定空き家に指定される前に売却を
特定空き家に指定され、自治体からの改善指導に従わないと、最終的に行政代執行が実施され、改定・撤去費用が全額請求されるリスクが高まります。
この支払いは決っして免れることはできず、拒否すれば財産差し押さえまで進んでしまいますから、甘く考えてはいけません。
空き家の維持管理を専門業者に任せる手もありますが、月額1万円程度かかります。
空き家を活用しない場合は、特定空き家に指定されないうちに売却することが合理的な選択といえるでしょう。
空き家売却をお急ぎの場合は、ユアーズ・コーポレーションが即金で買取も行っております。
ぜひ、ご相談ください。



