coin-parking.com のすべての投稿

    
空き家 固定資産税

空き家の放置で固定資産税が6倍に?理由と対策を解説

    

2023年12月13日に施行された改正「空家対策特別措置法」により、管理状態の悪い空き家は、固定資産税が最大6倍に増額されました。

空き家といえども、住居が建っている土地は固定資産税が減額されています。

しかし、改正法の施行により、老朽化が目立つ空き家は、逆に所有するリスクが高まってしまったのです。

本記事は空き家の固定資産税が上がる条件などを詳しくまとめています。

税額の負担増回避のヒントになるはずです。

実家が空き家になるリスク

高齢化が進む近年では、老親が施設に入居したことをきっかけに実家が空き家状態となり、遠隔地に住む子供世帯が管理できずに放置されてしまう事例が増加しています。

こうなると何が問題かというと税金です。

空き家は、その状態によって、あるいは解体して更地にしてしまうことで“固定資産税”と“都市計画税”の大幅な変動が生じます。

ここではまず、空き家の状態と税金の関わりについて解説します。

空き家にかかる税金

固定資産税は建物と土地の、それぞれに課税される税金です

つまり、不動産を所有していると固定資産税がかかり、地域によっては都市計画税も課税されます。

この2つの税金は、市町村が決める不動産の価値“課税標準”に基づいて税額が決まり、1月1日時点の所有者が納税義務を負います。

空き家であっても所有者には納税通知書が届くので、税金を支払わなければなりません。

この固定資産税と都市計画税には“住宅用地の特例”という減税措置があります。

ただし、その適用は「住宅が建っていること」が条件です。

住宅用地の特例なので当たり前なのですが、更地、あるいは人の住まない倉庫等であったら適用されないのです。

つまり、空き家を解体してしまうとこの制度が適用されずに、税金は高くなるわけです

空き家と住宅用地の特例措置

住宅用地の特例とは、住宅用地に対する固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1まで減額されるという制度です。

平成26年度まではすべての住宅に適用されていましたが、平成27年度からは後述する「特定空き家等」への適用は除外されました。

現在は、人の住んでいた空き家であれば、無条件に住宅用地の特例が適用されるわけではないのです。

住宅用地の特例のあらまし

区分  固定資産税  都市計画税 
空き地(更地)  何も建物がない状態  課税標準の1.4%  課税標準の0.3% 
小規模住宅用地  住宅1戸につき200 

㎡まで 

課税標準×1/6  課税標準×1/3 
一般住宅用地  住宅1戸につき200㎡を超えた部分  課税標準×1/3  課税標準×2/3 

たとえば300㎡の土地に1戸建てが建っていた場合、更地(土地だけ)の状態に比べ固定資産税はおよそ半額となります。

空き家を解体しないほうが税制上は有利

空き家であっても特定空き家でなければ固定資産税等の住宅用地特例は適用され、軽減措置を受けることができます。

老朽空き家でも、一定の管理をしていれば税金の特例は適用されるわけです。

ただし、人が住まなくなった住居の劣化は予想外に早く、遠隔地に住んでいると、なかなか管理が行き届かず、専門の不動産管理会社に委託するという方が少なくありません。

もし、管理の手間とコストを避けて建物を解体して更地にした場合、建物に対する固定資産税がなくなり、住宅用地の特例も適用されなくなります。

その結果、土地にかかる税金の特例率が消滅し、固定資産税総額では負担が増えてしまうのです。

空き家を維持する方が多いのは、この課税問題が理由であるといえます。

使用しない家であっても、建物を残したままのほうが税制的に有利だからです

“特定空き家”指定で固定資産税が6倍に?

特定空き家とは、“空き家法”に基づいて指定される、「放置すべきではない」と自治体が判断した空き家のことをいいます。

特定空き家に指定されると、住宅用地の特例から外され、税制優遇はなくなります。

固定資産税の減額が解除されると、税額は最大6倍に跳ね上がるので、税金対策でわざわざ家屋を残しておいたことが裏目となるわけです。

固定資産税の増額を回避するため、多くの人々が空き家を維持するようになった結果、相応の管理がされずに放置される老朽空き家が増えてきたのが空き家法制定の背景です。

放置空き家は建物の崩壊、害虫、不法投棄、放火、景観阻害などで、周辺に悪影響を及ぼす可能性が大きく、人口減が進む我が国では大きな社会問題となっています。

“管理不全空き家”も減額除外に

2023年には、新たに特定空き家の前段階である“管理不全空き家”という区分が設けられました。

管理不全空き家に認定され、そのまま放置すると、特定空き家と同様、住宅用地の特例が適用されなくなり、税金の負担が増えてしまいます。

管理不全空き家は、窓や壁の一部が割れていたり、雑草が生い茂っていたりと、管理がされていない状態の空き家が指定されます。

特定空き家になる前に、所有者に適切な管理を促すのが狙いです。

固定資産税が6倍になるまでの流れとタイミング

特定空き家や管理不全空き家に指定されても、すぐに固定資産税の減額が解除されるわけではありません。

固定資産税(都市計画税も)は毎年1月1日が基準日となっています。

そのため、もし特定空き家に指定されたとしても、年内にその状況を改善すれば、年明けには特定空き家は解除されており、住宅用地の特例は引き続き適用されます。

更地認定回避と同様、1月1日に間に合わせればよいわけです。

逆に、対処が遅れて特定空き家の解除が1月2日以降になってしまった場合、固定資産税の住宅用地の特例解除は決定してしまいます。

その年の4月年度変わりから、税額が大幅増となるので注意が必要です。

固定資産税が6倍になるまでの流れ

特定空き家や管理不全空き家に指定されてしまったら、1日も早くその状況から脱することを考えましょう。

固定資産税の減額解除に至るまでには、以下のように、いくつかの段階があります。

固定資産税減額解除のステップ

  1. 管理不全空家に指定
  2. 助言・指導
  3. 勧告
  4. 特定空き家に指定
  5. 助言・指導
  6. 勧告
  7. 命令
  8. 行政代執行

まず、行政による空き家の状況把握からスタートします。

空き家が発見されるパターンは、自治体担当者の見回りや、近隣住民からの連絡などさまざまです。

ただし、人が住んでいない状態であっても、この段階で十分な維持管理がなされ、見た目も問題がなければ、将来、住宅用地の特例除外の判断を受けることはあまりありません。

もし、今後、問題のある空き家となりうると判断された家屋は、担当者が外部から定期的な観察・確認を行い、必要を認めた場合はまず管理不全空き家に“指定”します。

指定を受けると、行政から家屋の所有者に適切な管理を行うよう「助言・指導」が入ります。

この段階で、住宅の修繕や解体、樹木の剪定や撤去など、助言・指導に適切に対応すれば、管理不全空き家の指定を解除することが可能です。

しかし、ここで助言・指導を無視して、空き家を放置すると次は“勧告”が待っています。

勧告が出た時点で特定空き家に指定され、所有者に対して管理や修繕をきちんと行うよう、改めて“助言・指導”がなされます。

その助言・指導に基づいて適切に対応すれば、特定空き家の指定は解除されますが、改善が見られない場合は、再度の勧告で住宅用地特例から除外され翌年度からは減額対象外です。200㎡以下の小規模住宅用地で6分の1の減額が適用されなくなると、固定資産税は指定される以前の6倍に跳ね上がります。

都市計画税があれば、そちらの減額措置も外され税額は指定前の3倍にアップです。

その後も状態が改善されなければ、改善“命令”が出され、最大50万円以下の罰金が科せられてしまいます。

最終的には“行政代執行”により、自治体が所有者に代わって処分・解体を行い、その高額な費用(数百万円にのぼるケースも)は空き家の所有者に請求されます。

この段階まで放置した場合、固定資産税フル課税+罰金+解体費用負担でペナルティは甚大なものになるので、何としてもそのような事態を回避する術を講じなくてはなりません。

空き家の固定資産税6倍を回避する方法6選

更地の高い固定資産税を回避するため、住まなくなった空き家を放置していたら、そちらが問題物件化して、特定空き家に認定されてしまいます。

現在、管理が行き届いていない空き家を所有する方にとっては、他人事ではありません。

ここからは、空き家の固定資産税6倍を回避するための対策方法を6つ紹介していきます。

①適切な管理を欠かさない

特定空き家に認定されないためには、適切な管理を欠かさないことですが、まずは自分で管理するとして、その場合の手間やコストを考えてみましょう。

あまりに遠方であれば、定期的な自己管理は現実的ではありません。

空き家になった直後の短い期間であれば、親戚や知人に任せるという手もありますが、長期にわたり完全に任せきるというわけにはいかないでしょう。

②自治体に早めに相談し連絡を密に

空き家を相続したら、日頃から自治体の担当課とコミュニケーションをとっておいて損はありません。

最寄りの役所に電話して、空き家管理の相談依頼をしてください。

自治体は、空き家の管理方法に関して自分から相談をしてくれる人を“環境保全に協力的な人物”と見てくれます。

そうなれば、積極的に空き家保全のアドバイスをしてくれるでしょう。

自治体によっては、積極利用したい自営業者やグループ向けに空き家を活用する事業を推進しているところもあります。

定期的に人に使ってもらえれば、無人放置は解消され、持ち主に代わって管理してもらっているようなものです。

こうした適切な空き家活用方法を提案してもらうためにも、自治体窓口にはご自分から相談にいくことをおすすめします。

③不動産管理会社に管理を委託

ご自身で管理あるいは親戚・知人に管理を依頼したくない場合には専門の管理業者に依頼することで解決します。

もちろん費用はかかりますが、空き家管理のプロに任せておけば安心感が違います。

④空き家を土地ごと売却する

空き家を売却して手放せば、固定資産税や都市計画税の負担、空き家の管理にかかる手間から解放されます。

お伝えした通り、使わなくなった空き家は、所有者にとっては危険な存在でもあるので、本来ならこの方法を一番先におすすめすべきかもしれません。

ただ、売ってしまいたいほど状態が悪い空き家であれば、売却先がすぐに見つからないことが想像されます。

買ったあとで、利用するにせよ、賃貸に使うにせよ多額のリフォーム代がかかりますから、当然のことといえます。

所有しつづけたい理由がない限りは、空き家になった時点で、傷みの少ないうちに速やかに売却に向けて動くことが、うまく売り抜けるコツといえるかもしれません。

相続不動産を専門に扱う不動産会社であれば、ホームインスペクション(住宅診断)のノウハウが豊富なため、不動産価値を最大限に評価し適正価格で売却する期待が持てます。

不動産会社の買取を利用する手も

古家つきの土地の売却は、個人間売買では敬遠されやすく、売却までに時間がかかることが多いです。

自治体から改善処分を促されているのに、なかなか売れずにいる場合は、不動産会社の買取を利用することも選択肢の一つです。

あまり高額の買取は期待できませんが、古家つきの土地でも素早く売却できること、現金化までの期間が短いなどのメリットは、不動産の処分に困ったときには捨てがたいものです。

