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月極駐車場の料金の相場とは?損しない駐車場の選び方も紹介

    

月極駐車場料金には、その土地の地価を基準とした相場があります。
都内に住んでいれば全国平均より高いし、同じ都内でも都心部やその周辺は高い、というのはなんとなく分かっていても、ほかのエリアの相場など知らない方がほとんどでしょう。

 

そこでこの記事では、47都道府県と東京23区における月極駐車場の平均相場について取り上げます。
駐車場料金の決まり方や選ぶ際の注意点についても解説しますので、参考になさってください。

月極駐車場の料金の相場

月極駐車場の料金相場と、ひと口に言っても47都道府県でかなりの差があります。
たとえば、全国最高の東京都の3万1,077円に対し、最低の長野県は4,144円と2万6,933円もの差があります。

 

東京都は全国でも突出して高いのですが、2位の大阪府も2万6,475円と唯一の2万円台であり、全国平均はこの東西の大都市が釣り上げるかたちで8,288円となっています。
都道府県ではこれに近いのは、奈良県の7,349円、和歌山県の6,943円、千葉県の9,713円あたりです。

 

注意すべき点は、これが都道府県の平均相場であり、各都道府県とも県庁所在地とその他の都市では格差がある、ということです。
後述しますが、駐車場料金はその土地の地価の影響をもっとも受けます。

 

関連記事:コインパーキングの料金相場とは?留意すべき最大料金も解説

【東京23区エリア別】月極駐車場の相場


そんな月極駐車場料金全国1位の東京ですが、区部と市部で相場は異なり、区部のなかでもエリア別に差がみられます。
23区の最高値と最安値はそれぞれ港区の4万7,479円、足立区の1万8,223円で、その差は2万9,256円にのぼります。

 

ちなみに23区の単純平均を計算すると3万1,404円となり、これにもっとも近いのは墨田区の3万704円です。

都心3区の場合

次に23区を4つのエリアに分けて平均相場を見ていきましょう。
最初は都心部の3区(千代田、中央、港)です。

【都心3区の月極駐車場料金相場】

千代田区 4万6,534円
中央区 4万4,038円
港区 4万7,479円

このエリアには区部別最高値の港区をはじめ、2位の中央区、3位の千代田区と上位3区がそろい踏みで、さすがに日本の中心部という相場になっています。

 

4万円を超えているのもこの3区以外では渋谷区だけであり、ほかのエリアとは隔絶したレベルにあります。
新橋、六本木、赤坂の港区、銀座、日本橋がある中央区、皇居周辺部や霞が関を擁する千代田区と、街名を見ただけで駐車場料金が安いわけはない、と納得してしまいますよね。

 

なお、平置き駐車場(平面式駐車場)とは、車道からそのまま入場して停める、自走式の駐車場のことで、上記3区の場合、5万~12万円が相場です。
機械式とは昇降機など使って車を出し入れする駐車場のことで、限られたスペースにより多くの車を収容できるよう、複層的な構造になっています。
機械式駐車場の相場は、4万~6万円です。

 

敷地面積を広く使うことから、平置き駐車場の方が機械式駐車場に比べて利用料は高く、上記3区とも平置きだけの相場は区部平均を上回っているのがわかります。

副都心4区の場合

続いて、副都心4区(新宿・文京・渋谷・豊島)の相場を確認してみましょう。

【副都心4区の月極駐車場料金相場】

新宿区 3万8,366円
文京区 3万7,194円
渋谷区 4万3,222円
豊島区 3万2,384円

都心3区に次ぐ相場レベルなのが、この副都心4区です。
新宿、渋谷、池袋と都内でも最大の繁華街を抱えるこのエリアもイメージ通りの高額相場です。
学生が多く、家賃相場も都内有数の高位にある文京区も駐車場料金は23区中7位となっています。

 

それぞれの相場は、機械式であれば3万5,000~4万5,000円、平置きであれば4万~8万円です。

東部7区の場合

東部7区は、料金相場にそこまでのひらきはないようです。

【東部7区の月極駐車場料金相場】

江東区 3万618円
墨田区 3万704円
台東区 3万7,571円
荒川区 2万6,671円
江戸川区 1万8,391円
葛飾区 1万9,030円
足立区 1万8,223円

東部7区は比較的中心部に近い台東、墨田、江東とその外周部にある荒川、足立、葛飾、江戸川で相場が分かれている印象です。
特に、上野、浅草が存在感を放つ台東区は23区中6位、副都心3区並みの相場です。

 

対照的に、足立、江戸川、葛飾は23~21位を占め、区内でも駐車場料金が安いエリアですが、全国にならせば第3位の京都府(1万8,216円)に相当するレベル。
埼玉県、千葉県に隣接する、都内でも物価水準の低いベットタウンですら、これですから、東京都区部の駐車場相場には驚かされるばかりです。

 

なお、地価が突出して高い都心部、副都心部とは異なり、機械式、平置きの相場は2万~3万円と、両者に違いはみられません。

西部9区の場合

最後は西部9区の料金相場です。

【西部9区の月極駐車場料金相場】

品川区 3万4,694円
目黒区 3万4,963円
大田区 2万7,993円
世田谷区 2万6,817円
杉並区 2万4,398円
中野区 2万8,205円
練馬区 1万9,580円
板橋区 2万5,269円
北区 2万6,954円
機械式相場 2万5,000~4万円
平置き相場 2万5,000~4万円

区西部に位置するこの地域は、多摩地区、埼玉県、神奈川県と接する区部外周部を中心とする広域エリアです。
東部と同じベットタウンで、品川、赤羽、蒲田、中野、荻窪といった繁華街も点在していますが、駐車場相場は23区のなかではそれほど高くありません。
特に、緑が多く落ち着いた住宅街である練馬区の相場は23区中20位と安く、区内で車を持って暮らすには良い環境と言えそうです。

 

また、東部7区と同様、機械式、平置きの料金相場は2万5,000~4万円と、いずれも違いはありません。

月極駐車場の料金はどのように決まるのか?

月極駐車場の料金はどうやって決まるのでしょうか。
先ほど、もっとも大きな要素はその土地の地価であると申し上げましたが、駐車場の使いやすさ(利便性)や設備とサービスも料金に反映されます。

駐車場があるエリアの地価

東京23区、なかでも都心部とそれに隣接する副都心部は地価が非常に高く、ほかのエリアに比べてかなり割高に駐車場料金が設定されています。
逆にいうと、少しエリアを外せば、同じような設備と広さの駐車場が安く借りられるわけです。

利便性

使いやすさ=利便性も月極駐車場の料金に影響する要素です。
「住宅地から遠い」「駐車可能車種に制限がある」といった駐車場は人気がないので、料金は低くなる傾向にあります。

 

また、スペースが確保されているように見えても、実際には入出庫に神経を使う駐車場や、場内に急こう配や段差があって不便な思いをする駐車場も存在します。
こういった駐車場は使い勝手が悪いぶん、安いのがメリットですから、運転に自信がある方、料金の安さを優先したい方なら使ってもよいかもしれません。

設備やサービス

駐車場は同じような立地条件であれば、設備やサービスが充実しているほうが料金も高めに設定されています。
料金に反映する主な要素は、屋根があるかないかアスファルト舗装がなされているか監視カメラなどのセキュリティ対策がなされているか、などです。

 

係員が定期巡回している駐車場はトラブルの発生確率も低いですが、人件費や設備代がかかっているぶん、料金はどうしても高くなります。

 

関連記事:コインパーキングに防犯カメラを設置する理由と必要な機能とは?