⑤売らずに有効活用する

空き家は、そのほかにも以下のように活用することができます。

空き家を売らずに活用する方法

  • 居住用物件として賃貸する
  • 店舗用物件として貸し出す
  • リフォームしてシェアハウスや民泊で活用
  • 自治体に寄付する

家屋の状態によっては、自分で住むにせよ、人に貸すにせよ大幅な改修が必要になるので、特に古い空き家は再利用に多額のコストがかかることを踏まえておきましょう。

⑥無償で譲渡する

第三者間の取引では、売主と買主の双方が納得して、無償で譲渡することもできます。

ただし、親子や親類など同族間で取引すると、贈与税が課されます。

贈与税を回避するには、時価相当額で取引を行う必要があるので注意が必要です。

なお、相続した土地を手放したい場合は、“相続土地国庫帰属制度”も検討するとよいでしょう。

対象は宅地、田畑、森林など、建物のない土地で、土地の管理や処分に困っている場合に利用できる制度です。

利用には審査手数料(土地一筆あたり14,000円)と負担金(原則20万円、土地の種類や面積によって変動)がかかります。

⑦更地にしたほうが売却しやすいケースも

前述したように、この方法では支払う固定資産税が増えてしまうため、あくまで土地の買い手が見つりそうな場合に限定される方法かもしれません。

もちろん解体費用も必要ですが、“更地にしたほうが売却しやすい”というエリアもあります。

逆に、立地が悪いと、せっかく建物を解体して更地にしても売れない可能性があるので、不動産会社などに事前相談してから決めましょう。

また、空き家の解体費用に関する助成金制度を設けている自治体もあるので、調べてみることをおすすめします。

空き家の固定資産税を払わないとどうなる

空き家の所有者が、何らかの理由で空き家の固定資産税を払えなかったら、どうなるでしょうか。

自治体からの固定資産税の請求を無視し、滞納しつづけた場合、以下のような罰則が待っています。

延滞金が発生する

期限を過ぎても固定資産税を納付できずにいると、通常の税金に加えて延滞金が発生します。
固定資産税の延滞金の利率は「滞納日数1か月未満」「1か月以上」で異なっており、滞納期間が長くなるほど利率も高くなります。

最終的には差し押さえに

固定資産税の請求を長期間にわたり無視していると、最終的には財産を差し押さえられてしまいます。
預金や給与のほか、不動産や自動車など現金化できる資産すべてが差し押さえの対象です。

ただし滞納があっても、窓口に相談すれば分割納付など、柔軟に対応してもらえることもあります。

支払いが難しい場合、まずは自治体の納税課に連絡しましょう。

差し押さえを「最後の手段」と位置づける自治体は、穏便な解決を欲しているので話し合いの余地はあります。

固定資産税を払うことができない場合も、連絡もせずに滞納を続けることだけは得策とはいえないのでやめましょう。

空き家の放置は危険につき早めに対策を

空き家管理と固定資産税をテーマに解説してきました。

相続家屋を解体して更地にしてしまうと、「住宅用地の特例」の適用が外され、200㎡以下の小規模住宅用地の固定資産税は6倍に跳ね上がってしまいます。

200㎡を超える土地であれば、そこまでではありませんが、トータルの固定資産税は3~4倍に急増し、払いきれない人も出てくるかもしれません。

だからといって、誰も住まない空き家にして朽ちるに任せておけば、自治体から「特定空き家」に認定され、改善・解体を行政指導されてしまいます。

空き家を更地にしたあとの土地の有効活用についてはコインパーキング経営の老舗ユアーズコーポレーションがお手伝いいたします。

ぜひ、ご相談ください。

    
一括借り上げ

賃貸経営の一括借り上げとは?メリット・デメリットを解説

    

土地活用を考えたとき、マンションなどの賃貸経営を検討する方は多いのではないでしょうか。

実際に運用するとなると、入居者の確保やさまざまな管理業務を手間なく円滑に運営していく必要があります。

その方法として、物件の全棟管理を不動産会社に委託する“一括借り上げ”という運用法があることをご存じですか。

賃料保証のあるメリットが多い契約ですが、注意点も多々ありますので、本記事でそのあたりを詳しく解説します。

一括借り上げの基礎知識

“一括借り上げ”とは、不動産会社が賃貸物件のオーナーから建物全体をまるごと借り上げる契約のことです。

不動産会社はオーナーに代わって物件を管理・運営し、入居者の募集や家賃の徴収などを行います。

オーナーは、入居状況にかかわらず、不動産会社から毎月まとまった額の賃料を受け取ることが可能です。

また、全棟一括ではなく、部分的に借り上げる場合も一括借り上げに含まれます。

契約上、賃借人(借主)は入居者ではなく不動産会社や不動産管理会社であり、これらが入居者に転貸し(また貸し)するかたちとなります。

一括借り上げはオーナー側にとって多くのメリットがあるものの、不動産会社が約束した内容を履行できずトラブルとなるケースも少なくありません。

メリットだけではなく、仕組みや注意点も理解したうえで、契約の是非を判断しましょう。

一括借り上げの仕組み

一括借り上げは、オーナーに毎月安定した家賃を保証する契約です。

物件の管理も管理会社に任せればよいので、オーナーは賃貸契約の手間もほとんどかかりません。

オーナーが受け取る家賃は管理会社に支払う手数料が差し引かれており、その額は、管理会社算出の査定賃料の10%~20%程度です。

家賃を受け取れる期間は不動産会社と契約して取り決めます。

一括借り上げに似たような契約に管理委託契約がありますが、この場合は賃貸物件であれば入居者募集、賃料管理、清掃、建物の保守点検などを管理会社に委託するだけです。

契約はオーナーと入居者が直接交わし、賃料も入居者から受け取ります。

空室が多い時期は、当然家賃収入も下がるので収入は不安定になります。

ただし、入居率が上がるとオーナーの収入も増えるので、高い入居率が見込めるマンション・アパートや回転率が高い物件は、管理委託契約のほうを検討してもよいかもしれません。

賃料保証型とパススルー型

一括借り上げの契約方法には“賃料保証型”(賃料固定型)と“パススルー型”(実質賃料連動型)の2種類があります。

賃料保証型は、オーナーと不動産会社が管理契約を結び、毎月一定の賃料をオーナーに支払うというものです。

家賃保証契約であるため、不動産会社の手数料も15~20%ほど割高に設定されていることが多いです。

一方、バススルー型は入居者が支払う家賃がそのままオーナーの収入となります。

賃料保証がなく空室リスクへの対策が必要ですが、入居率が高まれば収益増につながるのが賃料保証型との違いです。

不動産会社の手数料は賃貸保証型よりも低く、一般的に5~10%程度といわれています。

通常、一括借り上げといえば賃料保証型を指し、バススルー型は家賃変動制という部分は前述の管理委託契約と似ています。

一括借り上げとサブリースの違い

一括借り上げと同義に使われる言葉に“サブリース”があります。

両者は広義では同じ意味ですが、厳密には次のような違いがあります。

一括借り上げは、オーナーが管理会社に物件を貸し出すことで、マスターリースともいいます。

一方サブリースは、管理会社と入居者のあいだで交わされる契約であり、管理会社のことをサブリース会社とよびます。

サブリースの前提が一括借り上げなので、サブリースを内包する言葉として用いられることが多いです。

一括借り上げのメリット

一括借り上げの最大のメリットは、不動産会社が建物を一棟丸ごと借り上げ、家賃を長期契約でオーナーに支払うため、空室や滞納リスクがないことです。

賃貸経営の実務をプロに任せられるため、オーナーは日常の管理業務やトラブル処理の煩わしさからも解放されます。

以下、もう少し詳しく見ていきましょう。

安定した家賃収入を得られる

家賃滞納や空室の有無に関係なく一定の賃料が保証されるので、計画性のある賃貸経営が可能です。

しかし、もちろん入居者がいることが前提であり、一括借り上げが成り立つかどうかは不動産管理会社の力量次第という面があります。

維持管理の手間がかからない

家賃保証と並ぶ一括借り上げの2大メリットは、物件の維持管理に関する負担がかからないという点です。

不動産管理会社に管理業務をすべて丸投げしているわけなので、これは当然です。
具体的には入居者募集、家賃・更新料の集金、クレーム対応、契約更新・解約の手続き、退去時の敷金精算、建物のメンテナンス・清掃、修繕費管理などが挙げられます。

入居者とトラブルや訴訟になっても、不動産管理会社が対応し費用負担もありません。

もし、これらをすべてオーナー単独で行うとなれば、物心両面で管理業務の負担が大きすぎるのはないでしょうか。

不動産管理業務はサラリーマンが本業の傍らでできるものではないので、副業で考えている方は、一括借り上げ、管理委託のどちらかを選択するほかないでしょう。

クレーム処理から解放される

前章で少し触れましたが、入居者からの相談やクレームの処理、入居者同士のトラブルの仲裁も本来はオーナーの責任で行わなければなりません。

しかし、水回りや電気・ガスなどの設備不具合であれば、業者に早めに手配すればなんとかなっても、騒音やペット問題は対応に苦慮するのではないでしょうか。

経験がなければ、負荷の重い作業であるクレーム処理には手間取るはずです。

一括借り上げであれば、このような業務も管理会社が円滑に対応してくれるため、オーナーはクレーム処理の悩みから解放されます。

確定申告を簡素化できる

賃貸物件経営を行うオーナーは、年度末に確定申告しなければなりません。

家賃や入退去時の費用などを計上するだけでなく、固定資産税や減価償却費をはじめとする経費も漏れなく計算する必要があります。

一括借り上げでは、こうした手間と時間のかかる確定申告や出納管理なども管理会社が代行してくれるため、確定申告作業を大幅に簡素化できます。

一括借り上げのデメリット

以上見てきた通り、一括借り上げは不動産オーナーにとってさまざまなメリットがある契約ですが、利用するにあたってはいくつものデメリットを押さえておく必要があります。
具体的に挙げると以下の通りです。

手数料が比較的高額

所有する賃貸物件をもっとも低コストで運営する方法は、管理・運営の雑務に至るまでオーナーが自ら行うことです。

手数料が発生しないため、入居者から得た家賃はすべてオーナーの収益となります。

家賃の集金や清掃、メンテナンスなどの管理業務を不動産会社に委託した場合、委託手数料の相場は賃料の5%程度です。
一方、一括借り上げの場合、家賃は一旦管理会社が受け取り、そのうえで委託手数料を差し引いた金額がオーナーに支払われます。

手数料の金額は前述の通り、満室時賃料の15~20%程度と、空室リスクがない分、高めです。

高い手数料をどう考えるべきか

問題はこの手数料を妥当と見るか、高いと見るかです。

入居率の変動が家賃収入には反映しないという仕組みは、それだけで、空室対策に頭を悩ますことが多い賃貸経営には向いているかもしれません。

単純計算で年間入居率が手数料差し引き見合いであれば一括借り上げが得、それ以上見込める好物件であれば、管理委託契約のみ結んだほうが得ということになります。

ただし、管理会社もプロですから、一括借り上げを契約した時点で一定以上の入居率が見込めると判断したはずです。

その辺は管理会社との駆け引きでもありますが、一括借り上げを選択した以上、入居率の好調は「想定内」と考えておいたほうがよいでしょう。

たとえ満室状態が続いたとしても、それは管理会社営業部門の“頑張り”によるものと考えれば、オーナーは必ずしも「損をした」とは限らないからです。

敷金・礼金や更新料収入が得られない

地域にもよりますが、賃貸物件の賃貸借契約を結ぶ場合は通常、敷金・礼金が発生します。

2年毎が一般的な契約更新時には更新料が発生し、オーナーの収益となります。

しかし、一括借り上げ契約を結んだ場合は、敷金・礼金、更新料などの受取人は管理会社であって、オーナーが受け取れるのは定額の保証賃料のみです。

賃料保証には免責期間がある

一括借り上げは家賃保証がある経営方式ですが、契約開始から限られた「免責期間」はオーナーに家賃は支払われません。

一括借り上げにおける免責期間とは、不動産管理会社との契約日から一定期間設定される、入居者募集期間のことです。

一般的に、契約日から60~90日で設定されています。

管理会社によっては入居者の退去後や契約更新(見直し)時にも、約30日の免責期間を設けている場合があります。

免責期間の条件や日数は管理会社によって異なるため、契約前の確認は必須です。

家賃収入が減少する場合がある

一括借り上げの一番のメリットは、家賃保証がある点ですが、契約期間が終了するまで同じ家賃が保証されるわけではありません。

2~5年ごとに保証賃料の見直しが行われるケースが大半です。

物価変動などが起こった際にも臨時に賃料改定協議を行う管理会社もあります。

賃料改定協議では、近隣の家賃相場や築年数による経年劣化を考慮し、賃料が値下げされることが多いため、家賃収入は徐々に減少するものと心づもりをしておきましょう。

入居者選定に関与できない

一括借り上げの物件は、入居者の募集、選定も管理会社の裁量で行われます。

オーナーの意に必ずしも沿うとは限りませんが、人選を委ねられた管理会社も当事者として責任があるため、社会常識的にありえないような入居者は認めないはずです。

この点はもし、よほど不満があれば、オーナーの意向が無視されるということは考えられないので心配しなくてよいでしょう。

修理やリフォームの費用を負担する必要がある

一括借り上げは、管理費用は手数料に含まれていますが、建物・設備の老朽化に伴う修繕費やリフォーム費用はオーナーの負担となります。

自然災害などで物件が損傷を受けた場合も同様です。

日常の運営にはノータッチであっても、建物のオーナーである以上、不測の事態に備えて、毎月の収入から修繕費などを積み立てておきましょう。

契約解除に関わるリスクがある

不動産管理会社から家賃の減額を求められ、オーナーがそれを拒否した場合は、一括借り上げ契約を解除されるリスクがあります。

そうなったら、他の賃貸管理会社を探さなければなりません。

家賃収入を購入資金の返済に充てている場合は、収支計画を急ぎ見直す必要もあります。

また、これとは逆に契約書内に“中途解約条項”がないと、オーナーからの申し入れによる解約が行えません。

30年など長期間に及ぶ契約だと、何十年も中途解約ができなくなってしまいます。

中途解約条項がある場合でも、オーナー側からの解約申し入れには違約金が発生する条項があると、解約は非常に困難です。

一括借り上げでは、こうしたオーナーに不利な内容となっていないか、十分にチェックしてから契約しましょう。

不動産会社の倒産もありえる

万が一、一括借り上げの契約期間中に不動産会社が倒産してしまったらどうなるでしょうか。

これまで物件を管理していた権利は当然のことながらオーナーに引き継がれます。

しかし、倒産前後の混乱のなかで、必要な引継ぎがきちんとなされるという保証はありません。

入居者から預かった敷金が行方不明になったり、入居者が不動産会社の倒産を知らず入金先に迷ったり、倒産会社に入金し続けてしまうことも起こり得ます。

そうなると、家賃収入が中断してしまうので、オーナーにとっては大きなリスクといえます。

一括借り上げは契約内容をよく確認して

不動産オーナーに向けて、一括借り上げ契約の仕組みと、管理委託との違い、メリット・デメリットについてお伝えしてきました。
家賃定額保証に加え、物件の維持管理を不動産管理会社に丸投げできるのが最大のメリットです。

その一方で、手数料が高い、入居率が上がっても家賃に反映されない、家賃は徐々に下がっていく、契約解除に関わるリスクがあるなどいくつものデメリットが生じる契約です。

一括借り上げで資産運用を考えている方は、契約内容を十分確認しておきましょう。

ユアーズコーポレーションでは、コインパーキング運営のお手伝いをしています。

駐車場契約にも一括借り上げがありますので詳しくはご相談ください。

ディスクリプション:不動産の一括借り上げによるオーナーのメリット・デメリットを中心タイトルKW:

一括借り上げ

メインKW:

なし

賃貸経営の一括借り上げとは?メリット・デメリットを解説

土地活用を考えたとき、マンションなどの賃貸経営を検討する方は多いのではないでしょうか。

実際に運用するとなると、入居者の確保やさまざまな管理業務を手間なく円滑に運営していく必要があります。

その方法として、物件の全棟管理を不動産会社に委託する“一括借り上げ”という運用法があることをご存じですか。

賃料保証のあるメリットが多い契約ですが、注意点も多々ありますので、本記事でそのあたりを詳しく解説します。

一括借り上げの基礎知識

“一括借り上げ”とは、不動産会社が賃貸物件のオーナーから建物全体をまるごと借り上げる契約のことです。

不動産会社はオーナーに代わって物件を管理・運営し、入居者の募集や家賃の徴収などを行います。

オーナーは、入居状況にかかわらず、不動産会社から毎月まとまった額の賃料を受け取ることが可能です。

また、全棟一括ではなく、部分的に借り上げる場合も一括借り上げに含まれます。

契約上、賃借人(借主)は入居者ではなく不動産会社や不動産管理会社であり、これらが入居者に転貸し(また貸し)するかたちとなります。

一括借り上げはオーナー側にとって多くのメリットがあるものの、不動産会社が約束した内容を履行できずトラブルとなるケースも少なくありません。

メリットだけではなく、仕組みや注意点も理解したうえで、契約の是非を判断しましょう。

一括借り上げの仕組み

一括借り上げは、オーナーに毎月安定した家賃を保証する契約です。

物件の管理も管理会社に任せればよいので、オーナーは賃貸契約の手間もほとんどかかりません。

オーナーが受け取る家賃は管理会社に支払う手数料が差し引かれており、その額は、管理会社算出の査定賃料の10%~20%程度です。

家賃を受け取れる期間は不動産会社と契約して取り決めます。

一括借り上げに似たような契約に管理委託契約がありますが、この場合は賃貸物件であれば入居者募集、賃料管理、清掃、建物の保守点検などを管理会社に委託するだけです。

契約はオーナーと入居者が直接交わし、賃料も入居者から受け取ります。

空室が多い時期は、当然家賃収入も下がるので収入は不安定になります。

ただし、入居率が上がるとオーナーの収入も増えるので、高い入居率が見込めるマンション・アパートや回転率が高い物件は、管理委託契約のほうを検討してもよいかもしれません。

賃料保証型とパススルー型

一括借り上げの契約方法には“賃料保証型”(賃料固定型)と“パススルー型”(実質賃料連動型)の2種類があります。

賃料保証型は、オーナーと不動産会社が管理契約を結び、毎月一定の賃料をオーナーに支払うというものです。

家賃保証契約であるため、不動産会社の手数料も15~20%ほど割高に設定されていることが多いです。

一方、バススルー型は入居者が支払う家賃がそのままオーナーの収入となります。

賃料保証がなく空室リスクへの対策が必要ですが、入居率が高まれば収益増につながるのが賃料保証型との違いです。

不動産会社の手数料は賃貸保証型よりも低く、一般的に5~10%程度といわれています。

通常、一括借り上げといえば賃料保証型を指し、バススルー型は家賃変動制という部分は前述の管理委託契約と似ています。

一括借り上げとサブリースの違い

一括借り上げと同義に使われる言葉に“サブリース”があります。

両者は広義では同じ意味ですが、厳密には次のような違いがあります。

一括借り上げは、オーナーが管理会社に物件を貸し出すことで、マスターリースともいいます。

一方サブリースは、管理会社と入居者のあいだで交わされる契約であり、管理会社のことをサブリース会社とよびます。

サブリースの前提が一括借り上げなので、サブリースを内包する言葉として用いられることが多いです。

一括借り上げのメリット

一括借り上げの最大のメリットは、不動産会社が建物を一棟丸ごと借り上げ、家賃を長期契約でオーナーに支払うため、空室や滞納リスクがないことです。

賃貸経営の実務をプロに任せられるため、オーナーは日常の管理業務やトラブル処理の煩わしさからも解放されます。

以下、もう少し詳しく見ていきましょう。

安定した家賃収入を得られる

家賃滞納や空室の有無に関係なく一定の賃料が保証されるので、計画性のある賃貸経営が可能です。

しかし、もちろん入居者がいることが前提であり、一括借り上げが成り立つかどうかは不動産管理会社の力量次第という面があります。

維持管理の手間がかからない

家賃保証と並ぶ一括借り上げの2大メリットは、物件の維持管理に関する負担がかからないという点です。

不動産管理会社に管理業務をすべて丸投げしているわけなので、これは当然です。
具体的には入居者募集、家賃・更新料の集金、クレーム対応、契約更新・解約の手続き、退去時の敷金精算、建物のメンテナンス・清掃、修繕費管理などが挙げられます。

入居者とトラブルや訴訟になっても、不動産管理会社が対応し費用負担もありません。

もし、これらをすべてオーナー単独で行うとなれば、物心両面で管理業務の負担が大きすぎるのはないでしょうか。

不動産管理業務はサラリーマンが本業の傍らでできるものではないので、副業で考えている方は、一括借り上げ、管理委託のどちらかを選択するほかないでしょう。

クレーム処理から解放される

前章で少し触れましたが、入居者からの相談やクレームの処理、入居者同士のトラブルの仲裁も本来はオーナーの責任で行わなければなりません。

しかし、水回りや電気・ガスなどの設備不具合であれば、業者に早めに手配すればなんとかなっても、騒音やペット問題は対応に苦慮するのではないでしょうか。

経験がなければ、負荷の重い作業であるクレーム処理には手間取るはずです。

一括借り上げであれば、このような業務も管理会社が円滑に対応してくれるため、オーナーはクレーム処理の悩みから解放されます。

確定申告を簡素化できる

賃貸物件経営を行うオーナーは、年度末に確定申告しなければなりません。

家賃や入退去時の費用などを計上するだけでなく、固定資産税や減価償却費をはじめとする経費も漏れなく計算する必要があります。

一括借り上げでは、こうした手間と時間のかかる確定申告や出納管理なども管理会社が代行してくれるため、確定申告作業を大幅に簡素化できます。

一括借り上げのデメリット

以上見てきた通り、一括借り上げは不動産オーナーにとってさまざまなメリットがある契約ですが、利用するにあたってはいくつものデメリットを押さえておく必要があります。
具体的に挙げると以下の通りです。