月極駐車場を選ぶ際の注意点

駐車場料金には相場があるので、同じ土地ならさほど差がないはずですが、なかには同スペックであるにもかかわらず、料金に大幅な差がある場合が散見されます。
これは、集客・宣伝手段が昔ながらの看板のため、周辺の駐車場の情報がインターネットなどから入ってこない情報格差が原因と考えられます。

 

こうした月極駐車場は、オーナーが気づかぬ限り、適正な競争料金が設定されないため、割高な料金で契約する羽目になるかもしれません。

 

看板の集客方法がすべて悪いわけではないですが、時代遅れの弊害は否めません。
月極駐車場選びは、料金をよく調べて複数比較して決めることが大切です。

駐車場の料金相場はエリアによって異なる

今回は、東京23区の月極駐車場の平均相場を解説してまいりました。

 

全国の月極駐車場の平均相場は8,288円ですが、東京都の平均は3万1,077円、都心部と副都心部は3万7,000~4万7,000円台と突出しています。

 

月極駐車場の料金は、エリアの立地、駐車場の設備やサービス、利便性という3つの要素によって決められていますが、特に影響するのはその土地の地価です。
ご自身がどの要素をもっとも重視するかで、駐車場選びは決まります。
本記事を参考に、ベストな月極駐車場を選択してください。

 

ユアーズ・コーポレーションは、首都圏における月極め駐車場の草分け的な存在として、立地やニーズに合わせた駐車場経営をサポートいたします。
土地活用をするのに駐車場経営をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

    

駐車場に必要な坪数とは?坪数を理解する重要性も解説

    

自宅に駐車場を作る場合、どれくらいの土地が必要なのかご存じでしょうか。
そもそも、乗用車1台あたりの駐車スペースの目安を知らない方もいらっしゃることでしょう。

 

そこで本記事では、これから駐車場経営に乗り出そうという方に、月極とコインパーキングのそれぞれに必要な坪数も解説します。
儲かる駐車場経営は、坪数の持つ意味と駐車レイアウトの大切さを理解するところから始まります。
ぜひ、ご一読ください。

駐車場に必要な坪数とは?

普通乗用車1台分に必要な駐車場の広さは、実は国のほうから指針が示されています。
国土交通省の「駐車場設計・施工指針」がそれで、「長さ6.0m×幅員2.5m」で必要な坪数は「約4.5坪」(約14.9㎡)とされています。

 

2台分の駐車スペースなら約9.0坪、3台分では約13.5坪の土地が必要ということですね。
言うまでもないことですが、複数台の車を所有していると、それだけ広い土地を購入、あるいは借地する必要があるわけです。

 

参照元:国土交通省「駐車場設計・施工指針について」

台数ごとに必要な坪数

前述の点から、台数ごとに必要な坪数を計算すると次のようになります。

【駐車台数あたりの必要な駐車スペース】

台数 必要な坪数
1台 4.5
2台 9.0
3台 13.5
4台 18.0
5台 22.5

これは、車を置くための空間である「駐車ます」の大きさを示したものです。
複数の車を停める場合は、車両の全長に「+30cm」、車両の全幅に「+50~80cm」程度の余裕があったほうが、ドアの開閉も心配ありません。

車種ごとに必要な坪数

車種によって車体の大きさが異なるので、駐車スペースも当然変わります。
車種ごとに異なる坪数を以下の表にまとめました。

【車種別必要な坪数】

対象車種 長さ(m) 幅員(m) 必要坪数
軽自動車 3.6 2 2.2
小型乗用車 5 2.3 3.5
普通乗用車 6 2.5 4.5
小型貨物車 7.7 3 7
大型貨物車・バス 13 3.3 13

上記は、あくまで目安ですが、将来、車を買い替える場合、大きい車から小さい車へ乗り換える人はあまりいないので、なるべく上のクラスの車を想定しておいたほうがよいです。
軽自動車と普通乗用車では、必要な駐車スペースは2倍違います(軽自動車2.2坪、普通乗用車4.5坪)。

 

将来のライフプランも考慮しながら、どのくらいの坪数を確保しなければならないのかを確認しましょう。

駐車場の坪数を知る重要性

土地の坪数をきちんと把握することで、駐車場のエクステリアを正しく配置でき、「置きたいものが置けなかった」という、あとから困るようなこともなくなります。
駐車場設置に向き合う際、すべての土台となるのは土地の坪数を知ることなのです。

 

土地の広さという制約がある以上、土地の広さをもとに購入する車を決め、ほかのものを置くスペースや屋根柱の設置場所を考え、通行できる場所を確保しなければなりません。

無駄な費用や作業を減らせる

駐車場を作る場合、坪数を理解し、全体のレイアウトをイメージするという工程が欠かせません。

 

というのも、駐車場には車1台分の設置スペースに加え、車の向きを変えたり動かしたりするのに6mほどの車路が必要になります。
複数台の駐車になると、どうしてもこのくらいの余裕はみておかねばなりません。

 

さらに、コインパーキングであれば、出入り口に利用者の入出庫を制御するカーゲートの設置スペースが1~2坪必要になります。
これに必要なスペースがそもそも確保できているのか、すべての出発点であり、無駄な工事を防ぐためにも絶対に欠かせません。
完成してからの大幅な変更や追加工事は避けたいですし、作り終わったあとにデッドスペースがあるともったいないばかりか、不正駐車を誘発するおそれがあります。

 

関連記事:駐車場経営のトラブルは多い!よくある事例と解決策を解説

利益が増える可能性がある

土地の坪数を知ることは、駐車場を経営する場合にとても重要な要素になります。

 

たとえば、1㎡ほどのデッドスペースがあれば、自動販売機を置くことができますし、車を停めるスペースは確保できなくても、バイクを置くスペースは作れるかもしれません。

 

ムダをなくしコストを抑え、利益を上げるには、1坪あたりいくらの利益を生むことができるか、という視点が大切です。

駐車場の種類別に必要なスペース

前述したように、普通乗用車1台あたりに必要な駐車スペースは最低4.5坪といわれています。
ただし、余裕を持って入出庫するには2台分とまでは言わないまでも、1.5台分程度のスペースである7坪程度はあったほうが理想です。

 

ここからは、駐車場経営を念頭に、駐車場の種類別に必要なスペースを紹介します。
なお、車種はすべて普通乗用車に限定した場合とします。

コインパーキングの場合

コインパーキングの場合は、精算機や照明、看板などの機器を設置する場所や、出入口にもスペースを要するため、月極駐車場より大きめのスペースが必要です。
普通乗用車1台の駐車スペースを約4.5坪、2台分なら約9坪、これに精算機等などの設置スペースを考慮すると、最低10坪程度は確保したいところです。

 

ただ、この坪数では、少しでもデッドスペースがあると2台置けないので、長方形の土地でないとレイアウトには工夫を要します。
とはいえ、あまりスペースを広く取りすぎると不正駐車のおそれがあるので、適度な土地を確保したうえで、うまくスペースを使いきることが重要です。

 

関連記事:コインパーキング経営のすべてを集約!失敗しない始め方を徹底解説

月極駐車場の場合

お客様の利便性、快適性を重視するなら、月極駐車場の場合でも少し余裕のある設計としたいものです。
先ほど挙げた、1台あたり7坪程度のスペースが目安になります。

 

2.5mの幅数だと、自宅駐車場ならドアの開閉も都度注意して行うでしょうが、営業用の駐車場でお客様にいちいち神経を使わせるのはよくありません。

 

ドアを開けてから通路を確保するには、運転席側と助手席側の左右それぞれに0.6m、合計1.2mのスペースが必要です。
つまり、確保すべき横幅は「2.5m+1.2m」で3.7mとなります。
長さ(縦幅)は「車種別必要な坪数」表で示した6mあれば、トランクの開け閉めも特に問題なく行えるはずです。

 

以上から必要スペースを計算すると「3.7m×6.0m÷3.3=6.7坪」になり、これが前述した「1台あたり約7坪」の根拠です。

自宅の駐車場の場合

自家用車の駐車に必要なスペースは、車種によって変わってきます。
普通乗用車なら最低4.5坪程度、車の横を通る道を確保するなら6.7坪程度です。
これが軽車両であれば、必要な坪数は最低2.2坪、横幅は普通乗用車同様1.2mを足しても3.5坪程度あれば問題ないはずです。

 