手数料が比較的高額

所有する賃貸物件をもっとも低コストで運営する方法は、管理・運営の雑務に至るまでオーナーが自ら行うことです。

手数料が発生しないため、入居者から得た家賃はすべてオーナーの収益となります。

家賃の集金や清掃、メンテナンスなどの管理業務を不動産会社に委託した場合、委託手数料の相場は賃料の5%程度です。
一方、一括借り上げの場合、家賃は一旦管理会社が受け取り、そのうえで委託手数料を差し引いた金額がオーナーに支払われます。

手数料の金額は前述の通り、満室時賃料の15~20%程度と、空室リスクがない分、高めです。

高い手数料をどう考えるべきか

問題はこの手数料を妥当と見るか、高いと見るかです。

入居率の変動が家賃収入には反映しないという仕組みは、それだけで、空室対策に頭を悩ますことが多い賃貸経営には向いているかもしれません。

単純計算で年間入居率が手数料差し引き見合いであれば一括借り上げが得、それ以上見込める好物件であれば、管理委託契約のみ結んだほうが得ということになります。

ただし、管理会社もプロですから、一括借り上げを契約した時点で一定以上の入居率が見込めると判断したはずです。

その辺は管理会社との駆け引きでもありますが、一括借り上げを選択した以上、入居率の好調は「想定内」と考えておいたほうがよいでしょう。

たとえ満室状態が続いたとしても、それは管理会社営業部門の“頑張り”によるものと考えれば、オーナーは必ずしも「損をした」とは限らないからです。

敷金・礼金や更新料収入が得られない

地域にもよりますが、賃貸物件の賃貸借契約を結ぶ場合は通常、敷金・礼金が発生します。

2年毎が一般的な契約更新時には更新料が発生し、オーナーの収益となります。

しかし、一括借り上げ契約を結んだ場合は、敷金・礼金、更新料などの受取人は管理会社であって、オーナーが受け取れるのは定額の保証賃料のみです。

賃料保証には免責期間がある

一括借り上げは家賃保証がある経営方式ですが、契約開始から限られた「免責期間」はオーナーに家賃は支払われません。

一括借り上げにおける免責期間とは、不動産管理会社との契約日から一定期間設定される、入居者募集期間のことです。

一般的に、契約日から60~90日で設定されています。

管理会社によっては入居者の退去後や契約更新(見直し)時にも、約30日の免責期間を設けている場合があります。

免責期間の条件や日数は管理会社によって異なるため、契約前の確認は必須です。

家賃収入が減少する場合がある

一括借り上げの一番のメリットは、家賃保証がある点ですが、契約期間が終了するまで同じ家賃が保証されるわけではありません。

2~5年ごとに保証賃料の見直しが行われるケースが大半です。

物価変動などが起こった際にも臨時に賃料改定協議を行う管理会社もあります。

賃料改定協議では、近隣の家賃相場や築年数による経年劣化を考慮し、賃料が値下げされることが多いため、家賃収入は徐々に減少するものと心づもりをしておきましょう。

入居者選定に関与できない

一括借り上げの物件は、入居者の募集、選定も管理会社の裁量で行われます。

オーナーの意に必ずしも沿うとは限りませんが、人選を委ねられた管理会社も当事者として責任があるため、社会常識的にありえないような入居者は認めないはずです。

この点はもし、よほど不満があれば、オーナーの意向が無視されるということは考えられないので心配しなくてよいでしょう。

修理やリフォームの費用を負担する必要がある

一括借り上げは、管理費用は手数料に含まれていますが、建物・設備の老朽化に伴う修繕費やリフォーム費用はオーナーの負担となります。

自然災害などで物件が損傷を受けた場合も同様です。

日常の運営にはノータッチであっても、建物のオーナーである以上、不測の事態に備えて、毎月の収入から修繕費などを積み立てておきましょう。

契約解除に関わるリスクがある

不動産管理会社から家賃の減額を求められ、オーナーがそれを拒否した場合は、一括借り上げ契約を解除されるリスクがあります。

そうなったら、他の賃貸管理会社を探さなければなりません。

家賃収入を購入資金の返済に充てている場合は、収支計画を急ぎ見直す必要もあります。

また、これとは逆に契約書内に“中途解約条項”がないと、オーナーからの申し入れによる解約が行えません。

30年など長期間に及ぶ契約だと、何十年も中途解約ができなくなってしまいます。

中途解約条項がある場合でも、オーナー側からの解約申し入れには違約金が発生する条項があると、解約は非常に困難です。

一括借り上げでは、こうしたオーナーに不利な内容となっていないか、十分にチェックしてから契約しましょう。

不動産会社の倒産もありえる

万が一、一括借り上げの契約期間中に不動産会社が倒産してしまったらどうなるでしょうか。

これまで物件を管理していた権利は当然のことながらオーナーに引き継がれます。

しかし、倒産前後の混乱のなかで、必要な引継ぎがきちんとなされるという保証はありません。

入居者から預かった敷金が行方不明になったり、入居者が不動産会社の倒産を知らず入金先に迷ったり、倒産会社に入金し続けてしまうことも起こり得ます。

そうなると、家賃収入が中断してしまうので、オーナーにとっては大きなリスクといえます。

一括借り上げは契約内容をよく確認して

不動産オーナーに向けて、一括借り上げ契約の仕組みと、管理委託との違い、メリット・デメリットについてお伝えしてきました。
家賃定額保証に加え、物件の維持管理を不動産管理会社に丸投げできるのが最大のメリットです。

その一方で、手数料が高い、入居率が上がっても家賃に反映されない、家賃は徐々に下がっていく、契約解除に関わるリスクがあるなどいくつものデメリットが生じる契約です。

一括借り上げで資産運用を考えている方は、契約内容を十分確認しておきましょう。

ユアーズコーポレーションでは、コインパーキング運営のお手伝いをしています。

駐車場契約にも一括借り上げがありますので詳しくはご相談ください。

に解説しています。日々の維持管理や空室による収入減少に頭を悩ます必要のない契約ですが、デメリットも伴うので慎重に検討することが大切です。

    
駐車場経営 儲からない

駐車場経営は儲からない?失敗の原因を探り成功のコツを考える

    

 

駐車場経営は土地活用として人気がありながらも、「儲からない」というのが一般的評価のようです。

なぜでしょうか。

この記事では、駐車場経営が儲からない理由や失敗する原因をひもとき、そこから駐車場経営を成功させる秘訣について探っていきます。

いくつかのポイントを押さえ、基礎知識を身につければ、駐車場経営を成功に導くことは十分に可能です。

これを読めば駐車場経営への見方が変わることでしょう。

駐車場経営はなぜ儲からないと言われるのか

「駐車場経営は儲からない」とよく言われますが、そこにはさまざまな理由があります。

確かにアパート・マンション経営に比べれば賃料収入はそれほど多くありませんし、税金も余計にとられます。

この部分だけをとらえると、儲かるとはいえませんが、その分、初期費用や管理コストが抑えられ、災害にも強いといった駐車場経営ならではの利点も多く存在するのも事実です。

たとえば、相続した土地は空き地のままにしておくと、固定資産税の高い税率が適用されますが、駐車場にしておけば、それで得た利益で税金の負担を賄うことが可能です。

つまり経営に成功すれば、儲けは多くなくても、土地の所有コストを補填することはできるのです。

いや、それどころか、立地や規模によっては、大きな金額が期待できるといってよいでしょう。

ここでは、そんな駐車場経営が儲からないと評価されてしまっている代表的な理由を取り上げます。

競合が多いから

初期費用や管理コストが抑えられ、賃貸経営等に比べ参入が容易な駐車場ビジネスは、それだけ競合も多くなります。

駅前や繁華街などの好立地のコインパーキングは、常に高い需要があり、稼働率も安定していますが、競争が激しい土地では、駐車場料金を近隣見合いに抑える必要があります。

駐車場経営はサービス内容での差別化が難しいため、価格競争に陥りがちで、駐車料金の市況問題に発展しているケースも散見されます。

また、特に駐車場の供給過多が顕著な都市部では、稼働率低下に直面している月極駐車場も少なくありません。

空車スペースが目立つ駐車場は、運営会社からいずれ賃料の減額を申し入れられることになります。

駐車場経営を検討する際は、土地周辺に競合となる駐車場がどれぐらいあるかを調べたうえで、採算性を冷静に判断することからはじめましょう。

もともと高い収益性が見込めないから

駐車場経営は、もともとローリスク・ローリターンのビジネスモデルです。

住宅を建てて貸し出す賃貸経営に比べると、賃料も安く、多層構造でもないため毎月の総収益も格段に少なくなります。

同じ土地面積で比較した場合、賃貸住宅では数十万円から数百万円の収入が見込めるのに対し、駐車場では数万円から数十万円程度にしかなりません。

つまり、賃貸住宅のほうが、1坪あたりの収益率が圧倒的に高いわけです。

賃貸経営と比べて税制上不利だから

税金の高さも賃貸経営と比べて駐車場経営が儲からないと言われる理由です。

建物が建っている土地は「住宅用地」とみなされ、固定資産税や都市計画税の軽減措置が受けられますが、駐車場は住宅用地とはみなされず、更地と同じ扱いになります。

住宅用地の固定資産税は、土地の面積によって異なりますが、最大で課税標準額の6分の1に軽減されます。
駐車場は全面積が課税対象となるため、固定資産税と都市計画税の負担が重く、この点では賃貸経営とは比較にならないほど不利です。

一時的な土地活用という位置づけだから

土地の上にアパートやマンションを建てて経営するのに比べ、駐車場経営は他の土地活用への転用が利きやすいビジネスであり、一時的な土地利用という側面が強いです。

管理委託方式なら参入撤退も容易なため、土地を遊ばせておくよりはいい、という考えで始める人も多く、収益性がそれほど重視されない傾向にあります。

管理に手間と時間がかかるから

駐車場経営はそれほど儲からないにもかかわらず、思った以上に管理が大変です。

一括借り上げ方式でもない限り、運営会社に管理を委託していても、清掃やゴミ捨て、見回りといった作業に完全に関わらないわけにはいきません。

これらも運営会社任せにすることはできますが、委託する業務が増えるほど別途費用がかかるので、オーナーの儲けはさらに減ってしまいます。

ごみのポイ捨てや不法投棄、住民トラブルといった問題にサラリーマンオーナーが一人で対処するのは現実的に厳しいので、管理会社への手数料は必要経費と考えるべきでしょう。

駐車場経営で儲けるためのポイント

駐車場経営は儲からないと言われていますが、そんなことはありません。

取り組み方によっては利益を生み出すことは可能です。

ただ、収益性が高い土地活用法ではないので、最低限覚えておきたい商売のコツもあります。

以下では、駐車場経営で儲けるための5つのポイントを解説します。

これから駐車場経営を考えている方は参考にしてください。

ポイント①自前の土地で行う

駐車場経営は、もともと持っているご自身の土地で行うことが絶対条件です。

わざわざ借入金を組んで土地を購入して、収支をプラスにすることはほぼ不可能なので、土地を買うなら全額自己資金で現金購入しないと赤字になります。

家賃収入でのローン返済が、一般的な賃貸経営と同じと考えていては駄目です。

駐車場経営は、もともと土地を持っている人か、もしくは自己資金で土地を一括購入できる人が行うビジネスと覚えておきましょう。

ポイント②駐車場ニーズが強い土地であることが条件

ニーズの強い場所で行うのが、駐車場経営の成功の鉄則です。

月極駐車場であれば、駅の近くやマンション街の周辺、住宅街の中にある飲食店や診療所の隣の空き地などで高いニーズが見込めます。
特に、戸数に対し駐車場が不足しがちなマンションの近接には、底堅い月極駐車場ニーズがあるので、おすすめです。

一方、コインパーキングであれば、駅付近や大型商業施設、また観光施設など車で集まる人が多い場所の近くにニーズが集中します。

中心市街地で駐車場が少ない非郊外型大型店舗の周辺は、特に狙い目です。

逆にいうと、所有する土地がこれらに当てはまらない場合は、駐車場ニーズがあまりないとみて、他の土地活用法を考えたほうがよいかもしれません。

ポイント③固定資産税が安い場所で行う

駐車場経営は、できれば固定資産税が安い場所で行いたいビジネスです。

最大の支出項目である固定資産税を抑えることができれば、経営上のアドバンテージはかなり大きいからです。

首都圏であれば都内より、横浜市やさいたま市、千葉市などの周辺都市のほうが固定資産税は安い傾向にあります。

市街地から離れ過ぎると、観光・商業施設でもない限り駐車場ニーズが見込めないため、駐車場ニーズが十分にありつつも固定資産税が安いこれらの土地が適切な場所といえます。

また、固定資産税は同じ地域内でも、道路幅員の広い表通りのほうが高く、道路幅員が狭い裏通りのほうが安い税金ですから、裏口側の適当な土地を物色しましょう。

駐車場の利用料は、同じエリアであれば表通りでも裏通りでもほとんど変わらないので、固定資産税が安い分、裏通りのほうが低コストで運営できます。

表通りのコインパーキングが満車なら裏通りに流れてくるし、表通りに比べてニーズが低い場合は、料金を少し下げれば裏通りの注目度が高まるので、工夫次第で集客は可能です。

ポイント④車が入りやすい場所であるか

駐車場経営で忘れてはならないのは、車が入りやすい場所を選ぶということです。

中央分離帯があり、スピードを出す車が多い、大通りに面しているような敷地はコインパーキングには向きません。

交通量の少ない裏通りのほうが、ゆるゆると運転しながら駐車場を探すドライバーが多い穴場といえます。

ポイント⑤理想は間口の広い長方形の土地

駐車場にするなら、間口が広く長方形の土地を探しましょう。
間口の広い土地は、入口と出口を分けることができ、車路をすっきりと配置しやすくなります。
駐車場内の車路の部分は、収益を生み出さない導線スペースになるので、車路をいかに小さくするかで駐車台数が変わってきます。
間口が広く長方形の土地であれば、駐車スペースも無駄なく配置することができ、台数を最大化しやすいです。

詳しくは後述しますが、この駐車場のデットスペースを少しでも減らしていくことが、駐車台数を増やし収益率を高めるうえでの大きな課題です。

駐車場経営のよくある失敗の原因

次に、駐車場経営でよくある失敗の原因を探ってみましょう。

代表的なものは次の6つです。

周辺地域の調査不足

事業を問わず、事前の調査不足は失敗の原因となります。

駐車場経営もその例に漏れず、周辺地域の調査をしっかり行わずに始めてしまうと、計画通りの収益を得られず、失敗する確率が高くなります。

過剰な設備投資

駐車場経営を始めるときに、最初から設備投資にお金をかけすぎると失敗する原因になります。

初期投資にうっかりお金をかけすぎたばかりに、投資費用を回収できずに赤字スタートになってしまうケースは少なくありません。

駐車場のキャパシティである駐車台数に応じた適切な設備投資を行うことが大切です。

特に狭い土地の場合は、初期費用が割高になりがちなので注意してください。

トラブル対策の軽視

駐車場で起こるトラブルで代表的なものとしては、契約者の賃料滞納、無断無賃駐車、ゴミなどの不法投棄、利用者同士のいさかい、近隣住民からの苦情などが挙げられます。

こうしたトラブル対応の手間や費用を考慮せず、駐車場経営を始めてしまうのも失敗につながりやすい要因です。

トラブルが発生すると、トラブルを解決したり対策したりするための手間と費用と精神的負担がかかります。

これを対処もせずにそのまま放置しておくと、利用者が減るため駐車場経営に影響が出ます。

駐車場経営を始める際には、トラブル発生を想定しておくとともに、対策費用をあらかじめ見込んでおきましょう。

利用料金が高すぎる

駐車場経営において、利用料金の設定は経営の根幹ともいえる部分です。

周辺競合に比べ、高すぎても安すぎてもいけません。

相場より高い料金に設定すると稼働率が下がってしまい、安すぎると稼働率はよいものの、客単価は上がらず、どちらも安定収益は望めなくなります。

同じロードサイドビジネスのガソリンスタンド同様、差別化戦略が難しい駐車場経営では、適切な料金設定の追求は永遠のテーマといえるかもしれません。

面積の割に台数が確保できない土地

面積見合いの台数が確保できない土地は、駐車場経営に向きません。

駐車場は駐車スペースだけでなく、進入・退出用の車路も設けなければならないため、その分を差し引いた駐車台数しか見込めず、かつ土地の形状にもかなりの制限を受けます。

同じ固定資産税を払う40坪であっても、整形なら6台分、不整形なら3台分と確保できる駐車スペースに大幅な差が出ます。

当然、3台分しか駐車スペースを確保できない土地は、儲からないわけです。
ただし、駐車スペースや車路を無駄なく配置できる土地はほとんどないといって、よく収益にならないデッドスペースを生んでしまう形状の土地がほとんどです。

このあたりは、複層賃貸住宅に対し、平面展開しかできない駐車場経営の弱点といえるでしょう。

事前のシミュレーションが甘い

駐車場経営を自力で行おうという場合、失敗を避けるには、事前のシミュレーションが極めて大切です。

特に開業当初は駐車場利用者の特性・属性がつかめないため、収益が伸び悩んで焦りが生じるかもしれません。

よくあるのが税金や管理費などのランニングコストの見積もりを、低く間違えるミスです。

そうならないよう、収益シミュレーションはタイトに寄せておきましょう。

そしてその結果が赤字になったのであれば、賃貸住宅やトランクルームといった別の土地活用法を検討してみるのも一案です。

専門家のアドバイスを求めない

始めて駐車場経営を始める方には、駐車場経営や土地活用の専門家か、信頼と実績のある不動産会社への相談を強くおすすめします。

土地の特性や周辺環境に合わせた最適な運営方法をプロの視点で提案してもらえます。

月極駐車場にするか、コインパーキングのほうが適切か、あるいは併用でいくかなど、初心者では難しい判断にも的確にアドバイスしてくれるでしょう。

逆に言うと、土地活用初心者が徒手空拳で駐車場経営に乗り出せば、失敗する確率が決して低くはないということです。

アドバイスだけでなく、駐車場の管理業務自体を専門家に委託してしまえば、オーナーが遠隔地にいても運営に支障をきたすことはありません。

駐車場経営で発生するトラブルにも、迅速に対応してくれるので、副業でコインパーキング経営を行おうという方には最適です。

専門家を選ぶ際には、経験と実績に加え、顧客満足度や提案力、料金体系などを調べておきましょう。

ネットの口コミで、業者の評判を検索してみるのもおすすめします。

複数の専門業者から受けた提案内容、提示料金は詳細までよく比較してみましょう。

相見積もりといって、より有利な条件で契約を結ぶことができます。

駐車場経営を成功させるコツ

以上、「なぜ駐車場経営は儲からないと言われるのか」「儲けるためのポイント」「よくある失敗原因」を踏まえたうえで、駐車場経営を成功させるコツを探っていきます。

市場調査を入念に行う

駐車場経営を始める前に、周辺の市場調査を入念に行ってください、

そのうえで熟考を重ね、採算をギリギリまで考えて、やるか様子をみるかを決めましょう。

土地活用で簡単に決断することは禁物です。

ニーズの少ない不向きな立地で駐車場経営を始めてしまうと、利用者がつかず、赤字経営となって早期撤退となりかねません。

ほかの土地活用プランと比較してから決める

駐車場経営以外にも、土地活用の方法にはたくさんの選択肢があります

ですから土地活用をする際には、必ず、複数の土地活用方法を見比べて、その中から最も良いと思える方法を選び出してください。

どうしても駐車場経営に向かないと思う土地、収益に自信が湧かない土地であったら、目を他に転じることも駐車場経営で失敗しないコツなのです。

さまざまな土地活用プランは、ハウスメーカーや建築会社に関連資料を請求することで簡単に入手できます。

極力初期費用をかけない

駐車場経営は、儲けが大きいビジネスではないため、初期費用を極力かけないのも大切なことです。
初期費用を抑えるには、調達先から相見積もりをしっかり取り、可能であれば安い調達品で済ませようにしましょう。
コインパーキングでは、精算機や看板照明、パークロックもしくはゲート精算機等の設置が必要となりますが、これらも中古品を購入すればコストを抑えることができます。

ランニングコストを削減する

初期費用だけでなく、日々のランニングコストにも無駄がないか目を光らせるようにしましょう。

駐車場経営で必要となる主なランニングコストを挙げてみます。

駐車場経営のランニングコスト例

  • 電気代
  • 設備メンテナンス費用
  • 消耗品の購入費用
  • 管理費・清掃費
  • 保険料
  • 人件費(スタッフの給与、無人化なら削減可能)
  • 固定資産税・都市計画税