実際に自宅に駐車場を作る場合、自転車や植木、屋根など、ほかに置きたいものがあるのなら、少しぐらい余裕のある設計にしたほうが利便性は高まるのではないでしょうか。

駐車場のレイアウトの種類

駐車場における、1台ごとに決められた区切りを「車室」といいますが、駐車しやすいレイアウトとするには、この車室の大きさや車路の面積に考慮する必要があります。
また、奥行き、出入り口の幅などもしっかり検討しなければなりません。

 

レイスアウトをおざなりにすると、「使いにくい駐車場」という悪評が立って、契約率が下がり収益に影響するので、開業前にもっとも気を配るべきポイントといえます。

 

以下でコインパーキングのレイアウト例について解説します。

種類①縦列

縦列駐車は、前面道路に対して縦に並べて停めるレイアウトです。
建物のサイドに奥行きがあり、間口に余裕がない細長い土地に向いていますが、車が並んだときに奥の車が出しにくくなるのがデメリットです。

 

使用頻度の少ない車を停める場合や、来客用として使いたい場合には適しています。

種類②並列

並列駐車は、前面道路に対して平行に車を置くレイアウトです。
間口は広くとれるものの、奥行きがない駐車場は直角駐車が困難なため、しばしばこの方法が用いられます。
入庫時にハンドルを繰り返し切り替えなければならないなど、駐車が難しいので運転初心者には敬遠されがちです。
また、車体の少なくとも倍の大きさの間口が必要です。

種類③直角

直角駐車は、前面道路に対して直角に車を置く方法で、戸建ての駐車場でもっとも採用されているレイアウトです。
車が横並びになり、車を出し入れしやすいのがメリットですが、排気口が家側になるので、駐車する位置によっては、窓から排気ガスの直撃を受けます。

 

直角のレイアウトにするには、前面道路の道幅に合わせて間口の幅を広げたり、ドアの可動域の確保に留意したりしなければなりません。

種類④L字

L字駐車は、前面道路に対してL字型に駐車するレイアウトです。
あまり奥行きがなく、三角形などいびつな形状の土地の有効活用法として採用されることが多いスタイルです。

 

2台分の駐車スペースを確保したうえ、空きスペースを自転車置き場などにも活用できます。

駐車場を作る際は坪数を把握し全体のレイアウトを重視しよう

いかがでしたでしょうか。
今回は、自動車の車種や台数ごとに、駐車場に必要な坪数を解説しながら、コインパーキングと月極駐車場で異なる最適スペースについても取り上げました。

 

普通乗用車1台あたりに必要な駐車スペースは最低4.5坪ですが、無理なく車を出し入れし、通路を確保するには7坪程度のスペースが欲しいところです。
駐車場経営に乗り出す際には、土地の坪数を把握し、効率的なレイアウトを追求することが何より大切です。

 

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コインパーキング経営ならユアーズ・コーポレーション

    

駐車場の経営とは?利点欠点や成功させるためのコツを紹介

    

初期投資が少なく、参入撤退が容易な駐車場経営は、比較的ハードルの低い土地活用法です。
それでも、ビジネスとして成功させるには、入念な準備が欠かせません。
立地と形状でイケる!と判断して、いざ開業したら手ごわい競合がいたり、思ったほど契約数が伸びなかったり、という話も少なくないのが駐車場経営です。

 

本記事ではそんな駐車場経営を成功させるコツを、種類別・形態別・経営方法別にみた長所短所とともに解説します。

駐車場経営とは?

駐車場経営とは、空いている土地に駐車場を作り、それを貸し出すことで駐車料収入を得る土地活用法です。

 

いわゆる上物がなく、アパートやマンション経営に比べると少ない元手で始められるため、手軽な土地活用手段として人気があります。
決して収益性の高い土地活用法ではなく、収益重視なら他の選択肢となるかもしれませんが、そのぶん、初期費用や管理費用を抑えることができます。
低リスクで土地活用を始めたい方には魅力的な方法といえるでしょう。

 

そんな駐車場経営は大きく、コインパーキングと月極駐車場の2つに分かれます。
どちらを選択したらより収益が出るのかはケースバイケースですので、じっくり検討したいところです。

 

関連記事:コインパーキング経営のすべてを集約!失敗しない始め方を徹底解説

コインパーキング

精算機と車両を止め置くロック板によって無人で経営される駐車場です。
駐車の利用時間に応じて料金を支払うシステムなので、頻繁に利用され、駐車時間も長くなるほど、駐車場オーナーの利益も大きくなるわけです。

 

また、駐車台数の収益に直結するので、なるべく広い土地を駅周辺や観光施設付近に確保できれば、コインパーキングの適地となりえます。
スポット利用が大半なので、回転率が上がれば収益性は月極駐車場を上回ってきます。

 

コインパーキング経営は少ない初期投資で始められるほか、狭い土地でもお客がつけば利益が出ること、すぐスタートできてすぐに撤退できるなどが主なメリットです。

 

半面、集客は立地に左右されるほか、ビルの中に作られた機械式駐車場のように、土地の立体利用ができないので、効率的な土地利用法とはいえません。
また、税金も多く適用税率も高いです。

月極駐車場

月極駐車場とはその名の通り、1か月単位で賃料収入が見込める駐車場です。
特定の利用者と継続的な利用契約を結びます。
ゲートや精算機などの設備もいらず、コインパーキング以上に初期投資を抑えられます。
また、運営会社を頼らず、個人で経営・運営しやすいのが利点です。

 

他方、収益は立地条件や土地の形状(狭小地や変形地はマイナス)に左右されるし、競合者に負けて継続的な利用者を獲得できないと、赤字転落のリスクも大きくなります。
また、コインパーキング同様、土地の平面利用という制約を受けるほか、税制上のメリットもないので、大きく儲けるのはなかなか難しいのが実情です。
開業を考えるなら、周辺の駐車場などの様子を現地調査しておきましょう。

駐車場経営の方法とは

駐車場には大別3つの経営方式があります。
管理会社などに運営を丸投げする一括借り上げ方式自分だけで管理する自己経営方式駐車場の施工までをオーナーが受け持ち、利用開始後は管理会社に任せる管理委託方式です。

 

以下で、それぞれの違いを確認していきましょう。

一括借り上げ方式(サブリース)

一括借り上げ方式は、土地のオーナーが、駐車場用途に土地を貸して、地代(借地料)を得るだけの経営方式をいいます。
駐車場が空車の有無に関わらず毎月一定の賃料を得ることができますが、稼働率が上がったことによる利益の変動は管理会社に属するので貸主のオーナーには入りません。

 

また、管理業務はすべて業者が行うため労力がかかりませんが、その分手数料は高めに設定されています。
「土地を遊ばせておくよりは、誰かに貸すことで一定の収入を得られればよい」と考える方に向いています。

自己経営方式

機械の購入、設置、集金、清掃といった駐車場の運営、管理業務一切を自分だけで行う簡素な経営方式です。
長時間の労働となる日もあるでしょうが、中抜き利益は一切ないので駐車料金はまるまる自分の収入になります。
ただし、本業が終わったあとで管理人のようなことをして副収入を得よう、という片手間感覚では務まりません。

管理委託方式

管理会社に管理業務を依頼する管理委託方式は、経営のすべてを丸投げする一括借り上げ方式と違い、人任せにするのは面倒な管理作業だけです。
土地のオーナーが経営主体であるため、稼働率に比例して毎月の賃料収入が変動します。

 

毎月管理委託料がかかりますが、自分の駐車場が自宅から遠方の土地にある方や、駐車場経営に手前をかけたくない方、管理やトラブルへの対応に自信のない方にはおすすめです。

 

繰り返しになりますが、駐車場の建設から機械類の設置までの費用はオーナー負担で、毎月の収入にかかわらず、一定の管理委託料をとられるため、空車時のリスクは大きくなります。

駐車場経営のメリット

駐車場経営は、手軽に始められる遊休地の利用法として人気があります。
特に、立地や形状に恵まれていれば、ほかの利用法への転用を考えるより収益が見込めるので、その道のプロから「ぜひコインパーキングに」と勧誘があるかもしれません。

 

ここでは、駐車場経営のメリットを解説します。

メリット①初期費用が抑えられる

アパートやマンション、ビルを建てるとなると、まとまった資金や銀行借り入れが必要となり、一挙にハードルが上がりますが、駐車場経営ならそこまでの初期費用は要りません。
思い立ったら、それほどの時間をかけずに始められるのがメリットです。

 

すでに土地を所有しているなら、駐車場開業に必要なのは、舗装やライン引き、車止めのブロックの設置などわずかな整備費です。
駐車スペースが10台ほどの月極駐車場であれば、30万~40万円程度の初期費用で開業できますから、ローンを組むことなく始められるでしょう。

 

関連記事:駐車場経営の初期費用とは?コインパーキング経営のポイントも紹介

メリット②ほかの土地活用への切り替えが容易にできる

上物がないか、精算機やロック板程度の駐車場は、アパートやマンション経営などほかの業態への転用が容易です。

 

固定資産税分を捻出するため、不動産屋に連絡して駐車場を区割りしてもらい、集客を任せて駐車場経営を始めたとします。
利用者との契約期間が終わり、その土地を売却したり、ほかの利用法に転用したりするときも、不動産屋に前もって連絡すればよいだけで、特に費用がかかることはありません。

 

駐車場経営は転入転出が容易なビジネスなのです。

メリット③狭い土地でも経営できる

場所の制約も少ないのが駐車場経営のメリットです。
1台でも停めることができるスペースがあれば、狭小地や変形地でも開業できます。

 

コインパーキングの場合は、道路との間に傾斜や凸凹などの高低差がないほうが理想ですが、その場合もスロープ工事を行うか段差スロープを設置すれば問題は解消します。

 

関連記事:駐車場に必要な坪数とは?坪数を理解する重要性も解説

メリット④災害のリスクが少ない

建物がない駐車場は、台風や大雪などの天候災害に強いのが特徴です。
地震によるコインパーキングの器物破損は心配ですが、これも修理が済めば即復旧が可能です。
また、地割れなどが発生した際には、アスファルト舗装やコンクリート舗装を行えば早期に経営を再開することができます。

駐車場経営のデメリット

駐車場経営ももちろんメリットばかりではなく、駐車場であるがゆえの固有事情からさまざまなデメリットも抱えています。

デメリット①収益が低い

繰り返しお伝えしている通り、土地を平面利用するしかない駐車場経営は、決して効率的な土地利用とはいえません。
アパートやマンションが複層展開で利益を生むのに比べれば、駐車場にしたことで逸失する利益は大きいものがあるといえるでしょう。

デメリット②税金の負担が大きい

税法上「更地」扱いとなる駐車場は、住宅用地のような固定資産税や都市計画税の減税対象にはなりません。
償却資産税や個人事業税、相続税についても優遇措置はありません。
特に、一括借り上げ方式で運営した場合は、必要経費が概念上も認められないので、非常に高額の税率が適用されます。

 

関連記事:駐車場の経営にかかる税金とは?節税のコツも紹介

デメリット③立地の影響を受けやすい

駐車場経営は立地条件に左右されるビジネスであり、収益が出るか出ないかは、駐車場の周囲の環境によって決まります。
コインパーキングは近隣に観光施設や繁華街、駅がある駐車場需要が高い地域で、車の出入りが活発であることが儲かるための条件です。

 

月極駐車場は継続利用者になってもらえそうな住宅や法人契約が見込める企業があるか、どれだけ多くの駐車台数を確保できるか、が成否のカギを握ります。

デメリット④競合が多い

初期投資が小さく、低リスクで始められる駐車場経営ですが、そうである以上、競合者もまた多いのが実情です。
近隣に同規模のライバルがいれば、必然的に価格競争へと発展し、管理委託方式であれば、駐車場運営会社から「相場に合わない」と賃料の減額を要求されることもしばしばです。

 

駐車場ビジネスを始める前には、こうした競合に関する事前リサーチも怠ってはいけません。
もし、周辺に競合がいるようなら、そこの料金が上限と考えたうえで、将来的に利用料の協調値下げを余儀なくされる覚悟も必要です。

 

関連記事:コインパーキングのメリット・デメリットを種類別に解説

 

駐車場の形態とは?

駐車場の収益は、月極とコインパーキングの違い、自己経営か管理委託か、立地条件や競合の動向といった要素のほか、駐車場の形態にも大きく影響を受けます。

 

すなわち、「機械式駐車場」「自走式駐車場」「平面駐車場」という3つの形態別による違いです。

機械式駐車場

機械式駐車場とは、ドライバーが降車したあと、車を台(パレット)に乗せてモーターなどで立体的に車を搬送、格納する駐車場です。
車の出し入れは機械で行い、車は台車に乗せられたまま、縦に収容されます。

 

駐車場経営の平面利用の弱点を立体構造によって克服し、狭いスペースであってもたくさんの車を駐車できるようにした都会に多い土地利用法です。

自走式駐車場

自走式駐車場とは、百貨店やショッピングセンターなどで見かける、自分で駐車スペースまで走行させて停める大規模な立体駐車場です。
ゲートで入出庫の管理や精算を行うのが一般的で、上層階まで車で行ってエレベーターで降りてくるので、運転主にも負担がかかりません。

平面駐車場

平面駐車場は、平地にスペースを確保した、いわゆる青空駐車場のことですが、屋根付きのタイプもあります。
月極駐車場、コインパーキングの両方が可能で、必要な設備があまりないので少ない費用で始めることができます。
平面駐車場は土地を平面利用する贅沢な駐車場で、地価の高い都市部では、機械式の駐車場より大幅に割高な料金が設定されることが多いです。

駐車場経営を成功させるためのコツ

メリット・デメリットを踏まえたうえで、ここからは駐車場経営に乗り出す際、こんなところに気を配れば失敗の確率が下がるというポイントを6つご紹介します。

 

無人経営が基本の駐車場の場合、損益分岐点はもともと高くないので、コストを下げるより、駐車需要の見極めと運営のやり方にかかる比重が大きいといえます。

コツ①市場調査をきちんと行う

出店ビジネス全般に言えることですが、マーケティング調査は欠かせません。
特に、立地と形態に左右される駐車場経営は、開業場所に適しているのは月極かコインパーキングであるか見極めたり、車の往来から需要規模を判断したりする必要があります。

 

住宅地の中心部では月極駐車場の需要が高く、病院や商業施設の近くではコインパーキングの稼働率が高まる、というのが基本です。

コツ②適切な料金を設定する

料金設定は慎重に行いましょう。
立地条件を踏まえ、相場に合った適正な料金を設定しないといけません。
周辺の競合より高すぎては、よほどのセールスポイントがなければ集客は難しくなるし、低すぎては採算がとれません。

 

月極駐車場成功のコツは、料金設定にかかっており、それにはどれだけの需要があるか見込めることが大切です。
利用者が多い施設が近くにあれば、多少料金が高めでも、利用者が確保できることが予想されます。

 

これがコインパーキングであれば、料金の発生を30分刻みとするか1時間単位とするか、時間帯によって料金を変えるか否か、といったふうに経営戦術の余地が大きくなります。
利用者の属性やニーズ、土地柄、競合の価格設定を的確に把握し、稼働率が上がるような料金設定を考えていきましょう

コツ③失敗するリスクも想定する

駐車場経営はリスクを想定することも大事です。
10台分の駐車スペースがあるからといって、常に満車を予想して利益をはじくのは現実的ではありません。
収入にはバラツキが出ることを大前提として、厳しめの収支予想で臨みたいところです。

 

特にコインパーキングは、1時間の空車でコストが大きく違ってくるので、甘い収支見通しは禁物です。
コインパーキングの稼働率は、立地によりますが平均20~30%程度で、これは24時間のうち5~7時間駐車場されている状態です。
もし、この水準を下回るようなら、駐車場運営はかなり厳しいと言わざるを得ません。

 