このなかで、削減できそうなものはないか考えてみてください。

駐車場経営は賃貸住宅経営と比較すると、収益性の低い土地活用方法ですから、ランニングコストの負担割合は収益に直結しやすいのです。

ランニングコストが高額だと支出が収入を上回り、簡単に赤字経営に陥ってしまいます。

駐車場経営を始めたらすぐに無駄なランニングコスト項目をチェックし、収入と支出のバランスに目を配るようにしましょう。

適切な料金設定を行う

繰り返しになりますが、駐車場経営で安定収益を得るためには、適切な料金設定が非常に重要になります。

高すぎると利用者が減り、低すぎると収益が減少してしまうため、周辺の相場をしっかりと把握し、自社の立地条件やターゲットの利用者を考慮した料金を追求してください。

これにはある程度の経験が必要で、“走りながら考える”ことになるでしょう。

月極駐車場では、たとえば、駅や商業施設に近いのであれば、相場よりも高めの料金設定でも需要が見込める可能性があります。

コインパーキングでは、時間帯別料金や最大料金の設定など、より細かくより柔軟な料金設定が可能です。

自分に合った経営スタイルを見つける

自分が望む経営スタイルを見つけることが、長く続ける秘訣といえます。

駐車場の運営方法は大別して、“自主経営”“一括借り上げ方式”“買取方式”“管理委託方式”の4種類です。

それぞれの特徴は表の通りです。

駐車場経営の運営方式

  概要  メリット  デメリット 
自主経営  初期設備の準備から管理運営までのすべてを、土地オーナーが自分で行う方式  ・駐車場経営で得た収入から清掃・見回りなどのコストを差し引いた分がすべて自分の収入に ・委託料がかからないのでもっとも儲かる方式  ・運営管理に多大な手間と時間 ・空きが出ると即減収に ・基本的にサラリーマンの副業には不向き 
一括借り上げ  ・主にコインパーキングの専門会社にある契約プラン ・所有土地をパーキングの専門会社に貸し出し契約時に決めた一定賃料を受け取る ・“サブリース方式”ともよばれる ・専門会社が駐車場としての価値を査定し提示した金額に納得がいけば契約  ・初期費用が不要で、ランニングコストなどもすべて専門会社が負担 ・土地オーナーは一切の手間ひまなしに毎月決まった賃料を得られる  ・稼働率が上がっても賃料への反映はなし ・稼働率が下がると運営会社から賃料引き下げを通告されることも 
買取  ・コインパーキングで採用される方式 ・経営開始前の準備はオーナーが行い、保守管理を専門会社に委託する  ・土地と機械はオーナー所有のため管理のための委託費を支払えば残りはすべて収入になる ・機器を購入する際は減価償却ができる  ・将来自分でコインパーキングを経営していくつもりがなければ過剰投資に 
管理委託  ・駐車場を作るところまでを土地オーナーが担当しその後の賃貸管理を専門会社や不動産会社に委託する方式  ・駐車場を作ったあと、運営管理を丸投げできる ・所有の土地が遠方にある、駐車場経営とは別に本業がある場合に最適  ・収入から管理委託費などのコストが差し引かれるので委託業務が多いと手取り利益が減る ・管理会社によって料金差が大きい ・稼働率の変動が利益に反映 

副業でコインパーキング経営するなら一括借上げ方式

上記4つの運営方法のなかで。もっとも儲けが大きいのは自主経営方式です。

残りの3つは管理手数料を運営会社に支払う必要がありますが、自主経営は駐車場料金がまるまる自分の収入になります。

しかしながら、自営方式は宣伝・告知に力を入れないと、ドライバーに認知されず、オープンからしばらくは閑古鳥という事態もありえます。

そのため最初から手間をかけずに確実に儲けたいのであれば、一括借り上げ方式を選択するのがよいかもしれません。

駐車場運営会社に土地を貸し出して、コインパーキングを運営し、そこで得た利益のなかから、毎月決まった賃料を得る方式です。

駐車場稼働率が上がり、満車に近い状態が維持できても賃料は上がりませんが、稼働率が下がっても即、減収となることはありません。

土地オーナーはコインパーキングの設営から、管理・運営の一切に関わることなく、トラブル対応の煩わしさからも解放され、賃料収入のみを得られるのが最大の利点です。

駐車場経営は工夫次第で儲かるビジネスになる

「駐車場経営が儲からない」とされる理由と、儲けるための方法について解説してきました。

駐車場経営は手軽に始められる土地活用法ですが、リターンはもともと大きいとはいえず、税制面の不利や競合の多さといった儲からない理由も確かに存在します。

そんな駐車場経営で儲けるには、ここで紹介した“自前の土地で行う”“固定資産税が安い場所を探す”“駐車場ニーズが強い場所にこだわる”といった要点を思い出してください。

所有土地を貸すだけで手間をかけずに毎月固定利益を得るには、コインパーキングの一括借り上げ方式がもっとも有力な選択肢です。

50年の実績を誇るユアーズ・コーポ―レーションにぜひご用命ください。

    
更地 固定資産税

更地の固定資産税が高くなる理由とは?詳しく解説

    

更地や空き家になった実家を相続した方は、早めに固定資産税対策に動きましょう。

更地のままでは高い税率が課せられ、老朽空き家を放置していると自治体から改善を促す“特定空き家”に指定されてしまうかもしれません。

更地対策としては、共同住宅を建てる、住宅敷地一体型の駐車場を造る、農地にするなどの方法がありますが、処分に困ったら売却を考えるのも一案です。

更地の税金対策を掘り下げた本記事は参考になるはずです。

固定資産税に関する基礎的知識

まず、固定資産税のあらましを押さえておきましょう。

すべてはここからです。

固定資産税とは

固定資産税は土地、家屋や償却資産などの固定資産にかかる税金で、各市区町村に納める地方税です。

道府県民税ではありませんが、特例として、固定資産が東京23区内に所在する場合は、東京都に納めることになっています。

納税義務者は、毎年1月1日時点で固定資産を所有している人で、4~6月頃に納税額が記載された通知書が送られてきます。
納付は年4回に分けて行いますが(一括払いも可)、納付期限は自治体により異なります。

固定資産税は使途が定められていない“普通税”で、納めた市町村(東京都含む)の道路整備や公共施設の拡充、介護・福祉などの行政サービスにも使われます。

固定資産税の計算方法

固定資産税は以下の式で計算されます。

固定資産税 = 課税標準額 × 標準税率(1.4%)

ここでいう“課税標準額”とは固定資産税の計算のベースとなる金額で、“固定資産税評価額”をもとに計算されます。

では、固定資産税評価額はなにかといえば、土地や建物などの価値を基にした評価額であり、市町村が決定しています。

この金額は、1年に一度郵送されてくる“固定資産税納税通知書”に同封の課税明細書で確認できます。

土地の固定資産税評価額は、地価公示価格の70%が目安です。
地価公示価格は、国が毎年、標準地とよばれる土地の価格を算定して公表しています。

固定資産税とあわせて納める都市計画税

同じように、土地や家屋の所有者に課せられる税金に都市計画税があります。
ただし、固定資産税と違って、償却資産は課税対象とはなりません。

普通税である固定資産税と異なり、都市計画税は一定の政策目的のために、税収の使途が定められている“目的税”です。

都市計画事業や土地区画整理事業(いわゆる“まちづくり”)の費用の財源として活用されます。

納付方法や納付期限は固定資産税と同じで、税額も課税標準額に税率(0.3%)を乗じて求めます。

固定資産税・都市計画税の軽減措置

固定資産税と都市計画税には、特定の条件を満たすことで課税標準額が軽減される特例措置があります。

土地の場合

土地の課税標準額が軽減される特例が、“小規模住宅用地の特例”と“一般住宅用地の特例”です。
この特例は、居住用の家屋が建っている土地に対して適用されるものです。

それぞれ、以下にまとめた通りに課税標準額が割り引かれ、土地の固定資産税額が減額されます。

特例名  対象の住宅用地  固定資産税  都市計画税 
小規模住宅用地の特例  200㎡以下の部分  6分の1に  3分の1に 
一般住宅用地の特例  200㎡を超える部分  3分の1に  3分の2に 

たとえば、面積が300㎡の住宅用地の場合、200㎡分は小規模住宅用地の特例が、100㎡分は一般住宅用地の特例が適用されることになります。

この軽減措置が適用されるのは居住用の家屋が建っている土地のみで、ただの更地には適用されません。

家屋の場合

要件を満たした新築住宅については、新築後の一定期間、固定資産税の一定割合(1戸あたり 120 ㎡相当まで)の1/2に相当する額が減額されます。

住宅の種類  税額が軽減される期間 
一般的な一戸建て  新築後3年間 
認定長期優良住宅の一戸建て  新築後5年間 
3階建て以上の耐火・準耐火構造のマンション・一戸建て  新築後5年間 
3階建て以上の耐火・準耐火構造かつ認定長期優良住宅のマンション・一戸建て  新築後7年間 

適用条件など詳細については、物件の所在する自治体によって異なるのでHPで確認してください。

更地の固定資産税はなぜ高いのか

ややこしい話になりますが、更地は“宅地”に分類されます。

この宅地はさらに、住宅用地と非住宅用地に分けられ、更地は非住宅用地に該当します。
住宅用地は、居住用途の建物が存在する土地を指し、非住宅用地はそれ以外の宅地を指しますから、更地は後者というわけです。

住宅用地には、上述した特例措置がありますが、更地などの非住宅用地にはこれらは適用されないため、住宅用地よりも固定資産税が高くなるのです。

小規模住宅用地の特例を受けていた土地の建物を取り壊して更地にすると、固定資産税の課税標準額が6倍(200㎡までの部分。残りは3倍)にも増えてしまう場合があります。

更地の固定資産税が高くなる主な理由

更地の固定資産税が高くなる理由として、上述の「住宅用地に対する課税標準の特例」が適用されないことに加え、マイホームに対する減税措置が受けられないことも挙げられます。

千葉市を例にとると、マイホームで要件を満たすと新築は一般住宅で3年度分、長期優良住宅で5年度分、リフォームは実施後1年度分、家屋部分の固定資産税が減額されます。

更地はこうした軽減措置が受けられないため、トータルで税負担が大きくなってしまうと考えられるのです。

さらにもう一つ理由を挙げると、土地は経年劣化しないので評価額も下がらないという事情もあります。

家屋の評価は建築後の年数に応じた“経年減点補正率”によって調整されるため、建物部分の固定資産税額は年数が経つごとに安くなっていきます。

しかし、土地の場合、評価額に影響するのは、あくまでも用途地域の区分や路線価などです。

建物のように経年で固定資産税が安くなることはありません。

したがって、住宅用地の軽減措置やマイホーム減税が適用でき、年数が経つと家屋部分の税負担が減っていく家屋付きの土地のほうが、更地よりも税金面で有利といえるのです。

更地の固定資産税を安くする方法

更地の固定資産税が、住宅用地に比べて高額に設定されている理由がお分かりいただけたかと思います。

そんな更地にかかる固定資産税の負担を減らすにはどうすればよいのでしょうか。

いくつか方法があるのでご紹介します。

①住宅を建てる

前述の通り、現在更地を所有しているのであれば、そこに住宅を建てれば、住宅用地の減額措置が適用され、土地の固定資産税の負担を軽減できます。

戸建てを新築することで最大で7年度分、建物部分の固定資産税の減額も受けられます。

自分で住むマイホームではない、アパートやマンションなどの共同住宅も住宅用地の軽減措置の対象です。

さらに言うと、節税効果を狙うなら、戸建て住宅より断然、共同住宅のほうが有利です。

詳しくは次章で詳しく解説します。

②アパートやマンションを建てる

200㎡以上の土地であれば、同じ賃貸住宅でも一戸建てよりマンションやアパートなどの共同住宅を展開したほうが、節税効果が大きくなります。

小規模住宅用地の特例は住宅1戸につき200㎡までの部分に適用されるのは前述の通りです。

つまり、2戸なら400㎡、3戸なら600㎡までの広さの土地に小規模住宅用地の特例が適用されるわけです。

300㎡の土地に一戸建てと、戸数が10戸のアパートを建てた場合で比較してみましょう。

一戸建ての場合は、200㎡以内の土地が小規模住宅用地で、200㎡を超える部分が一般住宅用地となります。

それぞれ特例の対象ではありますが、固定資産税評価額が6分の1の部分が全体の3分の2,3分の1の部分が3分の1でトータルの評価額は3分の2程度にしかなりません。

一方、戸数が10戸のアパートは、10戸×200㎡で2,000㎡まで小規模住宅用地の特例が適用されることになります。

今回のケースでは、300㎡全体が小規模住宅用地特例の対象となり、評価額はマックスの6分の1にまで下がるわけです。

このように、戸数が増えることの効果は大きいため、200㎡を超える敷地の土地活用では、戸建て賃貸ではなく共同住宅を建てたほうが、税制上圧倒的に有利ということになります。