管理会社に利用予想や収益見込みを出してもらおうという方は、開業後の客足からそれが甘い想定ではないか、シビアにチェックすることをおすすめします。

コツ④利回りは「実質利回り」で考える

駐車場経営を金融商品の投資に見立てた場合、投資した金額に対しどの程度のリターンが得られるか、という視点が重要になります。
つまり、利回りですね。
利回りには、表面利回りと実質利回りがあり、それぞれの計算式は以下の通りです。

  • 表面利回り = 年間の収入 ÷ 総投資額 × 100
  • 実質利回り = (年間の収入 - 諸費用) ÷ 総投資額 × 100

この場合、重視すべきは、駐車場経営の維持費や修繕費といった諸費用を含んだ実質利回りのほうです。
実質的な収支を知るのに表面利回りはふさわしくありません。

 

管理会社によっては、利回りを大きく見せるために意図的に表面利回りによるプランを提示するケースもありますが、経費も鑑みたうえでの利回り判断が必要です。
これは、前述した「コツ③失敗するリスクも想定する」うえでも重要なことです。

 

関連記事:駐車場経営で重視すべきは「利回り」!最大化の決め手を解説

コツ⑤初期費用はできるだけ抑える

駐車場経営は大規模な工事なしで始められるため、初期費用が安くて済む傾向にあります。
すでに土地を所有している場合は、開業にかかる費用は舗装やライン引きにかかる整備費ぐらい、と先ほども申し上げました。

 

ただし、コインパーキングや立体駐車場となればそうはいきません。

コインパーキングの場合は無人で運営するシステムを整備しなければならず、これには車をロックするためのフラット板や照明、精算機、監視カメラが必要です。
10台ほどの駐車スペースを想定した場合、予算は300万円以上必要です。

 

機械式の立体駐車場の経営となると、格段に大がかりになります。
階数や台数にもよりますが、大規模なものは、ちょっとしたビルを建てるようなもので、数千万円から億単位の投資となってしまいます。

 

しかしこうなると、本記事のテーマから逸れてくる感じもしますね。
ここは、月極ないしコインパーキングの話に限定しましょう。

 

失敗するリスクを考えるなら初期費用はなるべく抑えたほうがよいわけで、そうでなければ「低リスクだからこそ」の駐車場経営の前提が崩れてしまいます。

 

「儲けはそこそこでいいから初期投資は抑えたい」という方は、前述した「一括借り上げ方式」がおすすめです。
その土地を駐車場として利用するための整備費を管理会社が負担するので、土地オーナーの出費はありません。
管理・運営会社から毎月受け取る賃料は一定額で、駐車場の経営が好調で売上が想定を上回ってもオーナーの懐には入りませんが、その逆であっても安定した収入が保障されます。

 

そのほか、初期費用を管理会社に立て替えてもらい、駐車場の賃料で初期費用の返済を行う方法もあります。
収益が手元に残るのは返済が終わってからになりますが、初期費用をかけたくない方には検討に値する方法かもしれません。

コツ⑥駐車スペースの利便性を考える

商売はなんでもそうですが、どれだけお客様目線に立てるかが成否の分かれ道となります。
駐車場経営でいうなら、「利用者が車を停めやすい駐車場」であるかないかということです。
車室スペースに余裕のない駐車場では、自分や他人の車にぶつけて傷をつけてしまわないか、と誰しも考え、敬遠されがちとなるでしょう。

 

本当に停めやすい駐車場がどうか知るには、まず自分で駐車してみるのが一番です。

駐車場経営に向いている方

以上、駐車場経営のあれこれを解説しきましたが、最後に駐車場経営に向いているのはどんな方なのか考えてみましょう。

 

まず、よく言われるのが税金対策としての駐車場開設ですが、これはお伝えした通り、優遇措置がない以上、意味があるとはいえません。
相続税対策にもならないし、固定資産税などの軽減効果は住宅用地の特例が認められないので、「ない」といってもよいぐらいです。

 

そこで、税金対策を除外して考えると、駐車場経営をおすすめしたいのは、 土地活用の初心者や、将来的に転用する可能性のある土地を持っている方になるでしょうか。
多額の初期投資を必要とせず、経営リスクが低いのは間違いないので、「土地を遊ばせておくよりは」という方には、次の活用法が見つかるまでのつなぎとしても適しています。

 

これまでお伝えした通り、メリットの反面、デメリットも多いのが駐車場経営ですから、そのあたりを踏まえてあまり大きく儲けよう、とは考えずに始めるとよいでしょう。

駐車場経営、始める前にこれだけは知っておきたい

街中いたるところでみかける駐車場。
「経費もかからない感じだし、手持ちの土地で始めてみるか」とお考えの方もいるでしょう。
確かに、アパート経営などに比べて、少額なコストですぐに始められるのが駐車場経営の強みです。
そのぶん、収益性が低いのが難点ですが、土地活用が初めて、という方には向いています。

 

ただし、ビジネスとして取り組む以上、知っておきたいことは少なくありません。
自己管理か経営委託か、月極かコインパーキングか、税金などなど。
この記事はそんな疑問にお答えしましたので参考になさってください。

 

ユアーズ・コーポレーションでは、駐車場経営で安定収益を上げるための取り組み方法をご提案しています。
土地活用をお考えなら、お気軽にご相談ください。

    

コインパーキングに防犯カメラを設置する理由と必要な機能とは?

    

少額で始められる土地活用法として人気のコインパーキング経営ですが、無人ならではのトラブル、迷惑行為もまたつきものです。
「まあ、大丈夫だろう」で対策も打たないと、必ずといっていいほど不正行為の標的になるため、防犯カメラを設置した防犯・安全対策は必須です。

 

本記事では、コインパーキングに防犯カメラを設置する理由と、その性能や特徴を解説します。
駐車場経営を検討されている方は、ぜひ参考になさってください。

コインパーキングに防犯カメラを設置する理由

コインパーキングに防犯カメラを設置したほうがよい理由は、トラブルや犯罪の抑止効果が高まるからです。

民家の玄関に防犯カメラを取り付けておくと、空き巣犯からは「防犯意識が高い家」とみなされ、以後狙われにくくなると言われます。
これは、物損事故や迷惑行為がつきもののコインパーキングでも同じことです。

 

コインパーキング内で発生した事故で、オーナー側が過失責任を問われることは稀ですが、当て逃げや物損事故が頻発するようでは客離れや売り上げ減につながってしまいます。
しかし、防犯カメラを設置していれば、カメラの映像から事故の様子や犯人の特定を行うことが可能です。

 

実際、トラブルの未然防止のために、防犯カメラを設置して、24時間体制の監視体制を敷いているコインパーキングは珍しくありません。
駐車場オーナー様としても、防犯カメラを設置することで犯罪への最低限の備えを得た、という安心感があるのではないでしょうか。

 

では、コインパーキングのオーナーが防犯カメラを設置した主な理由を見ていきましょう。

 

【関連記事】

コインパーキング経営のすべてを集約!失敗しない始め方を徹底解説

駐車場経営のトラブルは多い!よくある事例と解決策を解説

理由①当て逃げを防ぐため

コインパーキングで起こるトラブルとしては、車両への当て逃げやいたずら行為などが代表例です。
バック走行中や、出会い頭、切り返し中の衝突、ドア開閉時など、狭い駐車場では車同士の接触トラブルが頻発します。
なかには、意図的に他者の車体に傷をつけるような人もいます。

 

利用者がその場にいなかった場合、被害を受けた側は犯人もわからず泣き寝入りというケースが少なくありません。
そんなとき、駐車場内に防犯カメラがあれば、「決定的な証拠映像を撮られているかも」「監視の目が光っている」と思わせ、乱暴な行動を自重させる効果が期待できます。

理由②車上荒らしを防ぐため

コインパーキングに防犯カメラを設置する理由の2つめは、車上荒らしの未然防止です。

 

警察庁の調べによれば、令和4年中の全国での車上荒らしの認知件数は23,289件、うち検挙件数は7,741件、検挙率は33.2%となっています。
検挙率は前年(35.5%)、前々年(36.8%)を下回り、犯人の特定が難しい犯罪ということがわかります。

 

一度でも車上荒らしに遭ったり、部品を盗まれたりした被害者は、同じ駐車場を利用しないものですし、SNSなどで「ここには防犯カメラがない」といった情報を拡散しがちです。
これは、駐車場のオーナーにとっては致命的といえます。

 

車上荒らし犯は、侵入しやすい駐車場を探して事前に下見にやってくることが多いと言われています。
そのタイミングで防犯カメラを設置していることがわかれば、その駐車場での犯行には慎重になるでしょう。

 

参照元:警察庁令和5年8月発表「令和4年の刑法犯に関する統計資料」

理由③不法投棄を防ぐため

駐車場内でのごみのポイ捨てや不法投棄も、オーナーの頭を悩ます問題です。
特に無人経営のコインパーキングは、監視が緩いためか不法投棄のターゲットにされるケースは少なくありません。
駐車場経営では敷地内に自動販売機を設置することが多く、周辺に空き缶などがポイ捨てされることが日常茶飯です。

 

不法投棄が増えると不衛生ですし、ごみの処理に別途費用がかかるだけでなく、見た目で利用者離れを招く大きな要因となります。
コインパーキング内に粗大ごみを不法投棄されて、駐車場内が利用できない状態になり、売り上げが減ったケースも少なくありません。

理由④無断駐車させないため

防犯カメラを設置していない駐車場だと、監視の目が緩いとみられ、違法駐車の被害に遭いやすい傾向にあります。
このあたりは、ごみのポイ捨てや不法投棄と事情は同じです。
駐車スペースに車両を放置しつづけ、料金をいっさい支払わないといった迷惑行為も報告されています。

 

違法駐車されると、コインパーキングの経営悪化につながります。
車両の撤去費用の持ち出しなどで、オーナーが痛手を被ることも少なくありません。

 

防犯カメラを設置した理由では、こうした違法駐車や不正利用への対応も上位を占めます。
毎日巡回して監視する必要もなく、24時間リアルタイムで遠隔監視でき、業務負担の軽減につながります。

 

関連記事:【コインパーキング】不正駐車への対策方法

理由⑤精算機荒らしを抑止するため

無人のコインパーキングは、夜間・早朝時に精算機が狙われやすい環境にあります。
精算機荒らしは、精算機を工具で破壊したり、カバーをこじ開けたりと手口も乱暴で、なかにはワイヤーで精算機を丸ごと縛り、車で引っ張って壊す輩もいます。

 

こうした強行犯に備えるには、人感センサーライトや、精算機を動かした際に鳴るアラーム機能の設置、犯行の一部始終を捉える防犯カメラなど複合的な対策が必要です。

理由⑥不審者を侵入させないため

当て逃げや車両へのいたずら、ポイ捨てや不法投棄、無断駐車に精算機荒らしと数々の違法行為にさらされる無人駐車場ですが、そもそも不審者の侵入しやすさが諸悪の根源です。
広さが適当なコインパーキングは、若者や暴走族のたまり場にもなりやすい場所でもあります。

 

駐車場敷地内での犯罪行為・迷惑行為を未然に防止するには、「24時間監視している」という姿勢をアピールすることが大切です。
防犯カメラの設置は、この犯罪を諦めさせる効果とともに、不審者が犯行の下見などで敷地内に立ち入ることのないよう、牽制する効果も期待できます。

コインパーキングにおすすめの防犯カメラの機能とは

コインパーキングの安全対策に、防犯カメラが欠かせないことはおわかりいただけたかと思いますが、具体的にどのような機能が必要なのでしょうか。
ここでは、必須といえる5つの機能について取り上げます。

機能①動体検知

車の出入りや乗降者の行動をチェックする駐車場の監視カメラに必要な機能といえば、まずは動体検知機能です。
動体検知とは、動きに反応して自動で録画してくれる機能のことです。

 

何かが動くまでは録画を行わないタイプのカメラもあるので、バッテリーの消費が少なくて済むというメリットがあります。

機能②ナンバープレートの読み取り

精算機の不正利用や、ごみの不法投棄などの迷惑行為には、ナンバープレートの読み取り機能が有効です。

 

迷惑行為を働く被疑者を特定するには、車両のナンバープレートを正確に読み取りたいところですが、これが案外難しいのです。
特に、夜間や雨の日は、文字や数字が白飛びしてナンバープレートの識別が困難になります。

 

ナンバープレートの読み取り機能を強めたいのであれば、通常のHD/フルHDカメラよりは、白飛びが起きにくい、車番撮影機能があるカメラを選ぶとよいでしょう。
たとえば、夜間は赤外線撮影に切り替える車番認識システムを搭載していれば、可視光によるハレーション現象の影響を排除できます。

 

画面解像度の高さだけでなく、車番撮影が得意かどうかも駐車場における防犯カメラ選びの重要なポイントです。

機能③夜間撮影

無人パーキングを舞台とした犯行は、その大半が夜間や薄暗い死角で発生しています。

 

したがって、駐車場据え付けの監視カメラの要件は、明るい日中の時間帯はもちろん、それ以上に、夜間における認識機能ということになります。
夜間でも人や車種、ナンバープレートをきちんと撮影できなければ、駐車場監視カメラとしては失格といっていいでしょう。
そのくらい大切な機能です。

 

そのためには、日中の撮影モードと夜間に適した撮影モードを自動で切り替える「デイナイト機能」のある防犯カメラが最適です。
これには、近赤外線を使う「赤外線照射式カメラ」と、「高感度カメラ」の2種類があります。

 

また、夜間撮影機能に特化するなら、赤外線センサーを使い、夜間や暗所でも監視できる「赤外線投光機内蔵カメラ」がおすすめです。
映像はモノクロですが、薄暗い場所でも人物の顔や車体ナンバーを鮮明に映し出す優れものです。

機能④高精細画像

録画した映像をはっきり見るためには、最低でも200万画素のカメラを選びましょう。
防犯カメラの場合、100万~400万画素程度のモデルが多いですが、画素数は画像の鮮明さに直結するので、映像がぼやけがちな150万以下の画素数はおすすめできません。

機能⑤広角撮影

1つのカメラで駐車場全体を収めるには、駐車場の入り口付近に「バリフォーカルレンズ付きカメラ」を設置するとよいでしょう。
望遠モードと広角モードを切り替えることで、駐車場内を広くカバーできる防犯カメラです。
防犯カメラ用のポールなどに設置すれば、より広い範囲をカバーできます。

 

なお、屋外の駐車場に設置する場合は、防滴・防塵に優れた屋外用カメラが必要です。

コインパーキングに設置する防犯カメラを選ぶポイント

続いて、コインパーキングに設置する防犯カメラを選ぶ際のポイントを3つ紹介します。

ポイント①予算に合わせてカメラを選ぶ

防犯カメラを購入する際はカメラ本体だけではなく、電池や固定器具などの消耗品もセットで必要です。
駐車場の形状によっては工事も要求されるので、防犯カメラの予算は、本体価格だけでなく設置まで含めた総額で予算を組みましょう。

 

駐車場の広さによっては防犯カメラの必要台数が多くなり、予算をオーバーしがちなので、格安のダミー防犯カメラを置くという方法もあります。

ポイント②設置位置・カメラ台数を決める

防犯カメラ本体を購入する前に、設置位置もあらかじめ決めておくとよいでしょう。
一般的な設置位置は、出入り口付近駐車場の見通しの良い場所料金所の3か所ですから、現実的にこのうちのどれかになります。
設置場所が決まれば必要なカメラ台数も割り出せるため、予算組みも見えてくるはずです。

ポイント③設置方法を確認する

防犯カメラの設置方法は、事前に確認しましょう。
屋外用防犯カメラの場合、基本的に壁面取り付けとなりますが、取り付け先の部材によって必要な部品が異なるので、設置方法はしっかり決めておきたいところです。