また、賃貸住宅を建設すると相続税も節税できます。

賃貸住宅の場合は、200㎡までの部分に対して小規模住宅用地の特例が適用され評価額は50%減額できます。

こうなると、相続時に現金1億円を保有しているより、1億円で賃貸用マンションを購入しておいたほうが、相続税はお得といえそうです。

③取り壊し日と竣工日を意識する

土地の固定資産税は1月1日時点の状態で決まるため、いつ取り壊し、新築するかも税制上の重要なポイントです。

具体的には、住宅の取り壊しは1月1日以降に行い、竣工(完成)は1月1日までに間に合わせる、ということです。

1月1日よりも前に住宅を取り壊してそのままだと、次の年の1月1日には住宅用地の特例が適用されない更地の状態となっています。

これが1月2日以降に取り壊せば、1月中に建物がなくなってもその1年間は住宅用地の特例が適用されたままとなり土地の固定資産税は安いままです。

つまり、1月1日時点で建物が建っている状態にしておくことが固定資産税の節税につながるわけです。

ですから、更地に建設を進めた建物が翌年1月1日に竣工し終えていれば、その年は住宅用地の特例が適用され、土地の固定資産税は安くなります。

一般的な住宅の場合、取り壊しにかかる期間は1.0~1.5か月、建物の建築期間はハウスメーカーに依頼すれば2階建ての戸建てやアパートなら、3か月程度です。

おおむね8月後半までに住宅を取り壊し、ワンテンポ置いて戸建てアパートの建設に取りかかることができれば、翌年の1月1日には間に合うはずです。

④農地に名義変更する

農地は宅地よりも固定資産税評価額が低く設定されているため、税金を軽減するため農地転用するという手もあります。
ただし、再度宅地に戻す手続きは複雑で、時間がかかるので慎重に検討しましょう。

また、市街地にある土地は、農地に名義変更しても宅地並みの課税を受けるケースもあるので、事前に確認が必要です。

⑤更地を駐車場にする

駐車場は非住宅用地と同じ“雑種地”に該当し、固定資産税はそのままでは安くなりません。

車止めを置いたり、ロープを張ったりしただけの青空駐車場では、住宅用地の特例が受けられず、更地と同じ高い固定資産税がかかります。

固定資産税を抑えられる駐車場にするには、駐車場とアパートの敷地を一体化させる工夫が必要です。

土地をつなげることで、住宅用地とみなされ、住宅用の特例(200㎡以下の小規模住宅用地であれば課税標準額は固定資産税評価額の6分の1に減額)が適用されるからです。

ただし、この特例措置の適用には、その駐車場をアパートの住人専用にすることなどの条件がつくため、税理士や不動産の専門家に相談してみたほうがよいでしょう。

首尾よく、特例が適用されたら、駐車場の税額軽減効果に加え、アパートやマンションの賃貸収入も得られます。

はじめから営業用の駐車場を経営するなら、固定資産税は安くなりませんが、利用料金で納税原資を確保できるので、どのみち更地にしておくよりは有利です。

駐車場経営は相続性対策としても非常に有効な選択肢となります。

相続税対策として「小規模宅地等の特例」を利用することで、駐車場用地の評価額を50%減額できる可能性があるためです。

ただし、特例の適用には、敷地上に構築物(アスファルト舗装や機械式駐車場など)があるなど、いくつかの要件を満たさなくてはなりません。

駐車場の料金収入は、相続税の納税資金の一部として活用できます。

⑥不要な更地であれば売却する

活用が見込めない土地の場合は、思い切って売却してしまえば、まとまった資金を得られるうえ、納税のしばりからも解放されます。

不動産会社に価格査定を依頼しどの程度の金額で売却できるか確かめてみましょう。

しかし、一度土地を手放すと買い戻すのは難しく、将来的な土地活用のチャンスも失われてしまうので、不動産売却はあくまで最後の手段です。

⑦無償譲渡や寄付という手も

更地を放置しておくと、それだけで支払う税金が発生してしまいますから、買い手がつかない土地であったら、年内に無償譲渡や寄付を行う先を探しましょう。

「タダなら貰って活用したい」という人や団体、自治体はいるはずです。

無償譲渡できれば固定資産税の支払いから解放されます。
慈善団体などに寄付できれば、社会貢献にもつながります。

これだけは押さえておきたい更地の固定資産税

最後に、更地の固定資産税に関して、まだお伝えしていない“これだけは押さえておきたい”というポイントを解説します。

特に、住宅用地の特例措置を活用して固定資産税を安くしたいと考えている方は参考にしてください。

建物を建てれば必ず固定資産税が安くなるとは限らない

更地に住居用の家屋を建てることで、土地部分は住宅用地の軽減措置を受けられるのは、これまでお伝えした通りです。

ただし、土地にかかる固定資産税の軽減幅よりも、建物部分の税額が上回る場合は、トータルの税負担は高くなってしまう点に注意が必要です。

確かに、土地の評価額が高い地域では土地部分の固定資産税の軽減幅が大きくなるため、建物を建てることで更地状態が解消され、税金が安くなる可能性が高くなります。

逆に、土地の評価額が低い地域では、いくら住宅用地の特例措置を活用しても建物の評価額次第ではトータルの税負担が重くなってしまう可能性もあるわけです。

更地に建物を建てる場合は、建物部分の評価額や固定資産税がいくらになるのかを事前に計算しておかないと、思わぬ見込み違いとなるおそれがあります。

建物を建てるなら黒字運営か居住が必須

固定資産税対策で建物を建てるのは結構ですが、使い道やメンテナンスをどうするのかなどをあらかじめ考えておかないと後悔します。

賃貸住宅が赤字になれば固定資産税を節税した以上の金額が失われるかもしれないし、家族で使うにしろ、誰が住むのか決めておかないと早晩空き家化してしまいます。

これではなんのために、建物を建てたかわかりません。

もし、更地に建てた建物の活用が難しい場合は、早めに売却して固定資産税や管理の負担から逃れることを考えましょう。

空き家特例などを利用して譲渡所得税を軽減できるかもしれません。

“特定空家”に認定されると税額大幅増

昔住んでいた屋敷があるから更地ではない、と安心ばかりはしていられません。

その建物が人の住んでいない空き家の場合、“特定空家”“管理不全空家”に指定される危険があり、住宅用地の特例から外されるかもしれないからです。

両親が施設に入ったあとに相続した田舎の実家などは特にこうしたリスクに見舞われがちです。

特定空き家とは建物が崩壊しそうになったり、浮浪者が住み着いたりするなど危険な状態の空き家のことです。
特定空き家に認定したあと自治体は、空き家の状態を改善するよう命令し、これに従わないでいると固定資産税減税措置が解除され、税額が一挙に3~4倍になってしまいます。

滞納すると延滞金のリスク

固定資産税は、指定された納期までに納付する必要があります。

指定納期を過ぎると延滞金が発生し、滞納期間が長くなるほど延滞金も増えていきます。

もし納付が困難な場合は、自治体にその旨報告し、延滞金がかからない措置を相談しましょう。

更地は固定資産税の節税対策が大きなテーマ

今回は、更地にかかる固定資産税を取り上げました。

更地のままだと、住宅用地の特例が適用されないため、固定資産税は高くなります。

固定資産税を安くするには、共同住宅を建てたり、駐車場にしたりといった方法があります。

ただしエリアの土地評価や建物評価などによっては、建物を建てたからといって必ず固定資産税が安くなるとは限りません。

税金対策で所有土地に家屋を建てる場合は、建物自体の評価額や税額をシミュレーションし、建物の活用方法や運用方針まで考えておく必要があります。

駐車場経営に興味をお持ちなら、コインパーキング経営の老舗ユアーズコーポレーションにご相談ください。

所有土地を活かす一つの答えが見つかります。

    

空き家を解体するメリットとは?費用を抑える方法も解説

    

老朽空き家の増加は、景観への影響や防災、治安面で社会問題となっています。

売却も難しく、解体にもそれなりにお金がかかるし、住宅用地に適用されていた固定資産税の優遇措置もなくなってしまうので、多くは放置されているのが現状です。

本記事ではこの問題を前向きにとらえ、空き家を解体するメリットと、費用を抑える方法、解体して更地となった土地の活用法等を提言しています。

この問題に悩む地主様はぜひご一読ください。

空き家は解体すべき?