ポイント④録画方式を決める

防犯カメラの録画方式は、大きく分けて「レコーダー録画」「クラウド録画」の2種類です。

レコーダー録画は、HDDやSDカードなどにデータを保存します。
ランニングコストはかかりませんが、本体サイズは大きくなります。

 

クラウド録画はデータをオンラインのクラウドに保存するため、容量を気にせずにデータを保存できるのにくわえ、本体サイズが小さいのが利点です。
ただし、毎月のクラウド利用料が発生します。

コインパーキングに防犯カメラを設置する際の注意点

最後に、コインパーキングに防犯カメラを設置する際の注意点をまとめました。

注意点①防犯カメラの操作に慣れる

原則自動的に動作する防犯カメラに、普通のお手持ちカメラのような手動操作はあまりありません。
それでも、導入したカメラの機能や特徴、防犯性能などについては事前に熟知しておき、犯罪が起きたときの素早い対応に活かしたいところです。

注意点②防犯カメラの台数を最小限に抑える

コインパーキングに防犯・安全対策は必要ですが、監視カメラにお金をかけ過ぎるとイニシャルコストもランニングコストも悪化してしまいます。

 

防犯カメラは1台8万~15万円程度しますし、場合によっては取り付け工事費用がかかってくるので、防犯カメラの導入台数は最小限に抑えることを考えましょう。

注意点③現地調査や防犯カメラ設置は業者と相談する

防犯カメラの主な目的は犯罪抑止効果ですから、誰からも目につく場所で、全体を画角に収めることができ、かつ車両のナンバープレートが見えやすいところが望ましいです。
1台では死角ができてしまうなら、死角をカバーするために2台で駐車場を網羅するのもよいでしょう。
ただし、必要な設置台数は必ず専門家に現地調査に来てもらってから決めるのが得策です。

防犯カメラを設置してコインパーキング内のトラブルに備えよう

いかがでしたでしょうか。

 

無人のコインパーキングは、当て逃げ、車上荒らし、不法投棄、不正駐車などの迷惑・犯罪行為の多発場所でもあります。
これらによって、駐車場オーナーが直接管理責任を問われることは稀ですが、悪い評判が立てば経営上の大きなダメージとなってしまいます。

 

そこで、必須となるのが防犯カメラによる防犯・安全対策です。
駐車場に設置する際には、必要な機能を搭載した防犯カメラを選びましょう。
トラブルのない駐車場経営のために開業と同時の防犯対策をおすすめします。

 

関連記事:コインパーキング経営にまつわるトラブルの対処法を解説

 

ユアーズ・コーポレーションでは、蓄積された豊富なノウハウをフル活用し、オーナー様にコインパーキング経営で安定した収益をお約束します。
コインパーキングで土地活用をお考えなら、お気軽にご相談ください。

    

駐車場の経営にかかる税金とは?節税のコツも紹介

    

駐車場経営は、投資額が少なく転用もしやすいため、手軽に始めることができる土地活用として、人気があります。
しかし、固定資産税をはじめ多くの税金が課税されるビジネスでもあり、特に、住宅地のような税制優遇がない、固定資産税の負担は重いものとなっています。

 

今回はそんな駐車経営に関わる税金にスポットをあて、計算方法から節税のコツまで紹介します。
駐車場経営に関心がある方は、ぜひご一読ください。

駐車場の経営方法

駐車場経営とは、所有している土地を駐車場用に整備して運営することです。
高額な上物を建設する必要がないため初期投資が少なく、早く始められるという利点があります。
また、駐車場利用が終わったあとに、再整備コストをかけずに転用できるため、土地利用初心者の方にも取り組みやすいビジネスといえます。

 

駐車場の経営方法は、主に次の3つです。

 

関連記事:コインパーキング経営のすべてを集約!失敗しない始め方を徹底解説

一括借り上げ方式

一括借り上げ方式は、駐車場の運営会社と一緒に経営していく方式です。
土地を所有するオーナーと、駐車場を運営する運営会社とのあいだで土地の賃貸契約を結び、オーナーは毎月決まった賃料をもらいます。
土地のオーナーは駐車場経営に関わる一切の作業や費用の負担を、管理会社に丸投げできるのがメリットです。

 

手間をかけずに、安定した賃料を得たい土地利用初心者向けの選択肢です。

自己経営方式

土地所有者が、駐車場運営のすべてを自分で行うスタイルを自己経営方式あるいは自己管理方式といいます。
賃料収入は全額土地所有者の取り分となりますが、駐車場経営に関わる情報収集や駐車場機材の購入・設置、日々の管理業務、それにかかる費用全額はオーナーの負担となります。
サラリーマンが副業で取り組むには負担が大きいので、専業者向けの選択といえるでしょう。

管理委託方式

管理委託方式とは、土地の所有者が駐車場経営を行い、募集を含めた管理運営一切を管理会社に委託する方式です。
土地を駐車場に変えるための整備や機会設置などは、土地の所有者が行うのが一般的です。

 

コインパーキング経営を始める方の多くは、管理業務を管理会社に委託しています。
管理会社に管理費を支払う必要は当然ありますが、そのぶん手間をかけずに駐車場を運営できるのが利点です。

駐車場の経営にかかる税金とは?

さて、そんな駐車場経営ですが、多くの税金が課せられているのはご存じでしょうか。
駐車場経営でかかる税金は、「固定資産税」「都市計画税」「償却資産税」「消費税」「所得税」「個人事業税」「相続税」の大きく分けて7種類もあります。

 

この7種類の税金について、どんな税金で、どうやって税額を計算するのかを解説していきます。

 

関連記事:コインパーキング経営にかかる税金を徹底解説

①固定資産税

駐車場として土地を貸している土地所有者には固定資産税と都市計画税が課税されます。

 

固定資産税の税率は「標準課税額×1.4%」です。
標準課税額は土地・家屋の固定資産税を決めるとき、もとになる金額で、市区町村(東京は都)が決めています。
おおよそ固定資産税評価額(地価公示の約7割水準の70%)になるよう設定されています。

②都市計画税

都市計画税も、駐車場の土地にかかる税金です。
1月1日時点で「市街化区域」内に駐車場を持っている人に課税されます。
市街化区域とは、住宅街や商業施設などがある建物を許可なく建築できるエリアのことで、具体名は役所のHPか都市計画課で確認できます。

 

税率は「課税標準額×0.3%」で求められ、都市計画税は固定資産税と一緒に納税します。
固定資産税と都市計画税は、住宅用地の場合は課税標準額が減額される特例(200㎡まで固定資産税評価額の1/6等)がありますが、貸駐車場の土地にはこの特例は適用されません。

 

このため、住宅用地と比較した固定資産税・都市計画税は4倍以上にもなります。

③償却資産税

駐車場経営で使う「土地以外の10万円以上の設備(アスファルト舗装、外灯・フェンス、駐車機器等)」の所有者に課税されるのが償却資産税です。
償却資産税は「課税標準額×税率1.4%」で求められます。

 

ここで使う課税標準額とは、設備ごとに取得価額から一定の算式で計算した償却費を控除して計算するので、償却資産税は年々減少していくのが救いです。
実際にこの税金がかかるのは、課税標準額の合計が150万円以上のときです。

④消費税

駐車場経営から得られた「売上」に対してかかるのが消費税です。
税率は売上額×10%。
税金の納付は事業者が行いますが、負担するのは消費者です。
土地の貸付は基本的に非課税取引ですが、有料駐車場用に土地を整備した場合や、建物、フェンス、区画などを設置した場合は、消費税の課税対象となります。
ただし、駐車場収入が毎年1,000万円を超えない場合は、消費税の納税義務はありません

 

また、次のケースでは消費税は非課税になります。

  • 土地整備をしていない青空駐車場
  • 賃貸アパートに付属している駐車場
  • 免税事業者が経営している駐車場

自分で経営している賃貸住宅に付属している駐車場や、舗装されていない更地を駐車用に提供しているだけの青空駐車場は非課税の対象です。
2年前の売上が1,000万円以下の免税事業者はその年の消費税が非課税となるほか、資本金1,000万円未満の会社は設立から2年間が非課税となります。

⑤所得税

所得税とは、個人が得た所得に課税される税金のことです。
所得とは1年間の暦年収入のすべてから必要経費を差し引き、一定の税率を掛けて算出した金額から各種控除を差し引いたもののことをいいます。

 

所得税率がいくらになるかは、駐車場経営方式や規模によって異なりますが、駐車場経営を行った場合の所得税額は次のように計算します。
所得税=所得額(駐車場の収入金額-経費)×税率(5%~45%)-所得控除

⑥個人事業税

個人事業税とは、個人が事業を営んだ場合に課税される地方税です。
各都道府県によって税率は異なり、個人事業税の対象となるかどうかも課税者である都道府県が決めます。
個人事業税がかかるのは収容台数10台以上の駐車場で、規模が小さい場合は所得税がかかるのが通常です。

 

個人事業税は次の方法で求めますが、自分で計算する必要はなく通知は都道府県からきます。

  • 収入金額-必要経費=利益
  • 利益-各種控除額=個人事業税の所得額
  • 個人事業税の所得額×5%(標準税率)=個人事業税

⑦相続税

駐車場経営を行っている土地を相続するときは、相続した人に相続税が課せられます。

相続税を計算するには、次のような手順を踏みます。

  1. 相続財産の総額を計算し、そこから非課税財産と基礎控除額を差し引いた「課税遺産総額」を出す
  2. 相続遺産総額を相続人数分で按分して相続人個人の財産を確定する

こうして相続人個人の財産(法定相続分)に応ずる取得金額を求めたら、定められた税率と控除額に従って相続税額を出します。
税率は取得金額1,000万円以下(10%・控除なし)~6億円超(55%・控除額7200万円)まで、8段階に分かれています。

 

相続税は「財産の価値の総額」から求めるため、駐車場のある土地の価値(相続税評価額)を求めることが相続税額を計算する第一歩です。

 

駐車場を相続した場合は、どのように駐車場を運営していたのかが重要です。
駐車場の経営方式は前述の通り「一括借り上げ方式」「自己経営方式」「管理委託方式」の3種類に区分され、それぞれで相続税の評価額の計算方法が異なります。

 

駐車場は登記簿上「雑種地」として評価されますが、運営の方法によって自用地・賃貸借の2つに分かれます。
このうち、賃貸借とみなされるのが「一括借り上げ方式」、自用地と評価されるのが「自己経営方式」「管理委託方式」です。

 

一括借り上げ方式の場合

 

一括借り上げ方式で、駐車場設備や整備にかかる費用を委託先管理会社が負担する場合には賃貸借と見なされ、相続税の評価額は「自用地評価額-賃借権価額」となります。

 

自己経営・管理委託方式の場合

 

土地の所有者が自ら駐車場として運用していた場合、その土地は自用地として評価されます。
自用地評価額とは、自分で使うことを想定して求めた土地の評価額のことです。
利用者との契約期間が終了すれば、すぐに自分で使用できる土地なので、駐車場経営は概ね自用地と扱われるのです。

 

自用地評価の場合は、「敷地面積×路線価」で相続税評価額を算出します。
路線価とは、国税庁で定める1平方メートルあたりの土地評価額のことで、国税庁のホームページから確認可能です。

駐車場の種類によって税率は変わる?

駐車場経営は「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類に分かれます。
駐車場経営で得られる所得は、「不動産所得」「事業所得」「雑所得」のいずれかに相当しますが、月極駐車場かコインパーキングかによって、どの所得に該当するのかが異なります。

コインパーキングの場合

コインパーキング経営は、1時間500円というように、時間単位で貸し出す、スポット利用の駐車場のことです。
月極駐車場とは異なり、駐車台数と駐車時間によって収入が決まります。

 

コインパーキング経営での所得税は、事業所得もしくは雑所得に区分されます。
ただし、一括借り上げ方式によりコインパーキング経営を行う場合は、不動産所得の扱いです。

月極駐車場の場合

月極駐車場とは、利用者と1か月単位で賃貸契約を結ぶ駐車場のことです。
月極駐車場の経営で得られた利益は不動産所得に相当し、土地や建物などの不動産の貸し付けによって得た利益として扱われます。

 

一定以上の事業規模と認められ場合や、「青色申告特別控除」の要件を満たした場合は、最大65万円までの控除を受けることができます。

税金が引かれたあとの利益はどのくらい?

駐車場経営には、こうしたさまざまな税負担に加え、建物を有する土地活用と比べると、特例を受けられないことが多いため、どうしても税金が高くなるデメリットがあります。
これだけ多くの税金が引かれたら、いったい手元にいくら残るのか気になってしまいますね。

駐車場の経営は儲かる?

立地や料金設定、稼働率によっても大きく異なりますが、駐車場経営での平均年商は200万~500万円といわれています。
年商から管理費や税金などの費用を差し引いた金額が手残り額となります。

 

税金面だけを見ても、決して利幅が大きい事業とはいえないのは明白です。
特に、住宅用地の税制優遇を受けられないため、固定資産税の負担が大きいのが駐車場経営の最大のデメリットです。

 

この点をとっても、住宅用地の特例の適用を受けられるアパート経営のほうが各段に有利ですが、収益性でみても複層階層のアパート経営に軍配が上がるのは間違いありません。

 

関連記事:コインパーキングは儲かる?利点欠点や経営成功のコツも紹介

駐車場の経営にかかる税金を減らすコツ

アパートやマンション経営と比べて、収益性の高い土地の活用方法とはいえない駐車場経営ですが、少しでも儲けを出すために節税の工夫ができないものでしょうか。
実は対策はいくつかあります。

 

それぞれ、順に解説していきます。

コツ①駐車場をアスファルト塗装する

駐車場を行っていた土地が、「小規模宅地等の特例(貸付事業)」の適用を受けられると、相続税は相当有利になります。
「小規模宅地の特例」の適用を受けられると、200平米を限度として50%減額の評価を受けられるので、相続税はそのぶん減額されるためです。

 

「小規模宅地」とみなされる基準は、一定の建物または構築物があるかないかで、駐車場でいえば、アスファルトを敷いた駐車場か、むき出しの地面のままかの違いなのです。
すなわち、むき出しの地面のままでは建物や構築物がないとみなされますが、アスファルト塗装なら構築物があるとみなされ、「小規模宅地の特例」が適用される確率が高まります。

コツ②建物の土地と一体利用する

節税効果のない駐車場経営ですが、駐車場を住宅用地と一体化させると、住宅用地の特例が適用されるかもしれません。
所有しているアパートの敷地と駐車場が隣接しているラッキーなケースであれば、「アパートの駐車場として一体利用している」ことにしてみましょう。

コツ③駐車場の設備費を抑える

コインパーキングの設備費用の総額を150万円以下に抑えれば、償却資産税を回避できる制度もあるので、このあたりは工夫してみる価値ありです。

 

駐車場の設備費の合計を150万円以下に抑えるには、1つの敷地で、土地の半分をコインパーキングに、半分を月極駐車場にするなどの方法があります。

コツ④青色申告特別控除を受ける

青色申告の承認を受け、帳簿を作成して青色申告特別控除を適用すれば、65万円の控除が受けられます。

 

経費の金額が大きいほど所得は小さくなります。
細かな経費を漏れなく計上する、申告方法を工夫する、といった方法で節税につながらないか考えてみましょう。

駐車場経営始める前に税金の知識は必須

いかがでしたでしょうか?
本記事では駐車場経営にかかる諸税について、知識を深めていただくため、それぞれの税金の計算方法について解説しました。

 

アパート経営などに対し、1フロアの駐車場の収益性は高いものではありませんが、税制面でも住宅用地の特例が適用されないハンデを背負っています。
ただ、税負担を少しでも軽減できる方法もあるので、所得税、相続税、固定資産税、償却資産税についてそれぞれ対策を紹介しましたのでご参考ください。

 

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