住まなくなった空き家、相続しても住まない家はそのまま放置しておくと、老朽化に伴うさまざまな問題が発生します。

しかし解体するには費用の工面や、更地にしたあと高くなる税金の支払いという金銭的問題が待ち受けています。

平成26年に制定された「空家等対策特別措置法」では、適切に管理されていない空き家を“特定空家”に指定し、改善の勧告や命令ができるようになりました。

これにより、命令に反すると50万円以下の罰金処分や、行政代執行(所有者の承諾を得ずに建物を解体し、その費用を所有者に請求すること)が行われる可能性があります。

もとより特定空家に指定されてしまうような建物は、維持・管理も売却も難しい老朽物件ばかりですから、お金がかかっても早急に解体処分するほかないのが現実です。

また、特定空家でなくても、売れない・貸せない・管理もできない老朽物件は全国で増加しており、景観・倒壊・治安面で大きな社会問題となっています。

空き家を解体するメリット

ここは前向きに考え、空き家を解体することを決めたと仮定します。

その場合、どのようなメリットがあるでしょうか。

以下で順に解説していきましょう。

メリット①老朽家屋の倒壊・治安リスクがなくなる

家を解体すると、倒壊リスクにおびえる日々から解放されます。

家は、人が住まなくなると傷みが早まるといわれています。

住んでいればわかる柱や梁などのシロアリ被害や、度重なる地震でひび割れが拡がっていたという経年劣化が、無人の家では気づけず倒壊のリスクが日々高まるというわけです。

また、一軒家に日常的に人がいる気配がなければ犯罪者や浮浪者のたまり場にされたり、放火犯に狙われたりする治安上のリスクもあります。

家を解体すればこうした対策にもなるので、近隣住民の不安解消にもつながります。

メリット②管理・維持コストを削減できる

家を所有していると管理・メンテナンスの費用が発生しますが、解体すれば管理費は消滅し、更地になった土地の維持コストだけになります。

家の解体後は、庭の手入れや家屋の掃除の気苦労もありません。

これにより時間的余裕も生まれることでしょう。

メリット③土地を売却しやすくなる

空き家を売却する際も建物を解体し、更地にしておいたほうが断然有利です。

老朽化した空き家が建ったままの状態で購入したら、建物の解体にかかる費用を自己負担しなくてはなりません。

このような“古家付土地”とよばれる物件は一部で人気があるとはいえ、なかなか買い手も見つからないため、売却までに時間を要し、売却価格もだんだんと低下する傾向にあります。

メリット④土地を新たに活用できる

空き家を解体して、すぐに違う土地活用法に転用すれば、固定資産税の上昇リスクを抑え、収益も生み出すことができます。

ただ更地にしておくより、実戦的な対処法ですが、新しく投資を始めるには資金的余裕も必要ですから「更地にするのにお金を使ってしまった」という方には難しいかもしれません。

空き家を解体する際の注意点

空き家になった実家を解体することを決め、いざ実行という前に、確認しておいてほしいことがあります。

これらを十分踏まえたあとで、かつての住まいを解体すべきかどうか決断してください。

注意点①固定資産税の減税が適用されなくなる

空き家を解体すると、住宅用地に対する固定資産税の減額が適用されなくなり、税負担が一挙に増えてしまう、という問題があります。

住宅用地の場合、固定資産税は1/6もしくは3/1に減額されています。
しかし更地にすると、この特例がなくなるわけです。

固定資産税の大幅増徴を回避したいのであれば、空き家を解体しないでおくというのも選択肢の一つですが、時間稼ぎでしかないのが苦しいところです。

注意点②解体費用が高額になる場合がある

解体工事の費用は、立地や建物の大きさ、建物の構造でおおよその相場が決まりますが、他にも物件ごとのさまざまな事情や理由が絡んで、思わぬ高額となることもあります。

一般的な解体工事費用が高騰する要因以外にも、費用が高くなりやすい事象やイレギュラー要因は数多く存在します。

施主としてはそのことも頭に入れたうえで、契約交渉に臨むことが大切です。

解体費用を少しでも安くしたいと考えるなら、自分でできることは極力自分で行ったうえで、項目を絞り込んで解体業者と契約するようにしましょう。

これについては後ほど説明します。

空き家を解体する際にかかる費用

前述したように、解体費用は建物の立地・規模(大きさ)、構造によって変わります。

建物の“立地”によって左右されるとは、どういうことかというと、解体作業を行うための重機が入っていけずに人力での作業が増える場合は料金が上がるというのがその一例です。

当然、建物の“規模”が大きいほど解体作業が大掛かりとなるので費用が高くなります。

また、建物が木造なのか鉄骨造なのか、1階建てか2階建てかの構造によっても費用は変わります。

このほか、建物の種類や地域などさまざまな条件によっても解体費用は異なりますが、大まかな目安は一般的な木造一戸建て(建坪30坪程度)で90万~150万円程度です。

構造ごとの解体費用

一軒家の空き家解体にかかる、構造別の費用相場は以下のとおりです。

建物構造ごとの解体費用

木造  3万~5万円/坪 
鉄骨造  5万~7万円/坪 
鉄筋コンクリート(RC)造  6万~8万円/坪 

たとえば40坪の一軒家を解体する際の費用は、木造住宅なら120万~200万円、鉄骨造なら200万~280万円、鉄筋コンクリート造なら240万~320万円程度となるわけです。

付帯工事の費用

解体工事の付帯工事別の相場は以下のとおりです。

付帯工事費とは、解体工事費本体に対して、別に必要となる工事費用のことです。

塀や門扉、車庫、庭にある構造物の撤去がこれに当たります。

付帯工事の種類別費用

付帯工事の種類  費用 
家屋内の残留物撤去  8,000~1万円/約1㎡ 
ブロック塀解体  1万円/1本 
庭木の撤去  2,000~3,000円/約1㎡ 
庭石の撤去  1万円/約1t 
倉庫の撤去  2万~3万円/1個 
門・フェンスの撤去  2万円/1組 
アスベストの除去  2万~8万5,000円/㎡(300㎡以下) 

このなかで、発がん物質アスベストについては、労働安全衛生法の改正により使用禁止になった、2006年9月1日以前に建てられた家には使用されている可能性があります。

法律による事前の調査や、アスベスト除去作業が必要になることもありますが、その費用は処理面積200㎡の場合で400万~1,700万円と非常に高額です。

空き家の解体費用を抑える方法

空き家の解体で、費用を抑えるポイントを紹介します。

探せばいろいろあるのですが、ここでは以下の3つについて説明します。

補助金・助成金制度を活用する

自治体では、街の環境や景観を守るために、老朽化した建物や空き家を解体するための補助金や助成金制度を設けているので、問い合わせてみましょう。

市町村のホームペ―ジに未掲載であるケースもままあり、担当窓口もわかりにくいので、こちらからアクションを起こさないと辿り着けないのが難題です。

申請受付や工事完了時期の条件があるだけでなく、予算額に達したら終了といったハードルも待ち受けていますが、めげずに挑んでみる価値はあります。

工事費用の助成はかかった金額の2~5割程度ですが、固定資産税の減免を用意している自治体もあり、数十万円単位の節約につながることもあるからです。

具体的にどのような解体関連補助制度があるのか見てみましょう。

老朽危険家屋解体撤去補助金

「老朽危険家屋解体撤去補助金」は、老朽化により倒壊のおそれがある空き家の解体を促すため、自治体が国と連携して解体費用を支援する制度です。

申請の前に、自治体による現地調査があるため、まずは、管轄の自治体に問い合わせてみてください。

この補助金の支給額は、一般的に解体費用の1/5~1/2程度ですが、自治体ごとに異なるため、あわせて確認しておきましょう。

建て替え建設費補助金

「建て替え建設費補助金」とは、耐震面で問題がある建物を取り壊し、新しく建て替える際に受けられる補助金です。

解体費用だけでなく、建築費用も一部支給されます。

支給額や申請条件は自治体によって異なります。

都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金

「都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金」は、街の景観を守るため、長いあいだ放置された老朽空き家の解体費用を補助する制度です。

支給を受ける条件として、空き家の所有者に、解体工事後に景観形成基準を満たす土地の利用方法が求められます。

支給額は解体費用の1/5~1/2程度といわれていますが、ほかの補助金制度と同様に、自治体に詳細を確認する必要があります。

不用品の処分を自身で行う

空き家に残した遺品や家具、家電などの不用品(残置物)は、解体工事会社経由で民間の専門業者に処分を依頼することもできますが、費用がかかります。

可燃ゴミや資源ゴミ、不燃ゴミについては、指定の曜日にゴミ回収場所に置いておけばよいので、たいした手間はかかりません。

粗大ゴミについても、自治体の定めた方法で搬出するか、トラックなどでリサイクルセンターへ直接持ち込めば費用はかからないので、自分で処分しましょう。

なお、民間業者の不用品の処理費用の相場は分量にもよりますが20万~30万円程度です。

建物滅失登記の手続きを自分で行う

「建物滅失登記」とは、法務局の登記簿から建物を解体しなくなったことを届け出す手続きです。

解体工事後、1か月以内の滅失登記が義務づけられており、違反すると10万円以下の過料に処されることもあります。

土地家屋調査士に依頼すると、4万〜5万円の手数料がかかりますが、自ら行う場合は登記簿謄本の取得費用(1通1000円)程度ですみます。

管掌の法務局に建物滅失登記申請書 (以下URLよりダウンロード)と各証明書を郵送するだけで済みますから、自分で行うのが得策です。

参照元:法務局「不動産登記の申請書様式について」

空き家を解体したあとの土地活用

解体工事後の更地をそのまま放置すると、最大6倍になった固定資産税の支払いに苦しむことになります。

一刻も早く土地活用を考えなくてはなりません。

ここでは主に3つの選択肢を取り上げます。

売却する

更地にしてから売却すれば、自由に建物を建築できるため、空き家がある状態より買い手が見つかりやすくなります。

建物の劣化がひどく、どのみち解体が避けられない場合や、土地の価値が高い場合に検討したい方法です。

ただし、売却は土地価格が変動するため実行タイミングが難しいのがデメリットです。

早急に売却したい場合は、不動産業者に直接空き家のまま買取を打診してみましょう。

買い手を見つける時間やコストがかからずに済みます。

ただし、空き家買取の相場は通常の仲介売却の約7割と安いため、空き家自体の資産価値が高い場合にはもったいない方法かもしれません。

リノベーションもしくは新たに家を建てる

SS

空き家を空き家として貸し出すことができれば、処分に困っていた不良資産の空き家が収入を生み出す資産に生まれ変わります。

空き家の状態や立地が良い場合、またリノベーションをする資金的余力がある場合は検討に値する方法です。

しかし、空き家の状態が解体するしかないほど悪く、立地の良さを活かせていない、建て替える資金的余裕がある場合は、解体後にすぐ新築という選択肢もあってよいでしょう。

駐車場として活用する

解体工事後の土地がどのように活用されているかといえば、よく選ばれるのが駐車場経営です。

特に、駐車スペースが限られる都市部などでは、コインパーキングの人気が高いといわれています。

一括借り上げ方式なら管理・運用は管理会社に丸投げして、毎月安定した賃料を手にできます。

駐車場経営の成否は立地がすべてなので、その土地がコインパーキングとして収益が図れるのか、まずプロの管理会社に査定してもらいましょう。

空き家はコストを抑えて解体し新たな土地活用を

誰も住まなくなった家、相続したものの使い道のない古い家は、そのまま空き家として放置しておくと、いずれ維持・管理が難しくなってきます。

手放そうにも難しく、解体するほかないのですが、少額とはいえない費用と更地にかかる固定資産税の増徴という問題も待ち受ける難しい問題です。

解体後の土地活用には、費用が安く、初心者でも簡単に始められるコインパーキング経営も有望な選択肢となるでしょう。

一括借り上げ方式なら運営・管理は駐車場運営会社が行うため、駐車場経営の知識がなくても毎月安定した賃貸収入を得ることができます。

活用しきれていない土地の駐車場経営の適・不適の査定は、ユアーズ・コーポレーションにご相談ください。